ついにヒューマノイドロボットのパトロール部隊が現場に投入される。中国が、ベトナムとの国境沿いの都市に配備することを明らかにし、試験運用が開始される予定だという。
広西チワン族自治区の防城港市と国境導入契約を結んだのは、中国のロボット企業UBTECH Robotics社の最新モデル 、ヒューマノイドロボット「Walker(ウォーカー)S2」 だ。
このロボットは自らバッテリーを交換することができるため長期勤務が可能となる。主な作業は、旅行者案内や人流データ管理、パトロール、物流支援のほか製造工場での検査員などを行う予定だという。
実社会へのロボットの導入をく急ぐ中国による、SF超えの急展開をお伝えしよう。
自律バッテリー交換機能で休まず動くWalker S2
フルサイズの人型ロボット、Walker S2 の初公開は2025年7月のこと。中国の主要ロボット企業であり、杭州に拠点を置く UBTECH Robotics の公式デモ動画で明かされた。
人間には到底まねできそうもない奇妙な腕の動きによって、自律バッテリー交換を披露。一躍話題となったヒューマノイドロボットだ。
ホットスワップ式デュアルバッテリーで電池切れを自らカバー
UBTECH Robotics 公式によると、ふたたび脚光を浴びたWalker S2 のスペックはざっとこんな感じ。
- 身長:約1.76 m
- 重量:約73 kg
- 最大歩行速度:約2 m/s(約7.2 km/h)
- 可動自由度:全身52、両手は各11
- 最大荷重:片腕で15 kg。作業範囲は地面から1.8 mまで
- 特徴:自律ホットスワップ式デュアルバッテリー、RGBステレオビジョン、BrainNet 2.0+Co-Agent AI、動的バランス制御
最大の特徴「ホットスワップ式デュアルバッテリー」により、ロボットの弱点である電池切れを自らカバー。
わずか3分で稼働を再開できるため、理論上は 24時間、365日の稼働が可能。
さらに、RGBステレオビジョンによる奥行き認識、UBTech 独自の BrainNet 2.0+Co-Agent AI による意思決定、タスク計画、例外処理を搭載。
工場や物流現場など、複雑な環境でも安定した作業ができるのが強みだ。
中国とベトナム間の国境で試験運用
その最先端の Walker S2 が、なんと早くも中国とベトナム間の国境で試験運用されることに。
11月26日には UBTECH Robotics が、広西チワン族自治区の防城港市における国境導入契約を発表。
夜には MSCI チャイナ・インデックス への採用が公式SNSで告知され、翌日26日 に国際メディアが契約詳細を報じた。
こうして短期間のうちに、Walker S2 は「技術デモ」から「社会インフラ導入」へと一気にステージを進めた。
ヒューマノイドシステムの実展開としては過去最大規模
今回の契約額は 264百万元(約53~56億円)。この取り組みは、中国政府によるヒューマノイドシステムの実展開としては過去最大規模となる。
導入にあたり期待されるお仕事は、旅行者案内のみならず、人流データ管理や巡回、物流支援のほか、鉄鋼、銅、アルミニウムの製造工場での検査員など。幅広く担当する。
12月から国境配備で年内500台出荷
UBTECH Robotics チーフ ブランディング責任者マイケル・タム氏によると、Walker S2 の国境配備は2025年12月から。年内に500台出荷予定だ。以後は2027年までに年間1万台規模へと拡大する。
現在Walker S2 への注目度はきわめて高く、累計受注額はすでに 11億元(約220億円)を超える勢いとのこと。
香港市場では 31.1億香港ドル(約620億円) の資金調達が発表され、その直後、株価が110.60香港ドルへ下落したが、その幅は1%未満に抑えられたという。
一方タム氏は、現在 Walker S2 への需要が生産をはるかに上回っている点や、今後製造コストが下がる見通しを述べた。
中国のサプライチェーンが人型ロボット工学へと急速にシフトし、上流サプライヤーとの緊密な連携することで、製造コストは年間20~30%低下すると予想します
この生産増の根拠としてUBTechは、「中国の先進的な製造能力が、毎年5分の1の生産コストを削減、これにより生産能力が倍増する」と明かしている。
他のロボット製品同様、このWalker S2も、いずれお手頃価格に落ち着いて普及してゆくのだろうか。
こちらは11月12日、世界初のヒューマノイドロボット大量納入の完了を告げるWalker S2の動画。再生数43万回超えの注目度である。
関心を集める未来の労働力戦略
国境に人型ロボットが導入されるとの話題は、SNSでもたちまち拡散。未来の労働力戦略という点でも各国で高い関心を集めているもよう。
休みなく24時間働けるWalker S2 なら、人手不足が深刻な物流や、夜間対応が必要な介護、公共施設の案内や警備、さらには多言語サービスが必要なシーンでも役に立ちそう。
AI商業化を急ぐプロジェクトの加速
今回の合意は、実社会でAI商業化を急ぐ中国のプロジェクトの加速を示唆する。ロボット業界は強力な政策的支援を受け、複数の機関がロボットを日常業務に導入し始めている。
実際、中国ではすでに空港や政府機関、および主要なイベントでもロボットが導入されつつあるという。
サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)が引用した中国中央テレビの報道によると、杭州市の杭州蕭山国際空港は、乗客の質問に答えるロボットを導入済みとのこと。
また今年、天津で開催された、2025年SCO首脳会議では、入国管理局が北京の iBen Intelligence 社によって開発された多言語対応ロボットを採用。また深圳、上海、成都などの都市部では、警察のパトロールロボットまで目撃されている。
人型ロボット導入でいずれSF超えか
にしても人型ロボットが国境を守るだなんて、もうSFじゃなくて現実なのか。ロボットがガチな働き手として導入される流れがもうそこまで来てると実感。
ヒューマノイドロボットといえば、かつては空想上の存在で、二足歩行できた時点で一大ニュースになったものだ。
それがもはや自分でバッテリーまで交換できるとなると、人手不足を補うどころか、社会のインフラ維持そのものに組み込まれる存在へとシフトするのか。ここまで来たらといずれSF超えちゃうね。
References: SCMP[https://www.scmp.com/tech/big-tech/article/3334081/ubtech-wins-us37-million-deal-deploy-humanoid-robots-china-vietnam-border-crossings] / Interestingengineering[https://interestingengineering.com/innovation/ubtech-secures-us37-million-deal]











