アメリカの高速道路で渋滞が起きた。その原因はなんとビーバー!自分の何倍もある木を抱え、道路を横断していたのだ。
一歩間違うと車にひかれてしまう危険性があるにもかかわらず、なんとしても任務遂行したかったビーバーの建築家としてのプロ意識はすごい。
なんとしてでも期日までにダムを完成させたかったんだろうね。
追記(2025/11/02) 動画にAI生成疑惑あり
この動画はAIで生成された可能性が高いことが指摘されています。
本記事の動画紹介文は動画の投稿者による説明を元に作成しましたが、その説明に事実とは異なる脚色が施されている疑惑があります。記事後半ではビーバーの生態を事実にもとづいて説明しています。
森の建築家、ど根性で道路を横切り大木を運ぶ
アメリカの高速道路を走行中だった、ジュリアン・ウェスタンさんは渋滞に巻き込まれた。事故が発生した様子はない。最初は原因がわからず戸惑っていたが、目を凝らして前方をよく見たところ、その理由が明らかになった。
なんと一匹のビーバーが、大木を抱えて高速道路を横断しようとしていたのだ。
ドライバーたちは皆、車を停止し、ビーバーがずるずると木を引きずりながら道路を渡り終えるのを見守っていた。
おそらくこの道路を横切るのが、ダムの建築現場へ向かう最短ルートだったのだろう。
多くの車に囲まれても、ビーバーはものおじせず、ただひたすらに木を運搬していた。まさに森の建築家、その名にたがわぬ職人っぷりである。
この動画は2025年10月17日に投稿されるとすぐに注目を集め、10月30日現在、再生回数2000万回を突破した。
自然界のダム職人、ビーバー
ビーバーは北アメリカやヨーロッパに生息する大型のげっ歯類で、木をかじって枝や丸太を集め、水辺にダムや巣を築く。
体長は約90~120cm、体重はおよそ11~32kgほど。げっ歯類の中ではカピバラに次ぐ大きさを誇り、寿命は野生下で10~15年ほどといわれている。
彼らの前歯は一生伸び続けるため、木をかじることは歯を整える行為でもある。つまり、ダムづくりは生きるための本能であり、毎日の仕事でもあるのだ。
彼らが作るダムは精巧だ。水流をせき止めて人工の池をつくり、その中央に巣(ロッジ)を構える。
入口は必ず水中にあり、外敵から見えないよう設計されているという徹底ぶり。
素材の組み合わせ方や水流の読み方は、まさに熟練の土木技術。まさしく“ダム職人”と呼ぶにふさわしい。
ビーバーの作るダムが野生動物や人間に恩恵を与える
ビーバーがつくるダムは、野生動物たちに恩恵を与えている。木を積み上げ、水の流れをせき止めることで、川の流れがゆるやかになり、そこに湿地や小さな池が生まれる。
その水辺には、魚、カエル、昆虫、水鳥など、さまざまな生き物が集まり、豊かな生態系が育まれていく。
アメリカ・ミネソタ州のボエジャーズ国立公園では、ビーバーが作ったダムを通路として利用する野生動物が観察されている。
オオカミ、クマ、シカ、キツネ、水鳥などが行き交い、ダムが森の中で動物たちの移動を支える「自然の橋」となっている。
また、ビーバーのダムがある場所では、地下水が蓄えられ、干ばつや山火事の被害が減少するという研究結果[https://www.researchgate.net/publication/396462072_Maximizing_the_potential_benefits_of_beaver_restoration_for_fire_resilience_and_water_storage]も報告されている。
さらに地下水の保持や水質の浄化し、洪水のときには水量を一時的にため込み、流れを安定させる効果があるとする研究結果[https://woods.stanford.edu/news/strategically-bringing-back-beavers-could-support-healthy-and-climate-resilient-watersheds]もある。
彼らが創り出すダムは、結果的に人間社会にとっても防災・環境保全の役割を果たしているのだ。
かつてビーバーは毛皮目的の乱獲により、19世紀には北米やヨーロッパで絶滅寸前にまで追い込まれた。
その後の保護政策や再導入によって個体数は回復し、現在は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「軽度懸念(LC)」とされている。
とはいえ、開発による生息地の減少や水質汚染の影響は今も続いており、安定した生息環境の確保が課題となっている。











