マンモス、サイ、クマの骨がいっぱいのシベリアの洞窟は4万2000年前を生きた古代ハイエナの巣だった
 シベリアの地元住人によって、先史時代の見事なタイムカプセルが発見された。洞窟の中から、およそ4万2000年前の最終氷期に生きていた動物の骨が大量に見つかったのだ。


 古生物学者は、これまでアジアで発見されている古代ハイエナの巣の中でも最大のものではないかと考えている。

 見つかったのは、260万年前から1万1700万年前の更新世時代に生きていた、ヒグマ、キツネ、オオカミなどの捕食動物や、マンモス、サイ、ヤク、シカ、ガゼル、バイソン、馬、げっ歯類、鳥類、魚、カエルなどの被食動物の骨だった。

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Пещера Инейская в Хакасии古代を生きたハイエナの巣穴には無数の動物の骨 5年前、南シベリア、ハカシア共和国の住民たちがこの洞窟を発見したが、かなりの僻地なため、2022年6月まで、専門家による本格的な探索・調査ができなかった。

 回収した400キロもの骨の中には、4万2000年前のホラアナハイエナの完全な頭蓋骨がふたつあった。この時代は最終氷期にあたる。

 ほかの動物の骨に、ハイエナの歯型と一致する咬み跡があったことから、ここがハイエナの巣穴だったのではないかと思われた。

 ホラアナハイエナ(Crocuta crocuta spelaea)は、更新世中期以降(50~2万年前)に繁栄し、ユーラシア大陸の洞窟の穴に群れで暮らしていた。

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ホラアナハイエナの予想復元体 / image credit:Heinz-Werner Weber / WIKI commons / CC BY-SA 2.0

 ずんぐりした体格で頭が大きく、首が前に突き出しており、現存するハイエナの最大種、ブチハイエナよりも一回り大きかったといわれている。

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シベリアの洞窟で見つかったハイエナの頭蓋骨 / image credit:V. S. Sobolev Institute of Geology and Mineralogy
解剖学的にきちんと並んだ一連の骨が発見されました。例えば、サイは尺骨(しゃっこつ)と橈骨(とうこつ)が一緒に見つかっています。

つまり、これはハイエナが、獲物の死骸の一部を巣穴に引っ張り込んだことを示しています
 ロシア科学アカデミー、ウラル支部のドミトリー・ギムラノフ氏は言う。

 また、ハイエナの子どもの完全な頭蓋骨やたくさんの下顎と乳歯も見つかっている。
通常は、子どもの骨は壊れやすく、残っていないことが多いが、彼らはこの洞窟で育てられていたと考えられるという。

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シベリアの洞窟の中から見つかった骨は4万2000年前のもの / image credit:. S. Sobolev Institute of Geology and Mineralogyシベリアの寒冷な気候が先史時代の動物たちの保管庫に シベリアは、先史時代の動物の骨がたくさん見つかる場所だが、化石化するほど古くはなく、鉱物化プロセスの途中で岩石に置き換わることもない。

 こうした動物の骨、ときには皮膚、肉、さらには血液ですら、死んだ年が遥か昔でも、変わらずに残っていることもよくある。

 これはおもに、寒冷な気候と永久凍土のおかげで遺骸が保存されるからだ。

 これらの骨は、さらなる分析のためにエカテリンブルグに送られた。この地域に生息していた遥か昔の動物がなにを食べていたのか、どんな気候だったのかなど、当時の動植物相について、詳しいことがわかるだろう。

 また、動物の糞の化石、糞石(コプロライト)からも、重要な情報が得られとのことだ。

References:Siberian cave filled with mammoth, rhino and bear bones is ancient hyena lair | Live Science / written by konohazuku / edited by / parumo

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