
何もないところで転んだり、手先が不器用でよくこぼす、食器を洗うと割ってしまう、運動が苦手でダンスの振り付けが覚えられない。マルチタスクが苦手。
まさにすべてが私に当てはまるわけだが、実はこれ、発達障害のひとつである「発達性協調運動障害(DCD =Developmental Coordination Disorder)」の可能性があるという。
日本ではドジっ子などとも呼ばれているが、DCDの頻度は世界的に見ると6~10%と高く、小学校の30人学級ならクラスに2、3人はいる計算になるという。
極端に不器用で運動が苦手な発達性協調運動障害(DCD) 海外のケースを見ていこう。
ジェニー・ホーランダーさんは9歳のとき、先生から両親が呼び出されて専門家の診断を受けるよう勧められたという。彼女は普通の子とちょっと違っていた。
ジェニーさんは歩くとよく転び、靴紐を結んだりということがとても苦手だった。普通の人なら何も考えずにできるような動作ができなかった。
だからコップを持ち上げたり、ピーナッツを食べたりといったちょっとしたことでも、集中して気を付けながらやらねばならない。ひどく不器用だったのだ。
歩きながら話すとか、音楽を聴きながら作業をするとか、2つのことを同時に行うマルチタスクがまったくできなかった。
検査を受けた数日後、「発達性協調運動障害(DCD)」と診断され、医師からは、脳からのメッセージがスムーズに体に伝わっていないと説明されたそうだ。
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photo by Pixabay最近までよく知られていなかった発達障害の1種 世界の人口のおよそ6%~10%がDCDと推定されている。
にもかかわらず、あまり一般には知られておらず、精神障害の診断と統計マニュアルに記載されたのは2013年と比較的最近のことだ。
ジェニーさんの症状以外にも、階段の上り下りが苦手、縄跳びを飛べない、ボタンをとめるのが下手、お箸やハサミを上手に使えない、ダンスの振り付けを覚えられないなど、さまざまな症状がある。
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photo by iStock普通の人が簡単にできることができない その感覚を説明するのはとても難しいとジェニーさんは語っている。彼女にとって、何をやるにも世界はモタモタとまごつくことになる。
ただ椅子から立ち上がるだけのことでも、まるで綱渡りをするかのように神経を集中させて、手足の位置を確認しなければ転んでしまうという。
食事のときも黙って集中しなければ、不意に食べ物を飲み込んでむせてしまう。食事中に会話をしようとすると圧倒されて、だんだん呼吸が速まり、しまいには視界の端が滲んでくる。
スムーズな動作を行うには、目や耳で得た情報から体や周囲にある物体の位置を認識し、体の各部位を協調させなければならない。
ジェニーさんは極度の例かもしれないが、そこまでいかなくても、DCDの人が体と脳の連動せず、見本を示してもらっても同じように踊ることができない。まっすぐな線を引くのも苦手で、全体的に行動が隙だらけなのだ。
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photo by Pixabay他の発達障害と併存している場合も多い ジェニーさんのようにきちんと診断された子供は運がいいと言えるだろう。
DCDは他の発達障害と併存していることが多く、注意欠如・多動性症(ADHD)の約30~50%、限局性学習障害(LD)の子どもの約50%に見られるという。
自閉症スペクトラム症(ASD)と併存することも多くある。更にこの障害は大人になっても、50~70%と高い頻度で残存すると言われている。
DCDがある人は、それよりも目立つ発達障害があることが多いために、見過ごされてしまうことが多いのだという。
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photo by iStock症状が千差万別、DCDの診断が難しい理由 DCDの診断を難しくしているもう1つの原因は、人によって症状が千差万別であることだ。
たとえばジェニーさんの父親と兄弟もDCD(つまり遺伝的な原因である可能性がある)で、全員がとても不器用なのだが、それぞれ苦手なことが違う。
ジェニーさんは食事が苦手であまり好きではないが、お父さんは大好きだ。ジェニーさんは自転車に乗れるが、お父さんは乗れない。兄弟はサッカーやバスケで遊べるが、字を書いたり、話したりすることは苦手だ。
すべてが苦手な人もいるし、運動、手先の器用さ、文字や会話などどれか1つが苦手な人もいるので、見分けにくいのだという。
DCDだからといって知能が劣っているわけではない。
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photo by Pixabay早いうちに適切なサポートを きちんと診断されていないと、本人は一所懸命やっているのに、怠けていたり、ふざけているとみなされてしまったり、いじめの原因になることもある。
そうした状況は心理的な負担となる。実際、DCDの子供は不安症やうつ病になりやすいという報告もある。
現時点でDCDを治療することはできない。それでも、小さな頃から専門家の支援を仰ぐことで、それによる心や体の負担を軽減することならできる。
もし我が子が人並外れて不器用だと思ったら、作業療法士などの専門家のサポートを必要としているのかもしれない。
ちなみにジェニーさんはアメリカの大学院を卒業して、編集者やライターとして活躍しているそうだ。DCDだからといって、将来を悲観する必要はない。ただその子にあったペースで成長するというだけのことだ。
References:I Have Dyspraxia, a.k.a. DCD. Why Doesn’t America Understand It?/ written by hiroching / edited by parumo
私、パルモはADHDでもあるのだが、何もないところでよく転ぶし、まじめに体育の授業を受けても軟体動物みたいでふざけていると先生からいつも怒られていた。
不器用で醤油を容器に移し替えるだけでこぼしまくるし、お箸は上手に使えないし、ボタン付けの玉結びができたためしがない。
発達性協調運動障害に関してもっと知りたい人は以下のサイトが参考になるかもしれない。
➡極端に不器用な子どもは発達障害の可能性も!? 発達性協調運動障害とは - 記事 | NHK ハートネット
➡【図表でわかる!】発達性協調運動障害(DCD)ってなに?
2021年02月08日の記事を編集して再掲載してお届けします。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
まさにすべてが私に当てはまるわけだが、実はこれ、発達障害のひとつである「発達性協調運動障害(DCD =Developmental Coordination Disorder)」の可能性があるという。
日本ではドジっ子などとも呼ばれているが、DCDの頻度は世界的に見ると6~10%と高く、小学校の30人学級ならクラスに2、3人はいる計算になるという。
極端に不器用で運動が苦手な発達性協調運動障害(DCD) 海外のケースを見ていこう。
ジェニー・ホーランダーさんは9歳のとき、先生から両親が呼び出されて専門家の診断を受けるよう勧められたという。彼女は普通の子とちょっと違っていた。
ジェニーさんは歩くとよく転び、靴紐を結んだりということがとても苦手だった。普通の人なら何も考えずにできるような動作ができなかった。
だからコップを持ち上げたり、ピーナッツを食べたりといったちょっとしたことでも、集中して気を付けながらやらねばならない。ひどく不器用だったのだ。
歩きながら話すとか、音楽を聴きながら作業をするとか、2つのことを同時に行うマルチタスクがまったくできなかった。
検査を受けた数日後、「発達性協調運動障害(DCD)」と診断され、医師からは、脳からのメッセージがスムーズに体に伝わっていないと説明されたそうだ。
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photo by Pixabay最近までよく知られていなかった発達障害の1種 世界の人口のおよそ6%~10%がDCDと推定されている。
自閉症(人口の1%)よりもずっと多い発達障害の1種だそうだ。
にもかかわらず、あまり一般には知られておらず、精神障害の診断と統計マニュアルに記載されたのは2013年と比較的最近のことだ。
ジェニーさんの症状以外にも、階段の上り下りが苦手、縄跳びを飛べない、ボタンをとめるのが下手、お箸やハサミを上手に使えない、ダンスの振り付けを覚えられないなど、さまざまな症状がある。
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photo by iStock普通の人が簡単にできることができない その感覚を説明するのはとても難しいとジェニーさんは語っている。彼女にとって、何をやるにも世界はモタモタとまごつくことになる。
ただ椅子から立ち上がるだけのことでも、まるで綱渡りをするかのように神経を集中させて、手足の位置を確認しなければ転んでしまうという。
食事のときも黙って集中しなければ、不意に食べ物を飲み込んでむせてしまう。食事中に会話をしようとすると圧倒されて、だんだん呼吸が速まり、しまいには視界の端が滲んでくる。
スムーズな動作を行うには、目や耳で得た情報から体や周囲にある物体の位置を認識し、体の各部位を協調させなければならない。
ジェニーさんは極度の例かもしれないが、そこまでいかなくても、DCDの人が体と脳の連動せず、見本を示してもらっても同じように踊ることができない。まっすぐな線を引くのも苦手で、全体的に行動が隙だらけなのだ。
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photo by Pixabay他の発達障害と併存している場合も多い ジェニーさんのようにきちんと診断された子供は運がいいと言えるだろう。
目に見えない障害と言われることもあるくらい、DCDは周囲に気がついてもらいにくいからだ。
DCDは他の発達障害と併存していることが多く、注意欠如・多動性症(ADHD)の約30~50%、限局性学習障害(LD)の子どもの約50%に見られるという。
自閉症スペクトラム症(ASD)と併存することも多くある。更にこの障害は大人になっても、50~70%と高い頻度で残存すると言われている。
DCDがある人は、それよりも目立つ発達障害があることが多いために、見過ごされてしまうことが多いのだという。
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photo by iStock症状が千差万別、DCDの診断が難しい理由 DCDの診断を難しくしているもう1つの原因は、人によって症状が千差万別であることだ。
たとえばジェニーさんの父親と兄弟もDCD(つまり遺伝的な原因である可能性がある)で、全員がとても不器用なのだが、それぞれ苦手なことが違う。
ジェニーさんは食事が苦手であまり好きではないが、お父さんは大好きだ。ジェニーさんは自転車に乗れるが、お父さんは乗れない。兄弟はサッカーやバスケで遊べるが、字を書いたり、話したりすることは苦手だ。
すべてが苦手な人もいるし、運動、手先の器用さ、文字や会話などどれか1つが苦手な人もいるので、見分けにくいのだという。
DCDだからといって知能が劣っているわけではない。
個々の身体機能に問題がないにもかかわらず、協調運動だけが困難なため、ふざけているようにしか見えず、理解されにくいのだ。
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photo by Pixabay早いうちに適切なサポートを きちんと診断されていないと、本人は一所懸命やっているのに、怠けていたり、ふざけているとみなされてしまったり、いじめの原因になることもある。
そうした状況は心理的な負担となる。実際、DCDの子供は不安症やうつ病になりやすいという報告もある。
現時点でDCDを治療することはできない。それでも、小さな頃から専門家の支援を仰ぐことで、それによる心や体の負担を軽減することならできる。
もし我が子が人並外れて不器用だと思ったら、作業療法士などの専門家のサポートを必要としているのかもしれない。
ちなみにジェニーさんはアメリカの大学院を卒業して、編集者やライターとして活躍しているそうだ。DCDだからといって、将来を悲観する必要はない。ただその子にあったペースで成長するというだけのことだ。
References:I Have Dyspraxia, a.k.a. DCD. Why Doesn’t America Understand It?/ written by hiroching / edited by parumo
私、パルモはADHDでもあるのだが、何もないところでよく転ぶし、まじめに体育の授業を受けても軟体動物みたいでふざけていると先生からいつも怒られていた。
不器用で醤油を容器に移し替えるだけでこぼしまくるし、お箸は上手に使えないし、ボタン付けの玉結びができたためしがない。
なので器用さが要求される仕事は人に迷惑がかかるので避けるようにしていたが、これってDCDだったのか!
発達性協調運動障害に関してもっと知りたい人は以下のサイトが参考になるかもしれない。
➡極端に不器用な子どもは発達障害の可能性も!? 発達性協調運動障害とは - 記事 | NHK ハートネット
➡【図表でわかる!】発達性協調運動障害(DCD)ってなに?
2021年02月08日の記事を編集して再掲載してお届けします。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
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