22年間便秘に悩まされた男性、直腸に詰まった13kgの便を摘出手術
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 便通は本来、毎日あるのが健康な状態だ。 3日以上でなかったり、便が硬くて量が少なく残便感があったりする状態を便秘というが、この男性はなんと生まれてから22年間、ずっと便秘の状態が続いていたという。


 これは先天性の病気によるものだったのだが、そのことを知らなかった中国人男性は、22歳の時にようやく便の摘出手術を行った。

 その結果、医師は直腸の一部をきりとり、約13kgの便を男性の体内から取り除くことに成功した。

生まれてから22年間便秘状態だった男性 上海に住む匿名男性(22歳)は、生まれてから一度もまともに排便をしたことがなく、22年間にわたって便秘状態が続いていた。

 便秘を解消するために下剤を飲んだりしていたが、まったく効き目がなかったという。あまりにも便秘が続いていたことから男性の腹部は重く膨れ上がっていた。

 それでも22年間男性は病院にかかることをしなかった。
親が「たいしたことはない」と深刻に受け止めなかったことも理由だった。

 だがあまりにも苦しくなったため、男性は病院で診察を受けることにした。

 そして、初めて自分がヒルシュスプルング病という珍しい先天性疾患を患っていたことを知った。ヒルシュスプルング病とは? 5000人に1人の割合で、通常新生児に発症するとされているヒルシュスプルング病は、赤ちゃんの腸の神経細胞(神経節細胞)の一部がうまく発達せず、腸を通る便の進行が遅れる症状がみられるそうだ。

 この病気の症状には、生後48時間以内に排便がない、腹部膨満感(お腹が膨らむ)、徐々に始まる嘔吐、発熱、便秘または規則的な排便がない、などがある。

 慢性的な便秘は老廃物を溜め込み、いわゆる「巨大結腸」を引き起こす。


 早期に治療しないと、毒素が血流に混じって生命を脅かす合併症である敗血症を発症する可能性があるという。

 日本では難病指定されていて、難病情報センターのウェブサイトにも記載されているが、ボストン小児病院のウェブサイトでは「腸が便でふさがれ、赤ちゃんや子供は正常な排便ができないことから便秘になる。多くの場合、腸炎と呼ばれる深刻な感染症が起こり、発熱、痛み、下痢を引き起こす」とある。

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 ヒルシュスプルング病は誰もが生まれつき発症するとは限らず、年長になってからその病の徴候が出始める子供もいると言われている。

 年長児の症状としては、時間とともに悪化する便秘、食欲不振、成長の遅れ、小さくて水っぽい便、腹部膨満感などがあるそうだ。

 この男性の場合、そのような病気を持っていたことを本人も親も知らなかった。


 ルー医師による手術で、初めて男性患者は自分がヒルシュスプルング病を持って生まれきたことがわかったのだ。13kgの便を摘出する手術を受ける 2017年、上海第10人民病院のイン・ルー医師が初めてこの患者を診察したとき、男性の腹部は妊娠9か月以上に見えたそうだ。

 便と毒素の混じったガスとで男性の腹部はパンパンに膨らんでいたのだ。

 医師は男性患者の大腸に大量の便が溜まっていることを突き止め、早急に3時間に及ぶ手術を行った。

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image credit:Shanghai Tenth People's Hospital

 最終的に腫れあがった直腸の一部を切除しなければならなかったが、その中には13kgもの便が詰まっていた。

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 ルー医師は、子供が便秘で苦しんでいる場合、親は放置しないようにと忠告している。


References:Man who was constipated for 22 years had surgery to remove faeces that had accumulated since birth/ written by Scarlet / edited by parumo

追記(2024/02/24)本文を一部訂正して再送します。

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