
2023年12月9日、最も有名な彗星「ハレー彗星」が、ついに折り返し地点の到達したそうだ。
ハレー彗星は太陽の周りを楕円軌道を描きながらおよそ約76年の周期で1周している。
だが今年12月9日、その旅は太陽から最も遠いポイント「遠日点」に到達し、今度は太陽と地球に向かって帰路につくことになる。
私たちがハレー彗星と再び出会うのは、今から38年後、2061年のことだ。
ハレー彗星が折り返し地点に到達、加速しながら地球に接近 ハレー彗星は地球から肉眼で観測できることから、多くの周期彗星のなかでも古くから知られていた。
観測記録は紀元前までさかのぼるとされ、英国の天文学者エドモンド・ハレー(1656~1742年)が、同じ彗星の回帰であることを最初に発見した。
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ハレー彗星の軌道。同心円状の4円は内側から木星、土星、天王星、海王星 / nagualdesign / WIKI commons
ハレー彗星の遠日点は、太陽から52億6000万kmの彼方。太陽系の1番外側にある惑星「海王星」の軌道のさらに7億5980万kmの先にある。
ハレー彗星が遠日点(軌道上で最も太陽から最も遠い点)に到達するとき、そのスピードは秒速0.909km、時速にして3272kmまで減速する。
1986年2月9日に近日点(軌道上で最も太陽に近づく点)に到達したときは、秒速54.52km、時速19万5609kmだった。
ケプラーの第二法則によれば、天体のスピードは近日点で最速で、遠日点でもっともゆっくりになる。
つまりハレー彗星が遠日点を通過すると、その帰り道ではだんだんと加速し始めるということだ。
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photo by Unsplash
ハレー彗星の太陽系通過予定日 ちなみに下の表は、ハレー彗星が太陽系の惑星の接近するタイミングを予測したものだ。
各軌道の平均距離は天文単位「AU」(1AUは地球と太陽の平均距離)で表されている。また日付はアメリカでのもので日本時間ではない。
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尾を引く姿が肉眼で観測できるのは2061年夏 我々が再びハレー彗星に出会えるのは今から38年後、2061年のことだ。北半球では、春の終わりから初夏にかけて朝の空に現れ始め、人々の興味をかき立てることだろう。
幸いにも、2061年は前回とは違う。1986年当時、彗星は太陽の反対側にあり、なかなか見えなかったが2061年の夏には地球と同じ側にあり、その時よりも10倍以上明るく見えるという。
あと38年生き延びれば、肉眼で「ほうき星」とも呼ばれる尾をひく姿を観測できるチャンスが到来するのだ。
6月中旬、ハレー彗星はおうし座プレアデス星団の北西1.2度に位置している。
その時点では5.6等とかなり暗いため、どんなに観測条件のいい場所でも、その青みがかった尾の長さは1度にもならない。
だが、太陽と地球に接近するにつれて、ハレー彗星はだんだんと暗い空に向かって高く昇り、少しずつ明るく輝き出す。
7月1日(日本時間では違う可能性があることに注意。以下同様)になる頃には4.3等まで明るくなり、2、3度の短い尾を引く。
7月10日頃には、地球から1億5000万km部まで接近し、明るさは3.5等となる。
さらに1週間後、2.5等程度にまで明るくなると、5度くらいの尾をたなびかせるハレー彗星は、ぎょしゃ座が描く五角形を東北東に駆けていく。
7月23日頃、北東の明け方の空の低い位置にいる彗星は、おそらく1等星に匹敵するほど明るく、その尾は天を向くように地平線の真上を指している。
7月25日から28日頃にかけて、ハレー彗星の舞台は朝の空から夜の空へと移り始める。そこ頃には0等星の明るさで、過去にも人々を感動させてきた、明るく白い塵の尾を広げるようになる。
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1986年3月8日に撮影されたハレー彗星 / image credit:public domain/wikimediaステージは夜、そしてクライマックスへ 8月に入ると、ハレー彗星はもっぱら夜の天体となる。最初は満月で見にくいだろうが、8月4日頃には、夜の帳が降りた西の低い空で輝くようになる。
そしてクライマックスは、8月4日から8月8日頃。1等星ほども明るく輝くハレー彗星は、おそらく10~15度ほどのまっすぐな細い尾をたなびかせている。
その後、ハレー彗星は太陽からも地球からも遠ざかり、次第に輝きは弱まっていく。
だが最後の最後にカーテンコールのようなお楽しみもある。12月18日頃、三日月と金星とコラボして、二等辺三角形を夜空に描いてくれるのだ。
ハレー彗星はその後、クリスマスの頃に金星の1度以内を通過するが、そのときには3.3等まで輝きは弱まっている。
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そんなわけで今から38年後、素晴らしい天文ショーが予定されている。が、それをきちんと見られるかどうかはわからない。
現在の地球はあまりに明るすぎるのだ。無数の照明によって闇夜を照らせば、それがせっかくのハレー彗星の輝きを覆い隠してしまう可能性はある。
要するに、次回のハレー彗星のスケジュールはおおむねわかる。だが、少し先の未来の夜空がどうなっているのか、それは私たちの行動次第ということだ。
References:Halley's Comet begins its 38-year journey back toward Earth tonight | Space / written by hiroching / edited by / parumo
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ハレー彗星は太陽の周りを楕円軌道を描きながらおよそ約76年の周期で1周している。
前回太陽に最接近(近日点)したのは37年前の1986年2月9日のこと。以来ハレー彗星は太陽からどんどん遠ざかって旅を続けていた。
だが今年12月9日、その旅は太陽から最も遠いポイント「遠日点」に到達し、今度は太陽と地球に向かって帰路につくことになる。
私たちがハレー彗星と再び出会うのは、今から38年後、2061年のことだ。
ハレー彗星が折り返し地点に到達、加速しながら地球に接近 ハレー彗星は地球から肉眼で観測できることから、多くの周期彗星のなかでも古くから知られていた。
観測記録は紀元前までさかのぼるとされ、英国の天文学者エドモンド・ハレー(1656~1742年)が、同じ彗星の回帰であることを最初に発見した。
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ハレー彗星の軌道。同心円状の4円は内側から木星、土星、天王星、海王星 / nagualdesign / WIKI commons
ハレー彗星の遠日点は、太陽から52億6000万kmの彼方。太陽系の1番外側にある惑星「海王星」の軌道のさらに7億5980万kmの先にある。
ハレー彗星が遠日点(軌道上で最も太陽から最も遠い点)に到達するとき、そのスピードは秒速0.909km、時速にして3272kmまで減速する。
1986年2月9日に近日点(軌道上で最も太陽に近づく点)に到達したときは、秒速54.52km、時速19万5609kmだった。
ケプラーの第二法則によれば、天体のスピードは近日点で最速で、遠日点でもっともゆっくりになる。
つまりハレー彗星が遠日点を通過すると、その帰り道ではだんだんと加速し始めるということだ。
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photo by Unsplash
ハレー彗星の太陽系通過予定日 ちなみに下の表は、ハレー彗星が太陽系の惑星の接近するタイミングを予測したものだ。
各軌道の平均距離は天文単位「AU」(1AUは地球と太陽の平均距離)で表されている。また日付はアメリカでのもので日本時間ではない。
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尾を引く姿が肉眼で観測できるのは2061年夏 我々が再びハレー彗星に出会えるのは今から38年後、2061年のことだ。北半球では、春の終わりから初夏にかけて朝の空に現れ始め、人々の興味をかき立てることだろう。
幸いにも、2061年は前回とは違う。1986年当時、彗星は太陽の反対側にあり、なかなか見えなかったが2061年の夏には地球と同じ側にあり、その時よりも10倍以上明るく見えるという。
あと38年生き延びれば、肉眼で「ほうき星」とも呼ばれる尾をひく姿を観測できるチャンスが到来するのだ。
6月中旬、ハレー彗星はおうし座プレアデス星団の北西1.2度に位置している。
その時点では5.6等とかなり暗いため、どんなに観測条件のいい場所でも、その青みがかった尾の長さは1度にもならない。
だが、太陽と地球に接近するにつれて、ハレー彗星はだんだんと暗い空に向かって高く昇り、少しずつ明るく輝き出す。
7月1日(日本時間では違う可能性があることに注意。以下同様)になる頃には4.3等まで明るくなり、2、3度の短い尾を引く。
7月10日頃には、地球から1億5000万km部まで接近し、明るさは3.5等となる。
さらに1週間後、2.5等程度にまで明るくなると、5度くらいの尾をたなびかせるハレー彗星は、ぎょしゃ座が描く五角形を東北東に駆けていく。
7月23日頃、北東の明け方の空の低い位置にいる彗星は、おそらく1等星に匹敵するほど明るく、その尾は天を向くように地平線の真上を指している。
7月25日から28日頃にかけて、ハレー彗星の舞台は朝の空から夜の空へと移り始める。そこ頃には0等星の明るさで、過去にも人々を感動させてきた、明るく白い塵の尾を広げるようになる。
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1986年3月8日に撮影されたハレー彗星 / image credit:public domain/wikimediaステージは夜、そしてクライマックスへ 8月に入ると、ハレー彗星はもっぱら夜の天体となる。最初は満月で見にくいだろうが、8月4日頃には、夜の帳が降りた西の低い空で輝くようになる。
そしてクライマックスは、8月4日から8月8日頃。1等星ほども明るく輝くハレー彗星は、おそらく10~15度ほどのまっすぐな細い尾をたなびかせている。
その後、ハレー彗星は太陽からも地球からも遠ざかり、次第に輝きは弱まっていく。
だが最後の最後にカーテンコールのようなお楽しみもある。12月18日頃、三日月と金星とコラボして、二等辺三角形を夜空に描いてくれるのだ。
ハレー彗星はその後、クリスマスの頃に金星の1度以内を通過するが、そのときには3.3等まで輝きは弱まっている。
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そんなわけで今から38年後、素晴らしい天文ショーが予定されている。が、それをきちんと見られるかどうかはわからない。
現在の地球はあまりに明るすぎるのだ。無数の照明によって闇夜を照らせば、それがせっかくのハレー彗星の輝きを覆い隠してしまう可能性はある。
要するに、次回のハレー彗星のスケジュールはおおむねわかる。だが、少し先の未来の夜空がどうなっているのか、それは私たちの行動次第ということだ。
References:Halley's Comet begins its 38-year journey back toward Earth tonight | Space / written by hiroching / edited by / parumo
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