空気入れから解放される、自転車用エアレスタイヤがついに販売
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 パンクと無縁でしかも長持ち。極地にも耐える理想のタイヤのヒントはなんと宇宙で働くローバーだった。


 NASAの惑星探査車のテクノロジーを地球のタイヤに応用したら、これまでにない柔軟性と強度を備えた画期的なエアレスタイヤが誕生したそうだ。

 見た目に奇妙な「METL」は、NASAと提携するアメリカのスタートアップ Smart Tire Company(スマートタイヤカンパニー) が開発した自転車用のタイヤだ。

 かねてより市場参入とささやかれていたMETLの改良版が、ついにキックスターターで販売開始に。自転車業界も注目の METL にせまってみよう。

NASAのローバーがヒントの自転車用エアレスタイヤMETL カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とする新興企業、Smart Tire Company が開発した「METL」は、NASAのローバー技術にインスパイアされ誕生した自転車用のタイヤ。

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 このタイヤは、探査機用にNASAが作ったエアレスタイヤ同様、ニッケルとチタンから成る特殊な形状記憶合金、ニチノール(Nitinol)でできている。

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 この合金ニチノールは実にユニークな特徴をもつ。

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「形状記憶」の性質と、金属でありながらゴムのように強力な弾性(擬弾性または超弾性)という2つの性質をもっているのだ。
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形状記憶特性と弾性をもつ夢のようなタイヤ METL の構造は、ニチノールの特徴の1つ、形状記憶により実現した。負荷がかかって変形しても元に戻るからだ。

 と同時に、圧縮されても反発するゴムのような弾性により、通常のタイヤと変わらない、滑らかで快適な乗り心地を提供する。

 またこの合金は、宇宙のような極限環境を想定して開発されているため、地球上のあらゆる温度変化にも影響されないという。


 つまりパンク知らずなうえに耐久性もばつぐん、という夢のようなタイヤだ。

 ちなみに Smart Tire Company 公式は、このタイヤの形状記憶は、自転車そのものの寿命が来るまでずっともつ、つまり1セットあればいい、と豪語している。

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金属むき出しはNG?カバーとトレッドが付属 ただ気になるのが、スプリングというかコイル状の METL の表面にある青色で透明な素材だ。

 この透明素材はいわゆるチューブではなく、ポリゴム製のカバーだそう。なので空気を入れる必要はない。

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 というか METL 単体でも走るは走るっぽいのだが、金属むき出しだと道路が傷ついたり土や雨などが入るため、こうしたカバーが要るもよう。

 さらに着脱可能な溝(ゴム製トレッド。ロード用/砂利道用)が付けられるそうだが、こっちは摩耗するらしく8,047 ~ 12,875 kmごとに交換が必要になる。

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 まああれだ、結局消耗品要るんかい、って気がしないでもないが、従来のタイヤに比べパンクそのものがなくタイヤが無駄にならないこと、またゴムの量も従来のタイヤの50%と半減するため、環境にも優しい設計といえそうだ。2本で500ドルでおよそ7万円。キックスターターで販売中 次世代タイヤ METL 本体のスペックは以下のとおり。

 素材:形状記憶合金ニチノール(ニッケルとチタン)
 特性:ゴムに似た弾力性とチタン並みの強度
 耐久性:パンクなし。
自転車の寿命が来るまでもつ。
 サイズ:700x32c、700x35c、700x38c

 このタイヤは、現在キックスターターで購入可能。



 2023年9月21日時点で、自転車用 METL のリワードは2本(カバー付き 青または白)+トレッド付きで500ドル(約74,143円)から。

 世界各国配送(送料・関税等は別途確認)で、出荷予定日は2024年6月だ。

 ユニークな特性と構造でついに販売までこぎつけたエアレスタイヤMETL。興味がある人はkickstarterをチェックだ。

References:newatlas / kickstarter / smarttirecompanyなど /written by D/ edited by parumo

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