
地球上最強の生き物と呼ばれる「クマムシ(緩歩動物)」が、恋のお相手を探す方法が史上初めて明らかになったそうだ。
この小さくてタフな生き物は、オスとメスとではっきりとした外見の違いがない。
『Journal of Experimental Biology』(2023年9月22日付)に掲載された研究によれば、メスは水の中でオスを誘う化学的なサインを放出している可能性があるという。
それを嗅いだオスは強く反応し、メスを追いかけようとするのだ。
地球最強生物の交尾相手の探し方 小さな体だが、ずんぐりとした熊を思わせる「クマムシ」は、地球上最強クラスの生物として人類を感嘆させ続けている。
紫外線を無効化し、老化をストップさせるなど、防御力が高すぎることから史上最初の星間旅行パイロットはクマムシになるとすら言われている。
圧倒的にタフなのはオスもメスも変わらない。だからではないだろうが、彼らは外見からなかなか性別を区別することができない。
大きさに多少の違いはあるが、オスとメスを区別するはっきりとした特徴がないのだ。
そのため、1300種もいるクマムシたちが、どのようにして恋のお相手を探しているのかはいまだよくわかっていない。
外見から性別を区別できないので、おそらく人間のように視覚的なサインに頼っているわけではないだろう。
そこで考えられるのが、化学シグナルを手がかりにしているという可能性だ。
フィンランド、ユヴァスキュラ大学の博士研究員ジャスティン・チャートレイン氏らは、この仮説を検証するため、クマムシの出会いを研究してみることにした。
[画像を見る]
photo by iStock
オスはメスの匂いに誘われる 観察対象となったのは「Macrobiotus polonicus」というクマムシの仲間だ。このクマムシのメスを”部屋”に入れ、すぐ隣の部屋にオスを入れる。部屋と部屋の間にまた別のクマムシを置いて水に沈めた時、真ん中のクマムシはどのように行動するだろうか?
するとこの出会いセッティングでは、オスはオス同士よりも、メスの隣で長く過ごすことがわかったという。やはりオスはメスのニオイを嗅ぎ、それに誘われているらしいことがうかがえた。
ならば水中以外の環境ではどうだろうか? クマムシのオスは、そこでもメスが出す化学的なニオイを嗅ぎ分けることができるだろうか?
そこで次の実験では、ゼリーのような寒天培地の中で同じようなことをしてみた。
するとクマムシは寒天培地の中を動き回ることはできても、オスもメスもお互いのニオイをたどって追うようなことはなかった。
ところが、オスが偶然メスに遭遇すると、その後についていこうとするのだ。一方、メスがオスに出会っても基本は無視だった。
こうしたことから、クマムシが異性に出会うのは水中で、交尾の相手を探すのはもっぱらオスだろうと考えることができる。
なんだか、夏の海やプールで出会いを求める人間の男が思い浮かぶのは、気のせいだろうか?
References:First evidence of sex-specific responses to chemical cues in tardigrade mate searching behaviour | Journal of Experimental Biology / Scientists finally figure out how tardigrades mate | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
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この小さくてタフな生き物は、オスとメスとではっきりとした外見の違いがない。
だから相手の容姿のような視覚的情報から交尾相手を探しているとは考えにくかった。
『Journal of Experimental Biology』(2023年9月22日付)に掲載された研究によれば、メスは水の中でオスを誘う化学的なサインを放出している可能性があるという。
それを嗅いだオスは強く反応し、メスを追いかけようとするのだ。
地球最強生物の交尾相手の探し方 小さな体だが、ずんぐりとした熊を思わせる「クマムシ」は、地球上最強クラスの生物として人類を感嘆させ続けている。
紫外線を無効化し、老化をストップさせるなど、防御力が高すぎることから史上最初の星間旅行パイロットはクマムシになるとすら言われている。
圧倒的にタフなのはオスもメスも変わらない。だからではないだろうが、彼らは外見からなかなか性別を区別することができない。
大きさに多少の違いはあるが、オスとメスを区別するはっきりとした特徴がないのだ。
そのため、1300種もいるクマムシたちが、どのようにして恋のお相手を探しているのかはいまだよくわかっていない。
外見から性別を区別できないので、おそらく人間のように視覚的なサインに頼っているわけではないだろう。
そこで考えられるのが、化学シグナルを手がかりにしているという可能性だ。
フィンランド、ユヴァスキュラ大学の博士研究員ジャスティン・チャートレイン氏らは、この仮説を検証するため、クマムシの出会いを研究してみることにした。
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オスはメスの匂いに誘われる 観察対象となったのは「Macrobiotus polonicus」というクマムシの仲間だ。このクマムシのメスを”部屋”に入れ、すぐ隣の部屋にオスを入れる。部屋と部屋の間にまた別のクマムシを置いて水に沈めた時、真ん中のクマムシはどのように行動するだろうか?
するとこの出会いセッティングでは、オスはオス同士よりも、メスの隣で長く過ごすことがわかったという。やはりオスはメスのニオイを嗅ぎ、それに誘われているらしいことがうかがえた。
ならば水中以外の環境ではどうだろうか? クマムシのオスは、そこでもメスが出す化学的なニオイを嗅ぎ分けることができるだろうか?
そこで次の実験では、ゼリーのような寒天培地の中で同じようなことをしてみた。
するとクマムシは寒天培地の中を動き回ることはできても、オスもメスもお互いのニオイをたどって追うようなことはなかった。
ところが、オスが偶然メスに遭遇すると、その後についていこうとするのだ。一方、メスがオスに出会っても基本は無視だった。
こうしたことから、クマムシが異性に出会うのは水中で、交尾の相手を探すのはもっぱらオスだろうと考えることができる。
なんだか、夏の海やプールで出会いを求める人間の男が思い浮かぶのは、気のせいだろうか?
References:First evidence of sex-specific responses to chemical cues in tardigrade mate searching behaviour | Journal of Experimental Biology / Scientists finally figure out how tardigrades mate | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo
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