
驚異の潜水能力を持つオサガメならそこいらの潜水艦よりまだいける。多くの生物が水圧でぺちゃんこになる深さでもへっちゃらで潜ることができるのだ。
現生カメ類最大の種であるオサガメは、成体で甲長最大約180cm以上にもなる絶滅危惧種だが、このほど話題になったのは、ウケ・ササコロというのメスのオサガメが出した、ギネスのウミガメ潜水記録よりさらに深い記録だ。
その栄えある記録は、なんと深さ1,344m(4,409フィート)。もとから潜水好きな彼女はソロモン諸島で産卵した後、この驚異的な深海ダイブを達成したという。
従来のギネス記録より深い。深さ1,344mまで潜ったオサガメ このほどオサガメの新たな潜水記録を報告したのは、世界的な環境保護団体「ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(The Nature Conservancy)」だ。
同団体は、オサガメの保護を目的にその回遊ルートを探る研究で、オサガメ(長亀、Dermochelys coriacea)17匹にタグ付けていたが、その中の1匹がウケ・ササコロだった。
2023年12月にタグ付けされたウケ・ササコロは、ソロモン諸島で産卵すると、南東に泳ぎ、採餌地であるニュージーランドに向かった。その旅の途中、彼女は少なくとも海面下1,344m(4,409フィート)まで潜ったという。
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image credit:c Justine E. Hausheer/TNC
なおこれまでのギネス記録は、やはりオサガメのもので、2006年にアフリカ大陸最西端の岬、ベルデの南西から大西洋までの間に記録された深さ1,280m(4,199フィート)だった。
ただギネス公式の更新については、今回の記録が、論文発表を控えた学術的な記録のため、そちらの審査や発表が終わるのを待っている状態だ。
ついでにいうとこのオサガメの名前、ウケ・ササコロとは「ササコロから」という意味だそう。
このオサガメが南太平洋で最大のオサガメの営巣地であり、現在レンジャーの監視下にある、ソロモン諸島の砂浜ササコロ ビーチの一角から出発したことを意味するそうだ。
科学誌ライブサイエンス(livescience)によると、これらオサガメは潜水艦より深く潜ることができるという。
一般的な潜水艦の潜航深度は約900m(2,950フィート)程度で、人間(ダイバー)にいたっては、最深でおよそ332m (1,090フィート)程度だ。
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オサガメと一緒にダイブを楽しむダイバーの映像甲長180cmにもなるカメ目最大種のオサガメ カメ目 オサガメ科 オサガメ属のオサガメは、インド洋、大西洋、太平洋、地中海など、熱帯から温帯にかけての外洋に生息し、主に海中のクラゲを食する。
この種はカメ目最大の種で、成体は最大甲長180cm超、体重700kgにもなるとされ、その前鰭は3m近くになる。また過去の記録によれば甲長およそ260cm、体重900kg超の個体もいたとされている。
その背中は他のウミガメと質が異なり、骨質の甲羅ではなく皮膚で覆われている。これが英名の「Leatherback turtle」(レザーバックタートル)の由来になっている。
また骨格の軽さでも知られ、中空の骨の内部に大量の油をもつ。これらの特殊な特徴から、弾力のある体のカメともいわれている。
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photo by iStock最長70分息継ぎなしで潜水し水圧の変化にも適応 オサガメの並外れた潜水能力は有名だが、その生態はいまだ謎に包まれている。
前述したように、彼らの主食はクラゲで、浅瀬の水草を食べることもないため、産卵期以外のメスを除けば陸に寄ってくることもめったにない。
しかも彼らは赤ちゃん時代ですら、陸にいることがほぼない。卵から孵化したとたんに海に出て、外洋に直行して、あちこちの海をめぐり潜りながら暮らす。
潜水中の息継ぎが心配になるが、オサガメたちは最長約70分間も潜っていられる。
また水圧に対し収縮と膨張を繰り返すことができる特殊な体で、潜水から浮上に伴う圧力の変化にも適応しているそうだ。
このように研究者にとっても非常に興味深いオサガメだが、現在、地球上に繁殖可能な成体のオサガメはわずか 1,400 匹しかいないという。
原因は、卵の乱獲や漁に巻き込まれて捕獲されるほか、観光客による産卵地の環境悪化があげられている。
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References:iflscience / guinnessworldrecords / wikipedia / livescienceなど /written by D/ edited by parumo
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現生カメ類最大の種であるオサガメは、成体で甲長最大約180cm以上にもなる絶滅危惧種だが、このほど話題になったのは、ウケ・ササコロというのメスのオサガメが出した、ギネスのウミガメ潜水記録よりさらに深い記録だ。
その栄えある記録は、なんと深さ1,344m(4,409フィート)。もとから潜水好きな彼女はソロモン諸島で産卵した後、この驚異的な深海ダイブを達成したという。
従来のギネス記録より深い。深さ1,344mまで潜ったオサガメ このほどオサガメの新たな潜水記録を報告したのは、世界的な環境保護団体「ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(The Nature Conservancy)」だ。
同団体は、オサガメの保護を目的にその回遊ルートを探る研究で、オサガメ(長亀、Dermochelys coriacea)17匹にタグ付けていたが、その中の1匹がウケ・ササコロだった。
2023年12月にタグ付けされたウケ・ササコロは、ソロモン諸島で産卵すると、南東に泳ぎ、採餌地であるニュージーランドに向かった。その旅の途中、彼女は少なくとも海面下1,344m(4,409フィート)まで潜ったという。
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image credit:c Justine E. Hausheer/TNC
なおこれまでのギネス記録は、やはりオサガメのもので、2006年にアフリカ大陸最西端の岬、ベルデの南西から大西洋までの間に記録された深さ1,280m(4,199フィート)だった。
ただギネス公式の更新については、今回の記録が、論文発表を控えた学術的な記録のため、そちらの審査や発表が終わるのを待っている状態だ。
ついでにいうとこのオサガメの名前、ウケ・ササコロとは「ササコロから」という意味だそう。
このオサガメが南太平洋で最大のオサガメの営巣地であり、現在レンジャーの監視下にある、ソロモン諸島の砂浜ササコロ ビーチの一角から出発したことを意味するそうだ。
一般的な潜水艦より深く潜水 オサガメは高い潜水能力で知られるが、中でもウケ・ササコロは深海に潜るのが好きな個体らしく、この旅の間になんと4回も、水深約1,200m(3,900フィート以上)まで潜っていた。
科学誌ライブサイエンス(livescience)によると、これらオサガメは潜水艦より深く潜ることができるという。
一般的な潜水艦の潜航深度は約900m(2,950フィート)程度で、人間(ダイバー)にいたっては、最深でおよそ332m (1,090フィート)程度だ。
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オサガメと一緒にダイブを楽しむダイバーの映像甲長180cmにもなるカメ目最大種のオサガメ カメ目 オサガメ科 オサガメ属のオサガメは、インド洋、大西洋、太平洋、地中海など、熱帯から温帯にかけての外洋に生息し、主に海中のクラゲを食する。
この種はカメ目最大の種で、成体は最大甲長180cm超、体重700kgにもなるとされ、その前鰭は3m近くになる。また過去の記録によれば甲長およそ260cm、体重900kg超の個体もいたとされている。
その背中は他のウミガメと質が異なり、骨質の甲羅ではなく皮膚で覆われている。これが英名の「Leatherback turtle」(レザーバックタートル)の由来になっている。
また骨格の軽さでも知られ、中空の骨の内部に大量の油をもつ。これらの特殊な特徴から、弾力のある体のカメともいわれている。
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photo by iStock最長70分息継ぎなしで潜水し水圧の変化にも適応 オサガメの並外れた潜水能力は有名だが、その生態はいまだ謎に包まれている。
前述したように、彼らの主食はクラゲで、浅瀬の水草を食べることもないため、産卵期以外のメスを除けば陸に寄ってくることもめったにない。
しかも彼らは赤ちゃん時代ですら、陸にいることがほぼない。卵から孵化したとたんに海に出て、外洋に直行して、あちこちの海をめぐり潜りながら暮らす。
潜水中の息継ぎが心配になるが、オサガメたちは最長約70分間も潜っていられる。
また水圧に対し収縮と膨張を繰り返すことができる特殊な体で、潜水から浮上に伴う圧力の変化にも適応しているそうだ。
このように研究者にとっても非常に興味深いオサガメだが、現在、地球上に繁殖可能な成体のオサガメはわずか 1,400 匹しかいないという。
原因は、卵の乱獲や漁に巻き込まれて捕獲されるほか、観光客による産卵地の環境悪化があげられている。
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References:iflscience / guinnessworldrecords / wikipedia / livescienceなど /written by D/ edited by parumo
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