
ヨーロッパからアジアまで広く分布するコウライクビワコウモリ(Eptesicus serotinus)の仲間は、哺乳類として初めて、交尾せずに生殖行動をすることが判明したそうだ。
オスの陰茎が大きすぎて挿入することができないため、それを腕のように振り回しながら、最長12時間にわたってメスの女性器に押し付けて精子を渡しているという。
この発見は、哺乳類が挿入交尾を伴わずに繁殖するという初の記録であり、生物学における一大発見であるという。
オスが巨大な男性器をもつコウモリ 西はイギリスやスペイン、東はモンゴル南部や中国北部にまで広く生息する「コウライクビワコウモリ(Eptesicus serotinus)」は、ヒナコウモリ科Eptesicus属の仲間だ。
その体はふわふわの毛皮に包まれており、ぱっと見は気がつかないかもしれない。だがオスはたいそうご立派なモノを持っている。
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その陰茎の長さは、メスの平均的な膣口や膣管より7倍も長く、幅広なのだ。
その先端はハート型でずいぶんロマンチックな仕様だが、そんなに大きくてはオスがどんなにメスを愛そうとしても、入るものも入らない。
ちなみに、コウライクビワコウモリの陰茎のサイズが正確にわかるのは、このコウモリをはじめヒナコウモリ科の一部の仲間には、麻酔をかけると勃起するという特性を持っているからだそうだ。
もしも本当に入らないのだとしたら、一体どうやって交尾するのだろう? 今もなお地球上で元気に暮らしているということは、どうにかして子供を作っているはずなのだ。
ローザンヌ大学のニコラス・ファゼル氏はプレスリリースで次のように語っている。
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コウライクビワコウモリのオスの男性器のイラスト/ image credit:asel et al.、Current Biology、 2023交尾をせずに生殖行動していることが明らかに そこでファゼル氏らは、このワコウモリのオスとメスの性のサイズ感の不一致の謎を解明するべく、数台のカメラを仕込み、その交尾の瞬間をこっそり撮影することにした。
研究チームは、ウクライナにあるコウモリのリハビリ施設と、オランダにある教会の屋根裏部屋でなされたコウモリの秘め事を97回ほど隠し撮りという。
その結果、このコウモリは挿入せずに生殖行動を行っていることが判明したのだ。
オスとメスは抱き合うと、オスがマックスまで膨張した男性器を腕のように振り回して、メスのお腹をまさぐる。どうやら膣を探しているらしい。
そしてイチモツがメスの膣の入り口にピッタリ合わせられると、そのままじっと抱き合い続ける。
映像では最後にメスのお腹が濡れていることが観察された。どうやら、精液がメスに引き渡されたらしいのだ。
ちなみにこのコウモリの恋人たちは、53分から12.7時間も交尾を続ける。そしてこの間、オスが大きすぎるイチモツを無理やり挿入することはない。
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なぜこのような交尾スタイルになったのか? クロエイカル・キッシング(cloacal kissing)など、一部の鳥は、哺乳類のように外部生殖器がなく、かわりに「総排出口」という穴(精子だけでなく、フンも卵も出る便利な穴だ)をこすり合わせることで、オスの精子がメスに渡される。今回観察されたコウモリの交尾もこれによく似ているという。
では、なぜコウライクビワコウモリは、哺乳類でありながらこのような交尾を進化させたのか?
確かなことは不明だが、メスはオスに不用意に襲われることのないよう、尾膜(tail membrane)というものを持っている。
オスの巨大なイチモツは、それを強引に突破するための進化だった可能性があるそうだ。
なお今回確認されたメスの濡れたお腹が本当に交尾が原因なのかどうかは、さらに確認する必要があるとのこと。
研究チームはすでに、このワコウモリの生殖行動を撮影するのにぴったりなツールを準備してあるそうだ。
この研究は『Current Biology』(2023年11月20日付)に掲載されている。
References:These bats use their penis as an “arm” during | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo
(追記:2023/11/28)誤字を訂正して再送します。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
オスの陰茎が大きすぎて挿入することができないため、それを腕のように振り回しながら、最長12時間にわたってメスの女性器に押し付けて精子を渡しているという。
この発見は、哺乳類が挿入交尾を伴わずに繁殖するという初の記録であり、生物学における一大発見であるという。
オスが巨大な男性器をもつコウモリ 西はイギリスやスペイン、東はモンゴル南部や中国北部にまで広く生息する「コウライクビワコウモリ(Eptesicus serotinus)」は、ヒナコウモリ科Eptesicus属の仲間だ。
その体はふわふわの毛皮に包まれており、ぱっと見は気がつかないかもしれない。だがオスはたいそうご立派なモノを持っている。
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その陰茎の長さは、メスの平均的な膣口や膣管より7倍も長く、幅広なのだ。
その先端はハート型でずいぶんロマンチックな仕様だが、そんなに大きくてはオスがどんなにメスを愛そうとしても、入るものも入らない。
ちなみに、コウライクビワコウモリの陰茎のサイズが正確にわかるのは、このコウモリをはじめヒナコウモリ科の一部の仲間には、麻酔をかけると勃起するという特性を持っているからだそうだ。
もしも本当に入らないのだとしたら、一体どうやって交尾するのだろう? 今もなお地球上で元気に暮らしているということは、どうにかして子供を作っているはずなのだ。
ローザンヌ大学のニコラス・ファゼル氏はプレスリリースで次のように語っている。
偶然にも、このコウモリが不釣り合いなほど長いペニスを持っていることを目撃しました。犬のように挿入したペニスが膨張してロックされるのでしょうか? あるいはペニスを挿入しない可能性も頭をよぎりましたが、哺乳類でそのような交尾が報告されたことはありません
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コウライクビワコウモリのオスの男性器のイラスト/ image credit:asel et al.、Current Biology、 2023交尾をせずに生殖行動していることが明らかに そこでファゼル氏らは、このワコウモリのオスとメスの性のサイズ感の不一致の謎を解明するべく、数台のカメラを仕込み、その交尾の瞬間をこっそり撮影することにした。
研究チームは、ウクライナにあるコウモリのリハビリ施設と、オランダにある教会の屋根裏部屋でなされたコウモリの秘め事を97回ほど隠し撮りという。
その結果、このコウモリは挿入せずに生殖行動を行っていることが判明したのだ。
オスとメスは抱き合うと、オスがマックスまで膨張した男性器を腕のように振り回して、メスのお腹をまさぐる。どうやら膣を探しているらしい。
そしてイチモツがメスの膣の入り口にピッタリ合わせられると、そのままじっと抱き合い続ける。
映像では最後にメスのお腹が濡れていることが観察された。どうやら、精液がメスに引き渡されたらしいのだ。
ちなみにこのコウモリの恋人たちは、53分から12.7時間も交尾を続ける。そしてこの間、オスが大きすぎるイチモツを無理やり挿入することはない。
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なぜこのような交尾スタイルになったのか? クロエイカル・キッシング(cloacal kissing)など、一部の鳥は、哺乳類のように外部生殖器がなく、かわりに「総排出口」という穴(精子だけでなく、フンも卵も出る便利な穴だ)をこすり合わせることで、オスの精子がメスに渡される。今回観察されたコウモリの交尾もこれによく似ているという。
では、なぜコウライクビワコウモリは、哺乳類でありながらこのような交尾を進化させたのか?
確かなことは不明だが、メスはオスに不用意に襲われることのないよう、尾膜(tail membrane)というものを持っている。
オスの巨大なイチモツは、それを強引に突破するための進化だった可能性があるそうだ。
なお今回確認されたメスの濡れたお腹が本当に交尾が原因なのかどうかは、さらに確認する必要があるとのこと。
研究チームはすでに、このワコウモリの生殖行動を撮影するのにぴったりなツールを準備してあるそうだ。
この研究は『Current Biology』(2023年11月20日付)に掲載されている。
References:These bats use their penis as an “arm” during | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo
(追記:2023/11/28)誤字を訂正して再送します。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
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