
か、過労死…いや過労止か?二足歩行ロボットが20時間にわたる作業の末に倒れた動画が、Xで再生数300万回超の反響を巻き起こした。
耐久性を示すデモ展示の最中に、突然倒れたロボット。それはアメリカを拠点とする Agility Robotics(アジリティ ロボティクス) 社の「 Digit(ディジット)」 だった。
だが安心してほしい。これはバッテリー残量低下によるシャットダウンで、展示自体はほぼ成功なんだそう。いったいどういうこと?
展示会で20時間働き続けて倒れたロボット 先日アメリカで開催された国際的な物流展示会でのことだ。
ディジットは長時間作業に特化した二足歩行ロボットとして、その性能を黙々と披露していた。
この日の実演は、棚のいろいろな高さに置かれているボックスを引っ張り出し、背後のベルトコンベアまで運んで乗せる作業。それをスローながらも延々と続けていたのだ。
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image credit:agilityrobotics/x
ところが開始から20時間が過ぎたころ
その動きに急に異変が。
ボックスを持ったディジットがバランスを突如崩し…
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一気に膝からガシャンとくずおれ、うつぶせのまま不動に!
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けなげにもボックスを手放さぬように努めるも、ついには停止し息絶えたようなディジット。見ていた人たちも、唐突な終了に固まっていた。過労死じゃなく営業のため?メーカーはむしろ成功と評価 直前まで働いていたロボットの急変は、人間の過労死を彷彿とさせるものがあるが、ディジットの製造元でこの動画の投稿主でもある、 Agility Robotics(アジリティ・ロボティクス)社はこう説明する。
約20時間にわたるライブデモの成功率は99%だったが、Digit はこの展示で何度か転倒した
確証はないが、手足のパーツがすぐ交換可能なことや、その耐久性を説明する目的で営業チームが仕組んだと思われる
つまり今回ディジットは、高い耐久性はもとより、万一倒れて手や足のパーツが壊れてもすぐに交換可能なことをアピールするために、あえて倒れるままになったらしい。With a 99% success rate over about 20 hours of live demos, Digit still took a couple of falls at ProMat.
— Agility Robotics (@agilityrobotics) April 6, 2023
We have no proof, but we think our sales team orchestrated it so they could talk about Digits quick-change limbs and durability. #ConspiracyTheories pic.twitter.com/aqC5rhvBTj
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また20時間以上にわたる動作デモとしては、失敗どころか成功寄りの結果だったもよう。「わかる」「休憩させないから…」「嫌気がさしたのかも」の声 とはいえ、二足歩行で愛着がわきやすいロボットの死を思わせる衝撃的な瞬間は300万回以上も再生され、視聴者からこんなコメントが相次いだ。
・わかりすぎるほどわかる。ディジットが倉庫の作業のお手伝い ディジットは、平坦な床を自在に歩き、商品を運ぶ仕事が得意な二足歩行のヒューマノイドロボットだ。
・休憩させないから…
・過労死かな?
・働くのに嫌気がさしたのかも。
・ディジットの先行きが心配になる。誤った方向に行かなきゃいいけど。
・倉庫の自動化に便利そうだが仕事の出来栄えや耐久性に一貫性が必要。
彼らはダチョウみたいな脚でしゃがんだり、背伸びすることができ、さまざまな位置に収納されてる商品もちゃんと取り出して運べる。Is this stability testing or an excuse to take Digit out on a nice spring day? Sometimes it's hard to know the difference. ☀️ pic.twitter.com/yFk6NSgsBb
— Agility Robotics (@agilityrobotics) April 28, 2023
そんなディジットの主な仕事は、倉庫の特定の場所にある二次元コードで位置を認識し、商品が入ったカゴを持ち上げ、所定の位置に移動するなどのタスクを実行することだ。他のロボットとともにアマゾンの倉庫で働くディジット 現在ディジットは、アメリカのシアトルにある米アマゾンの倉庫に試験的に導入されている。
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image credit:Agility Robotics
そこにはディジットのほかに、商品管理が専門の次世代型ロボット「Sequoia(セコイア)」もいる。
セコイアは見た目ロボットとかけ離れており、どちらかといえば設備寄りの作業台っぽい外見だ。
その倉庫では人間のスタッフが商品のスキャン作業を担当するが、セコイアはスキャン済みの商品を入れるカゴをスタッフのほうに流すなどして、これまで人間の負担だった、手を伸ばす、しゃがむなどの動作を減らし、全体の作業をスムーズにする。
一方ディジットは、商品が入った重いカゴをせっせと運ぶなど、やはり人間の体に負担になる仕事を引き受けている。
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Agility Robotics Broadens Relationship with Amazon
ただその倉庫はアマゾンのロボティクス研究開発施設の一部であり、こうしたロボットシステムの試験運用も昨年秋に始まったばかり。なので本格的な運用はもっと先になりそうだが、自動化の波はもうそこまで来ている。
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倉庫作業の安全性を高め、より迅速に顧客のもとに商品を届けようとするアマゾン。未来の物流の主力はいよいよロボットにシフトしそうだ。
References:ndtv / agilityrobotics/X / youtube / roboticsandautomationmagazine / geekwireなど /written by D/ edited by parumo
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