アメリカの人気女優で映画プロデューサーでもあるエマ・ストーンが主演を務めるSF映画『Bugonia(ブゴニア)』が、2025年10月24日から全米で公開された。
それに先がけて行われたカリフォルニア州ロサンゼルスでの先行上映会では、前代未聞の入場条件が設けられた。
観られるのは、頭に髪がない人だけ。つまり、坊主やスキンヘッドはもちろん、地肌がしっかり見える薄毛の人が対象だった。
ちなみに髪がある人でも、その場で頭を剃る覚悟があれば入場が許された。
当日、上映会場は見事に真ん丸なお月様が大量に浮かんでいるかのようなユニークな光景が広がっていた。その理由に迫ってみよう。
エマ・ストーンが映画内で丸坊主に
今回の入場条件は、映画本編の重要なシーンに関連する。
『Bugonia(ブゴニア)』は、2003年に韓国で公開された映画『地球を守れ!』のリメイクで、SFと心理スリラーが融合した物語だ。
製薬会社の幹部ミシェル・フラー(エマ・ストーン)は、2人の若者に突如誘拐される。彼らは政府や巨大企業による陰謀論を信じ込んでおり、ミシェルを「人間に偽装した宇宙人」だと思い込んでしまう。
彼女の正体を確かめるため、男たちはミシェルの頭を無理やり剃る。という衝撃的なシーンが登場する。
これを撮影するにあたり、エマ・ストーンは実際に頭髪を剃り落とすという決断をした。ハリウッド女優にとって髪を失うことは大きな覚悟を伴うが、それでも彼女はこの役に全力で挑んだ。
そのリアルな変身ぶりは予告編でも印象的に映し出されており、観客の間でもすでに話題となっていた。
丸刈りシーンにちなみ、坊主頭の観客限定の先行上映会
2025年10月20日に開催された先行上映会はその場面にちなみ、「坊主頭の観客限定」で実施された。
上映会に参加できるのは、オリジナルで髪のほとんどない人、そして、その場で丸坊主になることを承諾した人だ。
その会場となったロサンゼルスのカルバー・シアター前には、特設の理髪スペースが用意された。
午後6時までに訪れた観客は、プロの理容師によってその場で頭を剃られた。もちろんすでに頭皮の毛がほぼない人はそのまま入場できた。
剃髪後、観客たちは次々とSNSに写真を投稿。「#Bugonia」のタグとともに、スキンヘッズを披露する姿が次々と拡散された。
中には「ちょうど散髪の時期だったからラッキー」「この日のために先週から帽子で生活してた」といった声もあり、イベントを全力で楽しむ様子が見てとれた。
脚本を担当したウィル・トレイシー氏は後日、「もともとハゲてた人はラッキーだたね」と笑いながらコメントするなど、イベントは終始ユーモアに包まれていた。
異例のプロモーションは大盛況
上映会から数日後、ニューヨークで行われたプレミアイベントでエマ・ストーンはこのプロモーションについて「ただただ楽しかったわ」と笑顔で振り返った。
イベントの模様がSNSやニュースサイトで拡散されたことで、『ブゴニア』の認知度はさらに高まり、大きな話題となっている。
ネット上では「坊主限定とか思いつく方もすごい」「これはもう映画というより参加型アート」「俺の薄毛人生にもついにスポットライトが当たった」、といった反応もあり、企画の奇抜さがむしろ歓迎された格好だ。
『ブゴニア』は10月24日に全米一部劇場で公開され、31日から全国上映予定だ。日本での公開はまだ未発表だが、上映は確実だろう。











