
サウジアラビアで、古代のストーンサークルが発見された。北西部の都市アルウラ近郊の溶岩原、ハラット ウェイリッドを空から調査していたところ、およそ345のストーンサークル(環状列石構造物)を発見。
これら円形構造物はおよそ7000年前にさかのぼるもので、石の壁と出入口らしき穴がひとつあり、かつては石、または有機物で作られた屋根があったと考えられることから、住居として使用されていた可能性が高いという。
人が住んでいた形跡のある多数のストーンサークルを発見 溶岩原は火山のマグマが、溶融した状態のままで地表に流れ出たものが、扇状地や平坦な地域となった場所だ。
サウジアラビアのハラット ウェイリッド溶岩原を発掘していたところ、345のストーンサークル(環状列石構造物)が発見され、玄武岩でできた多くの石器の残骸も発見された。
5ヵ所の円形構造物からだけでもおよそ225kg近くの石器の残骸が見つかったという。さらに羊、ヤギ、牛の骨も残されていた。
さまざまな貝殻も出てきたが、いずれも西へ120k離れた紅海産のものだった。貝殻があったということは、移動に伴う交易や交流のネットワークが発達していたことを示している。
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発掘された環状列石。中央に出入口のようなものがあるのがわかる / image credit:RCU/University of Western Australia/University of Sydneyかつては屋根があり住居として使用されていた可能性 この遺跡から出土した遺物とヨルダンの古代住居遺物には類似点があり、すべてではないとしても、今回見つかった円形遺跡の多くが住居として使われていたのではないかと研究者は推測する。
現代ではイギリスのストーンヘンジのような環状列石は儀式目的で作られたと考えられがちだが、初期の住居構造物の多くは円形であることに注意すべきだという。
論文の筆頭著者で西オーストラリア大学のジェーン・マクマホン氏はこう語る。
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7000年前の環状列石住居の想像図 / image credit:Thalia Nitz RCU/University of Western Australia/University of Sydneyかつてこの地帯は今よりもずっと湿潤だった およそ7000年前、サウジアラビア北部の環境は今よりもずっと湿潤だったが、農業はまだ始まっていなかった。
このムスタティルの発掘調査から、牛の生贄など儀式的な目的で使われていたことがうかがえる。
ムスタティルとストーンサークルが同時期に使われていたことは、この2種類の構造物がひとつの文化体の側面を表している可能性が高いという。
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ドローンで撮影された環状列石構造物 / image credit:RCU/University of Western Australia/University of Sydneyシリア、ヨルダンを起源とするものか 人類学者のギャリー・ロレフソン氏は、円形や長方形の構造物を作った人たちは、およそ500年前にヨルダンやシリアに住んでいた人たちの子孫ではないかと考えているという。
今回見つかった環状列石構造物は、ヨルダンで発見された500年前の建造物と似ていて、ヨルダンでは羊、ヤギ、牛の飼育を行っていた。
彼らが移住したのは、新たな狩猟技術が導入されたことによる人口増加のせいではないかという。
野生動物を屠殺場に追い込むための石の壁「カイト」など、これら狩猟術の進歩により食料供給が劇的に増加し、それがヨルダン、シリア地域の人口増加につながった。
ヨルダン東部とシリアの一部に住んでいた人々は、新たな狩場を見つける必要に迫られ、徐々に南へと向かい、現在のサウジアラビアへ移動したのではないかというのだ。それならば、似たような構造物が伝わったとしてもおかしくないという。
この研究は『 journal Levant』(2024年7月2日付)に掲載された。
References:Remains of hundreds of 7,000-year-old 'standing stone circles' discovered in Saudi Arabia | Live Science / written by konohazuku / edited by / parumo
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円の直径は4~8m、その中央にひとつ石が立てて置かれていた。
これら円形構造物はおよそ7000年前にさかのぼるもので、石の壁と出入口らしき穴がひとつあり、かつては石、または有機物で作られた屋根があったと考えられることから、住居として使用されていた可能性が高いという。
人が住んでいた形跡のある多数のストーンサークルを発見 溶岩原は火山のマグマが、溶融した状態のままで地表に流れ出たものが、扇状地や平坦な地域となった場所だ。
サウジアラビアのハラット ウェイリッド溶岩原を発掘していたところ、345のストーンサークル(環状列石構造物)が発見され、玄武岩でできた多くの石器の残骸も発見された。
5ヵ所の円形構造物からだけでもおよそ225kg近くの石器の残骸が見つかったという。さらに羊、ヤギ、牛の骨も残されていた。
さまざまな貝殻も出てきたが、いずれも西へ120k離れた紅海産のものだった。貝殻があったということは、移動に伴う交易や交流のネットワークが発達していたことを示している。
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発掘された環状列石。中央に出入口のようなものがあるのがわかる / image credit:RCU/University of Western Australia/University of Sydneyかつては屋根があり住居として使用されていた可能性 この遺跡から出土した遺物とヨルダンの古代住居遺物には類似点があり、すべてではないとしても、今回見つかった円形遺跡の多くが住居として使われていたのではないかと研究者は推測する。
現代ではイギリスのストーンヘンジのような環状列石は儀式目的で作られたと考えられがちだが、初期の住居構造物の多くは円形であることに注意すべきだという。
論文の筆頭著者で西オーストラリア大学のジェーン・マクマホン氏はこう語る。
世界的に見ても、初期の住居構造物は円形で、長方形の住居は後期新石器時代になってから出現したのです
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7000年前の環状列石住居の想像図 / image credit:Thalia Nitz RCU/University of Western Australia/University of Sydneyかつてこの地帯は今よりもずっと湿潤だった およそ7000年前、サウジアラビア北部の環境は今よりもずっと湿潤だったが、農業はまだ始まっていなかった。
小麦や大麦のような植物を栽培した農業の証拠は見つかっていませんが、野生にある植物を採取していたことは考えられ、こうした野生種の数を増やして採取量を多くするためにその土地に手を入れた可能性はあります(マクマホン氏)これらストーンサークルが利用されていた当時、ムスタティル(アラビア語で長方形の意)という四角い構造物も建設されるようになっていた。
このムスタティルの発掘調査から、牛の生贄など儀式的な目的で使われていたことがうかがえる。
ムスタティルとストーンサークルが同時期に使われていたことは、この2種類の構造物がひとつの文化体の側面を表している可能性が高いという。
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ドローンで撮影された環状列石構造物 / image credit:RCU/University of Western Australia/University of Sydneyシリア、ヨルダンを起源とするものか 人類学者のギャリー・ロレフソン氏は、円形や長方形の構造物を作った人たちは、およそ500年前にヨルダンやシリアに住んでいた人たちの子孫ではないかと考えているという。
今回見つかった環状列石構造物は、ヨルダンで発見された500年前の建造物と似ていて、ヨルダンでは羊、ヤギ、牛の飼育を行っていた。
彼らが移住したのは、新たな狩猟技術が導入されたことによる人口増加のせいではないかという。
野生動物を屠殺場に追い込むための石の壁「カイト」など、これら狩猟術の進歩により食料供給が劇的に増加し、それがヨルダン、シリア地域の人口増加につながった。
ヨルダン東部とシリアの一部に住んでいた人々は、新たな狩場を見つける必要に迫られ、徐々に南へと向かい、現在のサウジアラビアへ移動したのではないかというのだ。それならば、似たような構造物が伝わったとしてもおかしくないという。
この研究は『 journal Levant』(2024年7月2日付)に掲載された。
References:Remains of hundreds of 7,000-year-old 'standing stone circles' discovered in Saudi Arabia | Live Science / written by konohazuku / edited by / parumo
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