イギリス出身の19歳の母親、マディさんは、2歳の娘のオフィーリアちゃんと、もう1人の「赤ちゃん」と暮らしている。
オフィーリアちゃんの「弟」として迎えたフォレストは、実は本物の赤ちゃんではない。
あまりにも人間そっくりなリボーンドールには、「命を模倣すること」への不安や違和感を覚える人たちも少なくない。
マディさんのSNSへの投稿も賛否が分かれ、寄せられる反応も批判派と擁護派で真っ二つの状況となっている。
「もう一度生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしたい」
リボーンドールのフォレストを迎えたきっかけは、オフィーリアちゃんが成長し、小さな赤ちゃんの頃のように抱っこして世話をする時間が減ってきたことにある。
そしてマディさんは「もう一度生まれたての赤ちゃんを抱っこしたい」という強い思いに駆られたという。
だが十代の若い母親にとって、経済的に第二子を持つ余裕はなく、生活もまだまだ不安定だった。
そんなとき、マディさんがSNSで見かけたのが、「リボーンドール」と呼ばれるリアルな赤ちゃん人形だった。
2人目の子供を迎えるのに十分な経済的余裕はありませんでした。この人形を迎え入れることで、娘に弟も作ってあげられます(マディさん)
フォレストは、生年月日と出生時体重を記した出生証明書とともに郵送されてきた。
可愛いベビー服を着ていて、そこには「ママ大好き」という可愛い言葉が縫い付けられていた。
あまりにも人間そっくりに作られたリボーンドール
リボーンドール、あるいはリボーンベビーとは、もともと1990年代のアメリカで生まれたとされるリアルな赤ちゃん人形である。
市販のベビードールを改造し、血管や産毛、肌の質感を限界まで再現して「再誕生=Reborn」させることから名づけられた。
素材はビニールやシリコンで作られており、価格は数万円から、高級な作品では数十万円になるものもある。
当初は「アートドール」としてコレクターたちに収集されていたが、次第に流産や死産を経験した母親が「グリーフケア(悲しみを癒すケア)」の一環として手にするケースが増えていった。
近年は病院や老人ホームなどでも、認知症患者の情緒安定を目的に導入されることがある。
つまりリボーンドールは単なる玩具ではなく、心理的なセラピーの側面を持つ存在としても受け入れられるようになって来たのだ。
一方で、そのあまりにリアルすぎる外見から拒否反応を示す人も確かにいて、周囲に理解されないことも少なくない。
米国では、車内に放置されたリボーンドールを「本物の赤ちゃんが取り残された」と誤認した市民が警察に通報し、緊急出動した事例が複数報告されている。
また公共の場で抱いて歩くと、周囲が動揺することも多い。人間そっくりなのに、生気がない…いわゆる「不気味の谷」現象が、人々の心をざわつかせるのだ。
「受け入れられない」「何が悪いの?」人形への反応は賛否両論
マディさんは子供の頃から人形が好きだ。実は彼女が6歳の時、両親は彼女に最初のリボーンドールをプレゼントしたという。
彼女は成長するにつれ、リボーンドールの世話をすることが「不安」を和らげるのに役立ったという。
彼女はフォレストが人形であることはきちんと理解しつつも、リボーンドールはただのオモチャではないという。1つ1つが丹精込めて作られた芸術作品であり、彼女自身も人形を作るアーティストである。
だが、彼女がフォレストを自身のSNSで紹介し、リボーンドールを「2人目の赤ちゃん」として迎えたことが知られると、ネット上で物議をかもすこととなった。
- 悪いけど、私には理解できない
- 19歳で子どもがいるのに、なんでまた人形を? リボーンドールの方が子供よりいいってこと? どっちか一つにした方がいい。
産むと決めたなら、人形を持つ必要なんてないでしょ
- 私はずっと子供の頃から人形を持ってたの。赤ちゃんができたからって、好きなことをやめる理由にはならない。これは私のアートコレクションートでもあるんだから。子供を産んだからってやめるのはおかしいわ(マディさんコメ)
- どうして本物の子供がいるのに、リボーンドールを持ってるの? 人形を持つ理由は理解できるけど、あなたは子供の前でただ人形で遊んでるように見える
- 最初は6歳のときから両親からもらったの。私の趣味なのよ。それに自分でもペイントして作ってるの。遊んでるわけじゃないし、娘が起きているときは基本的に人形とは関わってないわ(マディさんコメ)
- でもあなたは娘が起きてるのに人形と一緒に過ごしてるし、ミルクをあげてる。あなたの本当の赤ちゃんは一人だけでしょ。その子が「愛されてない」と思って育つかもしれない
- 遊びじゃなくて「ロールプレイ」っていうのよ。もうやってないけど。ネットで見るものが全部現実とは限らないのよ(マディさんコメ)
- なんで本物の幼児がいるのに、人形に行っちゃうの?
- それは私の趣味だから(マディさんコメ)
- いや、それは趣味の域じゃないでしょ
- 娘さんが将来混乱すると思うよ
- なんでみんなそんなに叩くの? 彼女がリボーンドールを持ちたいなら自由でしょ。彼女の人生なんだから
- 私は12体以上のリボーンドールを持ってる。
誰が何を言おうと気にしない。私には2歳と3歳の実の子どももいるよ- 多くの女性はメンタルヘルスのためにリボーンドールを持つの。だから、攻撃する前に少し調べてみて
- 私は8人の子供に加えて2体のリボーンドールを持ってる。その子たちはは私の「セラピーベビー」なの。私自身だけじゃなく、ADHDやトラウマを持つ2人の子の助けにもなってるわ
- 私はリボーンドールのママでいることが大好き。実の子供はいないけど、彼ら(ドール)は私の子供なの。あなたの動画を見てすごく共感したわ
「自分も娘も、人形と人間の違いは分かっている」と断言
みんなわかってないんです。私はリボーンドールと本当の赤ちゃんと、両方がいることで批判されるの。
娘に十分な愛情を注いでいないだろうとか、フォレストを娘より大事にしているとかそういう風に思われるんです。でも、絶対にそんなことはありません
批判の中には、将来娘のオフィーリアちゃんが、フォレストに嫉妬するようになるのでは?というものも多いという。
だがマディさんは心配していない。まだ幼い娘も、人形と人間の違いをきちんと理解しているからだ。
もちろん、フォレストは実在しないし、娘もそれを知っています。だから私は心配していませんし、オフィーリアよりもフォレストと過ごす時間を選ぶようなことはしません。だって、私にとってオフィーリアが一番大切なんですから
日本でもリボーンドールは知られるようになってきており、専門店も増えてはいる。だが欧米に比べると、まだニッチな存在だと言えるだろう。
そこには人の形をとる「人形」という存在に対しての、接し方や想いのような、文化の違いもあるのかもしれない。
大昔に作られた日本人形は割とリアルだったけど、怪談話と結びついてたからな。
References: I’m a mom of two but only one baby is real — trolls say I’m ‘crazy’ for raising a doll, but I love him[https://nypost.com/2025/03/04/lifestyle/im-a-teen-mom-of-two-but-only-one-of-my-babies-is-real/?utm_source=yahoo&utm_campaign=nypost&utm_medium=referral]











