
きちんと整った立派なヒゲは、いかにも男らしい雰囲気を演出してくれる男性ならではのファッションアイテムだ。だが最新の研究で、そんなヒゲにこだわりのある男性の心理を探ったところ、そこに隠された意外な動機が明らかになっている。
ポーランド、シレジア大学とイタリア、パドヴァ大学の研究チームによる2024年の最新分析によると、どうもヒゲは単純に男らしさを強調するためのツールではないようだ。
それよりもむしろ、自分は家族を大切にするし、思いやりのあるいい人ですよといった、社会的なメッセージを伝えたい男性の心理を反映したものかもしれないという。
ヒトという種においてヒゲは何の役に立つ? オスとメスで、大きさや形などの体の作りが違うことを「性的二型」という。そして私たち人間(ホモ・サピエンス・サピエンス)において、ヒゲは性的二形の現れのひとつだ。
だが男性なら必ずしもヒゲを生やしているわけではない。もちろん放っておけば生えてくるのだが、日々ヒゲを綺麗に剃り上げる男性もいるし、伸ばして丁寧にお手入れする男性もいる。
そんな人間の男性のヒゲに、生物としてどのような意味があるのかと疑問に思ったことはないだろうか。
ひとつ考えられるのは、私たちが社会的な生き物で、さまざまな集団の中で生きていることが関係している可能性だろう。
例えば、ヒゲはその人の年齢や地位といったものを伝えるサインになるかもしれない。
また、 2020年のユタ大学の研究よると、戦いで食らうパンチの衝撃を吸収し、アゴの骨を守るためのものかもしれないという説が提唱された。
これまでの研究では、ヒゲを生やした男性は健康的で、優れた戦士という印象を与えることが明らかになっている。
さらには信頼感や友好的な印象、あるいはいい父親というイメージを演出することも知られている。
その一方、ヒゲが攻撃的で支配的な印象を与えることもある。
だが、それは周囲の人たちがヒゲを生やした男性から受ける印象の話だ。
ポーランドのシレジア大学とイタリアのパドヴァ大学の研究チームが今回知りたかったのは、ヒゲを生やしている側の話だ。
はたして、ヒゲを生やす男性たちは、なぜわざわざ時間とお金をかけてヒゲのお手入れをするのだろう?
意識的か無意識的かにかかわらず、彼らはそれによって何かをアピールでもしようとしているのだろうか?
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photo by iStockヒゲを生やす男性の心理 今回の研究では、この点を明らかにするために、男性414人(18~40歳)に質問をして、彼らがヒゲを生やす背景を探っている。
考えられそうな背景として研究チームが挙げているのは、「社会的な動機」「ジェンダーロールストレス」「男性への対抗意識」の3つだ。
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photo by iStockヒゲを生やす男性は家族思いであることが判明 まず明らかになったのは、ヒゲを生やす男性ほど、長く続く関係を大切にし、家族への関心が高いということだ。
これまでの研究によって、ヒゲは育児能力が高いという印象を与えることが知られている。
このことを合わせて考えると、ヒゲは男性の社会的動機が恋人探しから、もっと安定した恋愛関係や家族にシフトしていることを周囲に伝えるために利用されている可能性があるという。
興味深いのは、男性に対する対抗意識が強い男性ほど、ヒゲを生やさない傾向が見られたことだ。さらにそうした男性は、ジェンダロールストレスがそれほど高くないことも明らかになっている。
つまり意外にもヒゲを生やす男性は、自分を男らしく演出しようとは思っていないようなのだ。
意識してか無意識かは別にして、むしろ家族思いの頼れる味方というイメージを演出するためにヒゲを生やしている可能性がある。
なお今回の研究では、ヒゲの種類までは調べられていない。
ヒゲの種類に反映される男性の心理については研究チームも関心があるようなので、いずれそのような研究も行われるかもしれない。
この研究は『Archives of Sexual Behavior』(2024年6月17日付)に掲載された。
パルモ調べでは、ヒゲの生えている男性、通称ヒゲメンはなぜか猫に好かれているし、猫好きである印象を受ける。そう考えるとヒゲを生やしている男性が、家族思いで、育児能力が高いという研究結果もなんか納得できる感じがする。
References:Why Do Men Grow Beards? Study Reveals Surprising Motivations Behind Facial Hair | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
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ポーランド、シレジア大学とイタリア、パドヴァ大学の研究チームによる2024年の最新分析によると、どうもヒゲは単純に男らしさを強調するためのツールではないようだ。
それよりもむしろ、自分は家族を大切にするし、思いやりのあるいい人ですよといった、社会的なメッセージを伝えたい男性の心理を反映したものかもしれないという。
ヒトという種においてヒゲは何の役に立つ? オスとメスで、大きさや形などの体の作りが違うことを「性的二型」という。そして私たち人間(ホモ・サピエンス・サピエンス)において、ヒゲは性的二形の現れのひとつだ。
だが男性なら必ずしもヒゲを生やしているわけではない。もちろん放っておけば生えてくるのだが、日々ヒゲを綺麗に剃り上げる男性もいるし、伸ばして丁寧にお手入れする男性もいる。
そんな人間の男性のヒゲに、生物としてどのような意味があるのかと疑問に思ったことはないだろうか。
ひとつ考えられるのは、私たちが社会的な生き物で、さまざまな集団の中で生きていることが関係している可能性だろう。
例えば、ヒゲはその人の年齢や地位といったものを伝えるサインになるかもしれない。
また、 2020年のユタ大学の研究よると、戦いで食らうパンチの衝撃を吸収し、アゴの骨を守るためのものかもしれないという説が提唱された。
これまでの研究では、ヒゲを生やした男性は健康的で、優れた戦士という印象を与えることが明らかになっている。
さらには信頼感や友好的な印象、あるいはいい父親というイメージを演出することも知られている。
その一方、ヒゲが攻撃的で支配的な印象を与えることもある。
だが、それは周囲の人たちがヒゲを生やした男性から受ける印象の話だ。
ポーランドのシレジア大学とイタリアのパドヴァ大学の研究チームが今回知りたかったのは、ヒゲを生やしている側の話だ。
はたして、ヒゲを生やす男性たちは、なぜわざわざ時間とお金をかけてヒゲのお手入れをするのだろう?
意識的か無意識的かにかかわらず、彼らはそれによって何かをアピールでもしようとしているのだろうか?
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photo by iStockヒゲを生やす男性の心理 今回の研究では、この点を明らかにするために、男性414人(18~40歳)に質問をして、彼らがヒゲを生やす背景を探っている。
考えられそうな背景として研究チームが挙げているのは、「社会的な動機」「ジェンダーロールストレス」「男性への対抗意識」の3つだ。
社会的動機これらの要因をヒゲの手入れにかける時間やコストと比較して、その男性がヒゲを生やす動機について探ったところ、見えてきたのは次のようなことだ。
自己を守りたい、病気を防ぎたい、グループへの帰属意識、友人を得たい、地位を得たいといった社会的な欲求のこと
ジェンダロールストレス
社会から求められる男らしくあるべきという期待から受けるストレスのこと
男性への対抗意識
同性に対する競争心の強さのことで、「自分より魅力のある男性に会うと我慢できない」、「成功している男性の粗探しをしてしまう」、「ほかの男性にいつも勝ちたい」といった気持ちから測定される
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photo by iStockヒゲを生やす男性は家族思いであることが判明 まず明らかになったのは、ヒゲを生やす男性ほど、長く続く関係を大切にし、家族への関心が高いということだ。
これまでの研究によって、ヒゲは育児能力が高いという印象を与えることが知られている。
このことを合わせて考えると、ヒゲは男性の社会的動機が恋人探しから、もっと安定した恋愛関係や家族にシフトしていることを周囲に伝えるために利用されている可能性があるという。
興味深いのは、男性に対する対抗意識が強い男性ほど、ヒゲを生やさない傾向が見られたことだ。さらにそうした男性は、ジェンダロールストレスがそれほど高くないことも明らかになっている。
つまり意外にもヒゲを生やす男性は、自分を男らしく演出しようとは思っていないようなのだ。
意識してか無意識かは別にして、むしろ家族思いの頼れる味方というイメージを演出するためにヒゲを生やしている可能性がある。
なお今回の研究では、ヒゲの種類までは調べられていない。
ヒゲの種類に反映される男性の心理については研究チームも関心があるようなので、いずれそのような研究も行われるかもしれない。
この研究は『Archives of Sexual Behavior』(2024年6月17日付)に掲載された。
パルモ調べでは、ヒゲの生えている男性、通称ヒゲメンはなぜか猫に好かれているし、猫好きである印象を受ける。そう考えるとヒゲを生やしている男性が、家族思いで、育児能力が高いという研究結果もなんか納得できる感じがする。
References:Why Do Men Grow Beards? Study Reveals Surprising Motivations Behind Facial Hair | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
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