
地球の中心にある「内核」の回転が本当に遅くなっていることが新たな研究で確認された。
これまでも内核の回転が遅くなっている可能性を示唆する研究はあったが、今回の研究は121回の地震データからその正しさを裏付けるより確かな答えが得られている。
それによって破局的な災害が起きることはなさそうだだが、ほんの少しだけ1日の長さが変化することはあるかもしれない。
地震計が示す内核の減速 地球の核は地表から2900kmの地下にあるが、その核は固体の層を外核である液体層が包むような構造をしている。内核はより内側にある固体の層のことだ。
南カリフォルニア大学の地球科学者ジョン・ヴィデール氏は、「この変化を示す地震計を最初目にしたとき、とまどいました」「それでも同じパターンを示すデータがさらに20個も見つかったので、認めるしかありませんでした」と語る。
内核の回転がここ数十年で減速しているのでは、と考える科学者はこれまでにもいた。だが今回の最新の研究は、「もっとも説得力のある答え」であるという。
内核は超高温・超高密度の鉄とニッケルの塊で、月の3分の2ほどの大きさと考えられている。だが内核があるのは、マントルの下にある外核のさらに下、約4800kmの地下であるため、その状態を調べるのは簡単ではない。
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一番内側にある球が内核。その外側を液体の外核がおおっている/USC
手がかりの1つは地震の伝わり方だ。ある場所で発生した地震の波は、地球の内部を伝わって、また別の場所に届く。
このときの地震波のスピードは内部の状況によって左右される。
ヴィデール氏らは、南大西洋のサウスサンドイッチ諸島周辺で1991~2023年にかけて記録された121回の繰り返し地震のほか、数回の核実験による振動のデータを分析。その結果、内核の回転が本当に遅くなっているであろうことが確認された。
減速は2010年頃に始まったようだ。その原因としては、地磁気を作り出す外核の絶え間ない動きや、重力といったものが考えられるという。
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地下を伝わる地震波から、地球内部の様子を知ることができる/Wang et al., Nature, 2024内核の減速は人類にどのような影響をもたらすのか? このことが何を意味するのか、今のところ確かなことはわからない。
内核の速度の変化はおろか、反転したりぐらつくことだって、それほど珍しくはない。2023年の研究によると、自転軸を中心に8.5年の周期で起きているという。
だからそう悲観的に考える必要もなさそうだが、もしかしたら昼と夜の長さがほんの少し変わることはあるかもしれない。
とはいっても、それは普通の人間では気づきもしない、ごくわずかな違いだ。
「内核のダンスは、想像以上に活発なのかもしれません」とヴィデール氏は話している。
この研究は『Nature』(2024年6月12日付)に掲載された。
追記:(2024/06/16)本文を一部訂正して再送します。
References:USC study confirms the rotation of Earth’s inner core has slowed / written by hiroching / edited by / parumo
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これまでも内核の回転が遅くなっている可能性を示唆する研究はあったが、今回の研究は121回の地震データからその正しさを裏付けるより確かな答えが得られている。
それによって破局的な災害が起きることはなさそうだだが、ほんの少しだけ1日の長さが変化することはあるかもしれない。
地震計が示す内核の減速 地球の核は地表から2900kmの地下にあるが、その核は固体の層を外核である液体層が包むような構造をしている。内核はより内側にある固体の層のことだ。
南カリフォルニア大学の地球科学者ジョン・ヴィデール氏は、「この変化を示す地震計を最初目にしたとき、とまどいました」「それでも同じパターンを示すデータがさらに20個も見つかったので、認めるしかありませんでした」と語る。
内核の回転がここ数十年で減速しているのでは、と考える科学者はこれまでにもいた。だが今回の最新の研究は、「もっとも説得力のある答え」であるという。
内核は超高温・超高密度の鉄とニッケルの塊で、月の3分の2ほどの大きさと考えられている。だが内核があるのは、マントルの下にある外核のさらに下、約4800kmの地下であるため、その状態を調べるのは簡単ではない。
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一番内側にある球が内核。その外側を液体の外核がおおっている/USC
手がかりの1つは地震の伝わり方だ。ある場所で発生した地震の波は、地球の内部を伝わって、また別の場所に届く。
このときの地震波のスピードは内部の状況によって左右される。
だから、地震波の伝わり方をいくつも調べれば、内核の様子を想像できるのだ。
ヴィデール氏らは、南大西洋のサウスサンドイッチ諸島周辺で1991~2023年にかけて記録された121回の繰り返し地震のほか、数回の核実験による振動のデータを分析。その結果、内核の回転が本当に遅くなっているであろうことが確認された。
減速は2010年頃に始まったようだ。その原因としては、地磁気を作り出す外核の絶え間ない動きや、重力といったものが考えられるという。
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地下を伝わる地震波から、地球内部の様子を知ることができる/Wang et al., Nature, 2024内核の減速は人類にどのような影響をもたらすのか? このことが何を意味するのか、今のところ確かなことはわからない。
内核の速度の変化はおろか、反転したりぐらつくことだって、それほど珍しくはない。2023年の研究によると、自転軸を中心に8.5年の周期で起きているという。
だからそう悲観的に考える必要もなさそうだが、もしかしたら昼と夜の長さがほんの少し変わることはあるかもしれない。
とはいっても、それは普通の人間では気づきもしない、ごくわずかな違いだ。
ほとんど気づかないような、1000分の1秒単位のことです。ほとんどが海や大気の変動に紛れてしまう程度のものですね(ヴィデール氏)確かなことは、この研究によって地球の内部について理解が深まったということだ。
「内核のダンスは、想像以上に活発なのかもしれません」とヴィデール氏は話している。
この研究は『Nature』(2024年6月12日付)に掲載された。
追記:(2024/06/16)本文を一部訂正して再送します。
References:USC study confirms the rotation of Earth’s inner core has slowed / written by hiroching / edited by / parumo
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