意図的に水没させられた600年前の古代都市「獅城」は保存状態良好で今も水中で眠り続ける
 中国浙江省にある千島湖の穏やかな水面の下には、時が止まったままの世界が沈んでいる。それは、600年前の帝国時代の名残り、古代都市の石城だ。


 五獅子山に近いため獅城とも呼ばれることも多いこの都市が最初にできたのは、西暦25年から200年の漢の時代という説と、618年から907年の唐時代という説が議論されている。

 だが、1368年から1912年の明と清の時代に最盛期を迎えたことは、専門家の意見が一致している。

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Scuba Diving the Underwater Ancient Ruins of Shi Cheng (Lion City) at Qiandao Lake in China水力発電所建設のため意図的に沈められた古代都市 見事な建造物があるこの都市は、1959年の新安江水力発電所建設のために、意図的に水没させられ、今は上海の南およそ400kmにある湖の水深4mのところで静かに眠っている。

 水没時には、30万人近くが移住したというが、多くはこの都市に先祖が代々住み、文化的に深いつながりがある人たちだ。

 2001年、中国政府がこの水中遺物調査のため、遠征隊を組織した際に再発見されるまで、実質的に忘れ去られていた。

 10年後、月刊誌『中国国家地理』がこの古代都市について論じ、未公開の写真や過去の様子を描いたイラストを掲載した記事を公開したことで、この遺跡への関心が高まった。

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保存状態は良好、今も水中で眠り続ける古代都市 それ以来、さまざまな探検や探索によって写真が提供され、このタイムカプセルの生活を再現するのに役立った。

 淡水に沈んでいて、光や酸素にさらされることが比較的少なかったため、遺跡の保存状態は驚くほど良好だ。

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 都市自体の規模はそれほど大きくなく、およそ0.5キロ平方m。

 こうした都市には伝統的に、方角に合わせて4つの出入口があるのが普通だが、ここには珍しく5つの出入口がある。獅子、龍、鳳凰など、さまざまな動物の石像が数多く残っていて、1777年にさかのぼる歴史的な碑文もある。

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 現在、この神秘的な水中遺跡への訪問は可能だが、ダイビングなどの経験者のみに限られている。


 この遺跡の調査はまだ終わっていないため、経験の浅い観光客には安全ではないと考えられているからだ。

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 現状は良好だが、この遺跡をこのまま維持していくのは難しいかもしれない。

 しかし、この場所への関心がその保存に役立ち、静かだが非常に印象的な石城の遺跡が、未来の世代によってさらに詳しく探索されることが期待される。

References:Lion City: China’s Perfectly Preserved 600-Year-Old Underwater City | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo

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