うれしいニュース。絶滅寸前のレッドハンドフィッシュの赤ちゃんが飼育下で誕生
 タスマニア大学海洋・南極研究所(IMAS)の研究者が水槽をのぞいてみたところ、うれしい出会いが待っていた。

 それは水に浮かぶ黄色い子たち、彼らが今絶滅の危機から救うとしている魚「レッドハンドフィッシュ」の待望の赤ちゃんたちだ。


 「うれしいニュースです、レッドハンドフィッシュの赤ちゃん21匹が無事に産まれました」と、IMASはRacebookでこの朗報を伝えている。

絶滅寸前のタスマニアの固有種「レッドハンドフィッシュ」 「ハンドフィッシュ保全プロジェクト」によると、「レッドハンドフィッシュ(Thymichthys politus)」は、タスマニア南東部原産の珍しくユニークな魚だ。

 体長は1cmほどで、レッドの名が示す通り、赤やピンクのカラーがパッと目につく。だがそれより人目を引くのは、ヒレを手のように使ってヨチヨチ歩くことかもしれない。ゆえにハンドフィッシュと呼ばれるのだ。

 主に岩場や海藻の間に生息し、小魚や甲殻類を食べている。また、卵を産む際には、特定の海藻に卵を産み付けることが知られている。

 残念なことに、野生の成魚は100匹ほどしかおらず、絶滅が危惧されている。環境破壊や汚染などの影響で、その生息地はタスマニア南東部にある50mほどの岩礁2か所だけになってしまった。

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飼育下での繁殖に成功 だからこそ、今回の赤ちゃんの誕生は素晴らしいビッグニュースなのだ。
 IMASのアンドリュー・トロッター博士は、その意義についてプレスリリースでこう語っている。
ほんのわずかの赤ちゃんかもしれません。
ですが、この子たちはタスマニアで生きている野生のレッドハンドフィッシュの4分の1に相当します

2シーズン連続で繁殖に成功したことは、非常に心強いことです


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次の目標は野生に返すこと 赤ちゃんたちは今後1年ほど専用の”保育園”で育てられ、本来の故郷である野生に返る準備をする。
今の目標は、今年孵化した稚魚を元気に育てることです。成魚間近になったら野生に放し、減少しつつある野生の個体数を増やすのです


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 そう語るトロッター博士の最終的な願いは、レッドハンドフィッシュが自然に繁殖できるようになることだ。

 うれしいニュースだが、油断は禁物。IMASの取り組みはまだまだ続く。

 IMASの絶滅危惧種・生態系チームで共同リーダーを務めるジェミーナ・スチュアート=スミス博士は、「飼育個体数が増え、繁殖プログラムが順調であることにワクワクしています」と喜びを口にする一方、「やるべきことはまだまだあります」と気を引き締めている。

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References:Baby love: 21 red handfish hatched in successful conservation breeding program - Institute for Marine and Antarctic Studies | University of Tasmania / written by hiroching / edited by / parumo

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