アメリカ・ニュージャージー州の森の湖畔で、釣りをしていた男性が、木から聞こえる甲高い鳴き声に気づいた。
そこには、枝に残された釣り糸に翼が絡みついて身動きが取れなくなったコノハズクの宙吊りのままもがいている姿があった。
翼は釣り糸に締めつけられ、動くたびに体が揺れる。男性は急いで木に近づき、暴れる鳥を落ち着かせながら爪切りを使い、少しずつ丁寧に糸を外した。
再び飛べるかどうか心配だったが、コノハズクは無事に飛び立てたようだ。
釣り糸に絡まったコノハズク、宙づりで必死にもがく
ニュージャージー州の森で釣りをしていた男性は、突然、助けを求めるような鳴き声を耳にした。
声の方向をたどると、木の枝に結ばれた釣り糸に一羽の鳥が引っかかり、まるで振り子のように揺れていた。
この鳥は、アメリカオオコノハズク(学名:Megascops asio)で北米東部に広く生息するコノハズクの仲間だ。
体長は約20cm。灰色や赤褐色の羽を持ち、夜行性で、昆虫や小型哺乳類を主な獲物とする。
木のうろや巣箱をねぐらにするため、人の住む地域にも近く、庭の木に巣をつくることもある。
アメリカオオコノハズクは、都市化や交通事故、農薬、そして人間の残したごみにより命を落とすことがある。
慎重に救助を行い、再び羽ばたいていく
男性が近づくと、怯えたコノハズクは翼をばたつかせて暴れた。男性は鳥を驚かせないよう静かに声をかけ、糸が絡まった部分を爪切りなどを使い、慎重にほどいていった。
数分後、ようやく糸が外れた。翼の損傷を心配したが、フクロウは彼の手を離れると、少しずつ飛ぶことができた。
男性は動画の中で「時間はかかったが、最後には元気に飛んでいった」と語っている。
放置された釣り糸が、野生動物の命を奪う
救助後、男性は自然を訪れる人たちにこう呼びかけた。
「釣りやキャンプなど、自然の中で楽しむときは必ずごみを持ち帰ってほしい。釣り糸や仕掛けが木に絡まっていたら、できる限り取り除こう。」
ナイロン製の釣り糸は自然環境で分解されにくく、何年も残り続ける。
小鳥やリス、カエルなどが絡まって命を落とすケースも多い。アメリカオオコノハズクのように木の枝を休息場所にする鳥にとって、それは「見えない罠」となる。
この日はたまたま、釣り人が発見し、救助に成功したが、いつもそうなるとは限らない。人知れず失われていく命があるのだ。
自然を楽しむならば、自然に敬意を払い、ゴミや私物は持ち帰るようにしよう。
釣り糸に限らず、人間の残した残飯の味を覚えた野生動物たちが人里に進出することだってあるのだから。











