
これまで見つかった中でも一番のご近所さん。地球からわずか40光年の先で、地球に似た温帯の惑星が見つかった。
「グリーゼ12b」と名付けられたこの太陽系外惑星は、日本のアストロバイオロジーセンターと東京大学のチームが発見したもので、その大きさは地球と金星の中間くらいだという。
こうした特徴からグリーゼ12bは、惑星に生命を育む環境が作られる条件を知る貴重な手がかりと考えられている。
新たに発見された太陽系外惑星「グリーセ12b」 NASAが運用する宇宙望遠鏡「TESS」は、空の広い範囲を見渡し、20秒から30分の間隔で何万もの星々の明るさがどう変化するのか観察している。
星の前を何らかの物体が通過すれば、光が遮られて、地球からは暗く見える。だから定期的に暗くなる星は、その周囲を惑星が公転している可能性が高い。
このような惑星発見法を「トランジット法」という。
この方法で新たに発見されたのが、魚座の方角へ40光年離れた先にある赤色矮星「グリーゼ 12」の周りを回る惑星だ。
「グリーゼ12b」と命名されたその惑星は、12.8日周期でグリーゼ 12を公転している。
[画像を見る]
地球の直径は約12,742kmで、金星の直径は約12,104kmだ。グリーゼ12bはちょうどその間くらいの大きさだ。地球と同じくらいともいえるし、金星と同じくらいともいえる。
アストロバイオロジーセンター特任助教の葛原昌幸氏はこう述べた。
このようにグリーゼ 12が小さいことも、それほど大きくない惑星を見つけるのに都合が良かった。
小さい星は前を天体が通過すればそれだけ暗くなりやすいし、質量が小さいために公転する惑星に揺すられやすい。そのおかげで、金星くらいの小さな惑星でも見つけやすいのだ。
また恒星があまり明るくないということは、「ハビタブルゾーン」(地球と似た生命が存在できる天文学上の領域)が恒星に近いということでもある。
そのためグリーゼ 12のような赤色矮星は、もっと明るくハビタブルゾーンが離れている恒星よりも、ハビタブルゾーン内の惑星を見つけやすい。
グリーゼ 12からグリーゼ 12 bまでの距離は、地球と太陽の距離のわずか0.07倍と非常に近い。にもかかわらず、グリーゼ 12 bが浴びているエネルギーは、地球が太陽から受ける量の1.6倍と金星と同レベルだ。
こうしたことを踏まえると、グリーゼ 12 bに大気がないとするなら、その表面温度は42度と推定される。地球と金星の中間くらいの温度である。
[画像を見る]
グリーゼ 12 bのイメージ図 / image credit:NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (Caltech-IPAC)惑星に生命が宿る環境ができる条件とは? こうした特徴のおかげでグリーゼ 12 bは、惑星に生命が育まれる環境が出来上がるための条件や、私たちが暮らす太陽系の進化を調べるうえで格好のターゲットとなっている。
もう1つの研究チームに参加したサザンクイーンズランド大学のシシル・ドラキア氏は次のように語る。
その一方、地球は生命豊かな惑星となったが、金星からは水が完全に失われ、生き物が住むことのできない惑星になった。
では地球と金星の中間くらいの温度であるグリーゼ 12 bはどうだろう?
現時点でこの惑星に大気があるかどうかは不明だ。だがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの強力な望遠鏡なら、それを直接観測できるだろうという。
グリーゼ 12 bが恒星の前を通過するとき、恒星の光は惑星の大気を通過する。だからその光を分析すれば、その大気がどのような成分でできており、水蒸気・酸素・二酸化炭素といった生命と関係のある成分があるかどうかわかるのだ。
なお惑星が大気と維持するうえで重要となるのが、それが公転している恒星の嵐の強さだ。一般に赤色矮星は磁気的に活発で、強力なX線フレアが頻発する。
だが今のところ、グリーゼ 12が荒れ狂っている兆候は観察されていないとのことだ。
[動画を見る]
葛原氏らの研究は『The Astrophysical Journal Letters』(2024年5月23日付)に、ドラキア氏らの研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(2024年5月23日付)に掲載された。
追記:(2024/05/31)本文を一部訂正して再送します。
References:TESS finds intriguing world sized between Earth and Venus / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
「グリーゼ12b」と名付けられたこの太陽系外惑星は、日本のアストロバイオロジーセンターと東京大学のチームが発見したもので、その大きさは地球と金星の中間くらいだという。
こうした特徴からグリーゼ12bは、惑星に生命を育む環境が作られる条件を知る貴重な手がかりと考えられている。
新たに発見された太陽系外惑星「グリーセ12b」 NASAが運用する宇宙望遠鏡「TESS」は、空の広い範囲を見渡し、20秒から30分の間隔で何万もの星々の明るさがどう変化するのか観察している。
星の前を何らかの物体が通過すれば、光が遮られて、地球からは暗く見える。だから定期的に暗くなる星は、その周囲を惑星が公転している可能性が高い。
このような惑星発見法を「トランジット法」という。
この方法で新たに発見されたのが、魚座の方角へ40光年離れた先にある赤色矮星「グリーゼ 12」の周りを回る惑星だ。
「グリーゼ12b」と命名されたその惑星は、12.8日周期でグリーゼ 12を公転している。
[画像を見る]
地球の直径は約12,742kmで、金星の直径は約12,104kmだ。グリーゼ12bはちょうどその間くらいの大きさだ。地球と同じくらいともいえるし、金星と同じくらいともいえる。
アストロバイオロジーセンター特任助教の葛原昌幸氏はこう述べた。
この惑星に大気があるかどうかまだ不明ですが、太陽系の金星と同程度の大きさで、恒星から受けるエネルギーも同じくらいだと考えています(葛原特任助教)赤色矮星であるグリーゼ 12は、太陽の27%ほどの大きさで、表面温度は太陽の約60%だ。
このようにグリーゼ 12が小さいことも、それほど大きくない惑星を見つけるのに都合が良かった。
小さい星は前を天体が通過すればそれだけ暗くなりやすいし、質量が小さいために公転する惑星に揺すられやすい。そのおかげで、金星くらいの小さな惑星でも見つけやすいのだ。
また恒星があまり明るくないということは、「ハビタブルゾーン」(地球と似た生命が存在できる天文学上の領域)が恒星に近いということでもある。
そのためグリーゼ 12のような赤色矮星は、もっと明るくハビタブルゾーンが離れている恒星よりも、ハビタブルゾーン内の惑星を見つけやすい。
グリーゼ 12からグリーゼ 12 bまでの距離は、地球と太陽の距離のわずか0.07倍と非常に近い。にもかかわらず、グリーゼ 12 bが浴びているエネルギーは、地球が太陽から受ける量の1.6倍と金星と同レベルだ。
こうしたことを踏まえると、グリーゼ 12 bに大気がないとするなら、その表面温度は42度と推定される。地球と金星の中間くらいの温度である。
[画像を見る]
グリーゼ 12 bのイメージ図 / image credit:NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (Caltech-IPAC)惑星に生命が宿る環境ができる条件とは? こうした特徴のおかげでグリーゼ 12 bは、惑星に生命が育まれる環境が出来上がるための条件や、私たちが暮らす太陽系の進化を調べるうえで格好のターゲットとなっている。
もう1つの研究チームに参加したサザンクイーンズランド大学のシシル・ドラキア氏は次のように語る。
グリーゼ 12 bは、冷たい恒星を公転する地球サイズの惑星に大気があるかどうかを知るための格好のターゲットで、天の川銀河にある惑星の居住可能性を理解するうえで重要な手がかりです(ドラキア氏)地球と金星の場合、最初にそれを覆っていた大気は剥ぎ取られたが、その後の火山の噴火や太陽系の物質の衝突によって回復したと考えられている。
その一方、地球は生命豊かな惑星となったが、金星からは水が完全に失われ、生き物が住むことのできない惑星になった。
では地球と金星の中間くらいの温度であるグリーゼ 12 bはどうだろう?
現時点でこの惑星に大気があるかどうかは不明だ。だがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの強力な望遠鏡なら、それを直接観測できるだろうという。
グリーゼ 12 bが恒星の前を通過するとき、恒星の光は惑星の大気を通過する。だからその光を分析すれば、その大気がどのような成分でできており、水蒸気・酸素・二酸化炭素といった生命と関係のある成分があるかどうかわかるのだ。
なお惑星が大気と維持するうえで重要となるのが、それが公転している恒星の嵐の強さだ。一般に赤色矮星は磁気的に活発で、強力なX線フレアが頻発する。
だが今のところ、グリーゼ 12が荒れ狂っている兆候は観察されていないとのことだ。
[動画を見る]
葛原氏らの研究は『The Astrophysical Journal Letters』(2024年5月23日付)に、ドラキア氏らの研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(2024年5月23日付)に掲載された。
追記:(2024/05/31)本文を一部訂正して再送します。
References:TESS finds intriguing world sized between Earth and Venus / written by hiroching / edited by / parumo
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