珍しい白色のペンギンが南極基地で目撃される
 南極の基地で、体の色がほとんど白い珍しいジェンツーペンギンが発見された。

 本来なら頭が黒く、目の周りだけ白い羽毛があるのが特徴だが、このメスのペンギンは、黒い羽毛のある部分が、白に近い薄いグレーで、遠くから見るとほとんど白に見える。


 目の色は普通のペンギンと変わらない黒っぽい色をしていたことから、アルビノではなく、白変種(リューシズム)の可能性が高いという。

南極で白色のペンギンが発見される 2024年1月15日、南極にあるチリのガブリエル・ゴンザレス・ビデラ基地で、仲間のペンギンたちに比べて1匹だけ白っぽいジェンツーペンギンが見つかった。

 南極大陸に生息するジェンツーペンギンは全長が51cmから90cm、体重が5kgから8.5kgほどで、ペンギン全種(18種)のうちで3番目に大きい。

 頭と背中の部分が黒く、腹側が白く、足はピンク色または橙色をしている。目の上の一部が白色をしており、この模様が、ターバンのように見えることから、フォークランド諸島でのインド系の人々の呼び名である「ジェンツー」の名前が付けられた。

 今回発見されたメスのジェンツーペンギンは、特徴である黒い部分の色がとても薄くなっており、遠くから見ると全身が白っぽく見える。

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白変種の可能性 自然界で稀に白い個体が発生することがあるが、それらはアルビノか、白変種であることが多い。

 このペンギンは目の色は本来の色をしていたため、白変種である可能性が高いという。

 白変種はアルビノとは異なり遺伝情報は正常だが、なんらかの要因で色素が減少し、体毛・羽毛・皮膚などが白化する。

 メラニン色素の生成が全体に影響を与えるわけではないため、目の色素細胞には影響しないことから、アルビノのように赤色の目にはならない。

 白変種の個体が健康上の問題を抱えることは少ないが、全身が白いことで捕食者から狙われやすいと考えられている。

 ペンギンの背中が黒い理由は、海を泳いでいる時に目立たなくなるからと言われている。
海の色と同化するため、上からの敵に狙われにくくなり、黒い岩肌で身を隠すこともできるからだ。

 それが白いとなると少し不利かもしれないが、雪や氷に覆われた南極なら、逆に白いことが有利に働くかもしれない。[画像を見る]  よく見ると斑点のような模様があるようにも見えるけど、これは模様なのだろうか?それとも汚れがついたのだろうか?

 実は鳥類には、白変種の一形態であるイザベリニズム(isabellinism)という白化現象も確認されている。

 これは鳥の羽色が通常よりもずっと薄くなる遺伝的な特徴のことで、白変種同様メラニン色素が十分に作れなかったり、色素の分布を不均一にさせる。そのため、白い斑点や模様などが現れることがあるという。

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 いずれにせよこの白いペンギンが、末永く元気で暮らせるように、南極基地の科学者たちが見守ってくれることだろう。

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written by parumo

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