アメリカ人が病院に行きたがらない最大の理由は医療費を支払う余裕がない
 アメリカ人の10人に4人が、病院に行くのをためらっているという。

 米国成人2,000人を対象とした今年の調査によると、病院に行かない理由として、半数以上の人がその医療費を支払う余裕がないと答えた。


 他の理由としては、医療処置や検査に対する不安、深刻な診断が下るのが怖い、子育てや介護などで疲れ切っていてそれどころではないなどがあった。

医療費が支払えず病院に行けない人が増えるアメリカ 市場調査会社One Pollは2023年8月2日から8月11日まで、一般的なアメリカ人2,000人を対象に医療に関する調査を行った。その後、2023年8月17日から8月23日までラテン系/ヒスパニック系アメリカ人275人を追加調査した。

 その結果、去年(45%)よりも今年(66%)のほうが、医療費を支払う余裕がなく、病院に行くのをためらっていると回答している人が増えていることが判明した。

 26~34歳の38%、35~54歳の39%が、過去5年間にまったく医師の診察を受けていないという。アフリカ系アメリカ人だけでみると43%の人が、病院に行っていないそうだ。
なぜアメリカ人は医師の診察をためらうのか?
1位:治療費が支払えない(52%)
2位:処置や検査に対する潜在的な不安(40%)
3位:検査結果で、悪い知らせ、深刻な診断をされることへの恐怖(39%)
4位:子育てや介護による疲弊(39%)
5位:病院が遠い(33%)
6位:仕事による疲労(31%)
7位:医師の話が理解できないのではないかという不安(20%)
8位:決めつけられたり、批判されたりすることへの恐怖(17%)
9位:生活を変えなくてはならないと言われることへの戸惑い(16%)
診察するのが不安という人も増加 また、今年(48%)は去年(39%)より、医者の診察を受ける前から不安をおぼえる人が増えていることが明らかになった

 アジア系アメリカ人は、白人の回答者よりも、混乱を感じる(今年36%、去年20%)、戸惑っている(今年37%、去年19%)、病院が怖い(今年30%、去年16%)という理由で、病院に行っていない。

 275人を対象とした、ヒスパニック/ラティーノ系アメリカ人は、白人の回答者よりも、不安を感じる(今年63%、去年48%)、ストレスを感じる(今年47%、去年22%)、戸惑っている(今年34%、去年19%)という理由で、病院に行かない。

 こうした感情の理由を調査していると、今年(48%)は去年(38%)より、病院に行く覚悟をするのに役立つ情報が足りないと感じている人たちが多かった。

 調査対象の黒人(63%)、アジア系アメリカ人(67%)が、白人(44%)よりも病院に行く心構えのための十分な情報が得られなかったと回答している。

 ヒスパニック/ラティーノ系アメリカ人は、白人の回答者(27%)に比べて、診察でなにが明らかになるかを心配する人が50%とほぼ2倍にのぼった。

 しかし、多少の進歩はあることはある。
医者との面会に"いつも"または"たびたび"混乱をおぼえるというアメリカ人は3分の1(33%)で、前年の48%からは減っている。

 それでも、回答者のほぼ半数は、自分の健康状態や症状について、医師からなにか言われることを恐れている(今年46%、去年51%)。

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医療従事者を信用している人は多い 調査対象者の10人に8人(87%)は、医療従事者を信用していると答えている。

 信頼に足る理由は、状況や症状を簡単な言葉で説明できる(62%)、患者の不安に耳を傾けてくれる(57%)、患者の状態、症状、治療選択について、個別の知識やリソースを提供してくれること(55%)だった。

 診察前、診察中、診察後に患者に十分な知識を与えることで、それぞれの健康状態に基づいた、より多くの情報を得た上での決断を下すことができるし、医師が処方した治療に患者が従ってくれる率も高くなる。

 調査対象のアメリカ人の半数以上が、「自分の治療が、どのように行われ、どうして重要なのかをきちんと知れば、初めてその治療計画を支持しようという気になる」と言っている。

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 患者が自分の健康について、医師ともっと話したいという気持ちにさせるには、どうしたらいいのだろうか?

 診察中に自分の健康についての知識を得る(55%)、症状や状況を改善する治療法があることを知る(53%)、来院前に健康についての知識を得る(43%)という回答があった。

 健康情報の最大の情報源は、医療関係者だと考える人たちは57%。Googleやその他の検索エンジンは43%、ソーシャルメディアは31%だった。

 大事な治療の場面で、患者ひとりひとりの都合に合わせたコンテンツを共有し、双方でよく話し合いあえば、より良い認識や理解が生まれ、最終的にそれが健康を促進するのに役立つといえる。

bReferences:Top reasons Americans put off going to the doctor / Out-of-pocket expenses voted top barrier to healthcare access / written by konohazuku / edited by / parumo

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