『蒼い生命』の“蒼”が繋ぐ、デビューから現在までの軌跡
――昨年、「水の星へ愛をこめて」でのデビューから35周年を迎えましたが、改めて35年のアーティスト活動を振り返ってみていかがですか?
森口博子 毎回アニバーサリーを迎えるたびに思うのですが、4歳の頃から思い描いていた「歌手になりたい」という夢の中を35年も生かされ続けているというのは、本当にありがたいの一言に尽きます。どんな時代でも、どんな状況でも、ファンの皆さんがずっと待っていてくれる。スタッフの皆さんに支えられながら今日を迎えられているので、改めて私は出会いに、そして数多くの名曲に恵まれていると思いますね。どの出会いが欠けても35周年には繋がらないので。年月を積み重ねるごとに、そのご縁が私のなかで深く太くなっているのを、すごく実感しました。
――この35年間、様々なフィールドで活躍されてきましたが、近年の『GUNDAM SONG COVERS』シリーズなども含めてまた新たな出会いも感じている?
森口 もちろんです。アニソンでデビューさせていただいて、「ガンダム」シリーズという作品に出会って、『GUNDAM SONG COVERS』でオリコンウィークリー3位、昨年の続編が同じくオリコン/Billboard JAPAN週間ランキング2位。それと日本レコード大賞 企画賞をいただいたことで長年のファンの皆さんだけではなく、後追い世代の方や「ガンダム」という作品を知らなかった方々、その主題歌を聴いていなかった方々も含めて、たくさんの方々に受け取っていただいたことが本当に心強かったですね。それにここ数年シングルもずっとリリースさせていただいて、私のなかで「森口博子の波がきた!」みたいな感じに思っていたんですね。そしたら母親から「波がきたんじゃなくて波に乗せてもらっているのよ」と言われて「それそれ!」と背筋が伸びました。
――その波というのも様々な世代から、また日本だけではない様々な場所から訪れていますよね。
森口 そうですね、国境も世代も超えていますよね。“KING SUPER LIVE”で東京ドームやさいたまスーパーアリーナの何万人ものお客さまが、イントロが鳴っただけで魂の集結というか、1つの点になる瞬間がわかるんですよ、もうバーン!って弾けるというか。それを2018年の台湾公演でも体感したんです。
――海外でもその盛り上がりを実感したという。
森口 それまでもずっと海外公演のお話をいただいていたんですけどスケジュールが合わなくて。それでようやく(台湾に)行けたときに、改めてアニソンのパワー、アニソンが国境を越えていることを初めて肌で感じて、同時に自分が色褪せないものを歌い続けてきたことを実感できましたね。
――そうしたなかでリリースされるニューアルバム『蒼い生命』ですが、久々のオリジナルアルバムを作るとなったときの最初のお気持ちはいかがでしたか?
森口 もうやっとという気持ちでしたね。24年ぶりでしたっけ?
――そうですね。改めて数字として見るとすごい期間が空いているなと。
森口 28年ぶりのオリコンアルバムチャートトップ10入りで女性アーティストのインターバル記録歴代1位とか、色々な数字が出てくるので覚えきられない(笑)。
――そんななかで、どんなアルバムにしたいという想いがありましたか?
森口 これまで色んな曲を書き溜めてはいたんですけど、やっぱり昨年からの緊急事態宣言のなかで、人と触れ合えないことがこんなにも苦しかったんだっていうことをすごく実感したんですね。私、世界中がこのような事態になる前から、厄年に体調を壊して、仕事や色々なことが四面楚歌になったときに、本当に「平凡は奇跡だ」と感じたんです。それ以来、自分のなかで「平凡は奇跡、ありがたい」ってずっと口にしていて。震災が起こったときにもその気持ちがより深くなって、今度は地球規模の問題に私たちが直面したことで、さらにその言葉がどんどん膨らんでいって。
――なるほど。
森口 心と心で繋がるということが、今の私のなかでは生命線です!! 外に出かけられなくてお互いが助け合えない状況って恐怖じゃないですか。例えば福岡にいる母とも全然会えないし、ハグもできないときに、電話の声だけでちょっと強くなれたり、温かくなれたり、母が寂しいことを見せないで気丈に振る舞っているところもすごく胸が締め付けられたり……。私が送った手紙を、涙を流しながら読んでいたりするのを知ったときに、「繋がっている」と思えたことで心が強くなれる、温かい気持ちになれる。
――この『蒼い生命』というタイトルにもその想いが込められていると。
森口 『蒼い生命』の“蒼”という字も、“くさかんむり”に“倉”で、緑が青々と生い茂るという意味も込められているんですね。それはまさに地球の色だなって思ったときに、私のデビュー曲である『機動戦士Zガンダム』の「水の星へ愛をこめて」の出だしの歌詞、“蒼く眠る水の星にそっと”の“蒼”とまさにリンクしていると思って。裏テーマはデビュー曲のオマージュです。
――35年前のデビュー曲として歌っていた曲が、巡り巡って昨年から今年にかけての状況下においてすごく意味を持つというのが、また運命的ですね。
森口 そうなんです。だから表題曲の「蒼い生命」も、「地球という1つの命で私たちは繋がっている」という壮大な想いを込めました。歌詞はシンガーソングライターのQoonieさんと共作だったんですけど、自分が普段思っていることと、このご時世だからこその発見や想いを綴らせてもらったんですね。そうするとアレンジも、身近なテーマに寄り添った温かくホッとするものより、地球規模での繋がりという意味で、壮大にしたいなと思ったんです。それで転調も含めた起承転結があったり、突然落ちサビがきてうねりを感じさせるアレンジになりました。
――たしかに地球規模の壮大さがありつつ、それが森口さんの身近な温かい言葉で綴られるというのは感動的でしたし、それはまた今だからこそ刺さるという。
森口 ありがとうございます。歌詞のことも「温かい言葉」とおっしゃってくださいましたけど、自分自身、シンプルな言葉が響く年齢になったというか。若い頃は「もっとひねった方がいいんじゃないかな?」とか、ちょっと遠回しに言って想像させるものが好きで、もちろん今も好きなんですけど、今回はそうではなく、シンプルに温かく、深い言葉こそすごく染みるんじゃないかと思って。だから言葉すべてが本当にわかりやすいものになりました。
――シンプルだからこそ“いつか 逢える日まで”というフレーズもグッとくるというか。
森口 私も会えない人と「いつか逢える」という気持ちをずっと抱きながら生きています。ファンの皆さんとも会えると思っていたのが、昨年の35周年記念の東京国際フォーラムでのライブが中止になり、毎回リリースするたびに行っているショッピングモールでの握手会やツーショット撮影会、ファンクラブのミーティング、ライブツアー……それが全部なくなったときに、触れ合い大好物の私としては「どうしよう!」という想いがあったので、会いたいという気持ちがまずありましたね。
――たしかに、今、我々の最大の願望が“会いたい”かもしれませんね。
森口 会いたい、そして絶対会える。きっともうすぐ日常生活を取り戻せる私たちになれるって信じています。
神前 暁との初コラボ曲と、名曲「ホイッスル」のアンサーソング
――そのほかの新曲についてもお伺いします。「陽だまりのある場所」、こちらも温かい気持ちになるバラードですが、この作曲・編曲をあの神前 暁さんが手がけられたと。
森口 そうなんです!!
――いわゆる現代アニソンのトップクリエイターと森口さんがコラボしたわけですが、そのきっかけはなんだったんですか?
森口 私がレギュラー出演している番組「Anison Days」で、以前神前さんをゲストにお招きして、神前さんの楽曲をカバーさせていただいたんですね。そのときに歌った「perfect slumbers」(TVアニメ『猫物語(黒)』OPテーマ)という楽曲が心に響いて、事前リハでも自宅での自主トレでも、歌っていると説明のつかない涙が溢れてきて。そのときから自分のなかで温めていた、神前さんに曲を書いていただきたい希望が、今回アルバムをリリースするにあたり実現することになりました。神前さんもオファーを快く引き受けてくださって。実は、その初対面の時に神前さんも曲を書きたいとおっしゃってくださっていたんです!! 驚きと幸せのコラボです。
――今回はカバーではなく、森口さんのために書かれた楽曲です。最初に聴いたときの感想は?
森口 もう号泣ですよね。美しくも切なさの極み。やっぱり(気持ちを)抑えられない。
――この美しいメロディが体に入っていく気持ち良さというか。
森口 気持ちいいというより震えるほうですね。何かがこみ上げてくるんですよ。そこから私が詞を書くことになったんですけど、もう想いが溢れすぎて逆に書けなくて。結局オケ録りのときにもまだ詞が出来上がらず、「もう少し時間をください」と言って、レコーディングの予定を入れ替えてもらいました。それでそのオケ録りの時に生のストリングスの音を聴いた瞬間、詞がバーっと出てきたんです。
――そこからイメージを膨らませて完成させたと。
森口 そうです。歌詞は私の故郷の福岡でのことを、100%ノンフィクションで書きました。子供の頃から家族みんなで行っていた「かしいかえん」という、地元の人に大変愛されている歴史ある遊園地があるのですが、緊急事態宣言の影響もあって今年その閉園が決まって。それがもう悲しくて悲しくて。お花がすごく綺麗な遊園地でもあったので、そのお花の前で家族が写真を撮るのも名物で、私も2歳ぐらいのときに家族で撮った写真がアルバムにあったんです。それで閉園が決まったあと、福岡に帰省したときに家族みんなで同じ場所に行って、昔と同じ立ち位置でまた写真に収めたのが、ついこの間の出来事です。
――なるほど……。
森口 そういうことも歌詞に書いて。私も東京に出てきて、厳しい世界の中で35年生かされてきました。だけどなかには社会の納得いかないルールに打ち砕かれる日もあるじゃないですか。そんな想いだとか、この閉塞的なご時世でみんなが心のよりどころにしていたお店もなくなるなかで、どうやって夢と向き合っていくべきかとか、かしいかえんへの感謝の気持ちを込めて書きました。100%リアルな気持ちなので、プリプロ(仮のレコーディング)のときに思わず号泣して歌えなくなっちゃったんですよ。でも、私が泣きながら歌っていたら、エンジニアさんもスタッフの皆さんもレコーディングを止めなかったんです。止めないでずっと曲を流していた。なんかそれにも感動しちゃって……ごめんなさい、思い出したらまた涙が出ちゃった。
――そういうときは一度曲を止めて改めて歌い直すと思いますが、あえてそのまま曲を流し続けたと。
森口 そうなんです。止めたっていいわけじゃないですか、泣いて歌えないんだから。泣いちゃったらそこで止めて、落ち着いてからまた歌うでもいいんですけど、そのときはグズグズなりながらでも、歌えていないフレーズもあって、また歌い出したりとかもあったんですけど……。そこで、一曲の間にすごく、人生を感じたというか。
――歌手として、どんな苦難があっても歌い続けなければならないというか。
森口 そう。それと「立ち止まってもいいんだよ」っていうのもあるじゃないですか。泣いて歌っていないところもあるわけだから。それでも涙を拭って歌い出してみたりして。
――それをまた聴く人が自分のことに置き換えることができる、そんな楽曲だと思います。
森口 神前さんにも「プリプロの森口さんの歌を聴いて、詞が大化けしたと思いました。ホントに歌が素晴らしくて」と言っていただけて、とても感激しました!!
――さて、続いてはアッパーな「ポジション」。これは1993年にリリースされた森口さんのヒットシングル「ホイッスル」のアンサーソングとのことですが……。
森口 元々は私が作詞作曲を途中までしている、アニバーサリーコンサートでみんなと一緒に声を出して歌えるような曲を今回のアルバムに入れるつもりだったのですが、今はコンサート会場でみんな声が出せない状況なので、それはちょっと出番を待ってもらうことにして。その代わりにどんな曲を入れるかとなったときに、ディレクターさんが「声を出せなくてもみんなが元気になれるサマーソングはどうですか?」と提案してくれて。そのときに「ホイッスル」みたいな曲と言われたので、そこで私が「なるほど、じゃあその後を描こう」と思い付いたんです。
――「ホイッスル」のその後ですか。
森口 ホイッスルは当時私の大好きなプリンセス プリンセスの岸谷 香さんの作曲で、詞は西脇 唯さんとの共作でした。93年から28年経って私たち、色んなことを経験して大人になったわけじゃないですか。だからあの頃の応援歌とはちょっと温度が違うものを感じていると思うんですよね。大人って日々揺れるもので、コンディションもモチベーションも人それぞれだし、家庭内、仕事内、恋愛とか、色々なことで揺れているけど、そのなかでも自分の居場所が絶対あると思っていて。そこにはやっぱり感謝を忘れちゃいけないし、これは譲れないという核さえブレなければいいんじゃないかっていう。そういう想いを「ホイッスル」のアンサーソングとして詞を書きました。曲は私がメロディを口ずさんで、音楽プロデューサーの時乗浩一郎さんがコードを付けた、あの頃を経て大人になった人たちに向けたエールソングになります。
――これは当時「ホイッスル」を聴いていた世代には刺さりますよね。“もう一度 思い出し行こう”というフレーズもそれを示唆するようで。
森口 そう! ほかにも“遠いあの日 追い越した夏雲”という歌詞があるんですけど、あれは「ホイッスル」のAメロに出てくる“海岸線走りながら 追い越してゆく夏雲”の“夏雲”を指していて。それとAメロに“サングラス”が出てきて、そのあとに“ガラスに映るまぶしい顔”というフレーズがあるんですけど、「ポジション」の“まぶしい”は本当に体に堪える“まぶしい”だし、ガラスに映ったそのまぶしい顔もまたブサイクなんですよ(笑)。それに対して「ホイッスル」のAメロの“ぶつかる波がまぶしい”は、気持ちがドンドン晴れていって乗り越えた自分と波がぶつかるイメージなので、“まぶしい”の意味がちょっと違うんですね。そうやって昔の曲とユニークに対比させていきながらストーリーが進んで、最終的には前を向いて自分の歌をみんなでうたっていこう、という曲になっています。
“35人の森口博子”が歌う「水の星へ愛をこめて」、その先に続く未来
――そしてアルバム最後には「水の星へ愛をこめて」の新バージョンが収録されます。こちらがなんと、“35人の森口博子によるアカペラヴァージョン”というもので、まずこのバージョンを作ろうとなった経緯を教えてください。
森口 『GUNDAM SONG COVERS』で「めぐりあい」をオールアカペラでレコーディングさせていただいて、すごく評判が良かったんです。それで私もアカペラにハマっちゃって。“声”は神様からのギフトであり、その人にしかない“声”じゃないですか。それを重ねていくのはすごく神聖な作業だと感じて。それで今回、自分から「水の星へ愛をこめて」のアカペラバージョンをやってみたいとスタッフの方々にリクエストしたら、あの頃よりも難しいパートがたくさん出てきて、自分で言ったもののどうしようって(笑)。
――なんせ35のパートを一人でこなすわけですからね。
森口 歌以外のパートもそうですよね。トランペットやストリングス、ベースだったり、色んな楽器を自分の口で奏でて、コーラスも自分でやって、もちろんメインボーカルも歌って……。35トラックを重ねていく作業は、1トラック1トラックが一年一年色んなことを乗り越えて生きてきたその歴史を重ねていくような気持ちでした。35周年にちなんでの35トラックだったので。
――その制作がまさに、森口さんの35年の歩みであるかのような。
森口 「ああ、これは長いな、大変だな」って思いました(笑)。でも「楽しいな、感動するな、どんな仕上がりになるだろう?」っていうのもまさに35年を、1年1年を積み重ねていくことと同じだなって思って。それってつまり、35人の私じゃないですか。少女のような自分があったり、迷っている自分があったり、色んな時代があるわけですから。35人の私イコールみんなとの歴史なんだなって。
――その歴史を声で作り上げる。
森口 声だけというのは自分の決心ですよね。これからの周年に向けて、この声でずっと歌い続けていくんだっていう。この曲をアルバムの最後にしたのも、ノスタルジーに浸るみたいな意味ではなくて、私はデビューした17歳のときから、普遍的な、いつの時代にもリンクする曲をいただいているっていうことでもあるし。この声を届けていく決心も込めて、この曲をアルバムのラストに収録しました。
――これからも歌い続けるという強い決意を感じさせる、まさに圧巻の仕上がりでした。
森口 レコーディングはもう大変でしたよ。3日間かかったんですけど。3日間で「めぐりあい」のときには感じなかった腰痛が、ズシっと(笑)。
――体にくるんですね。
森口 きました。腰がちぎれるかと思いました(笑)。3日間ずっと歌い続けて、しかも取りづらい音もあったりして、途中脳トレかと思いました(笑)。楽器の旋律のなかには口三味線で表現するのが難しいフレーズもあるんですよ。でもそれが楽しくて。音楽プロデューサーで、この曲をアレンジした時乗(浩一郎)さんが「端から見たらいじめているみたいだよね」とおっしゃってて、私も「いじめられている! でもなんか楽しい!」とか言いながら(笑)。
――35年経ってもなお刺激的だと。
森口 はい。だって、いまだに「まだまだだな」って思いますし。私はいつも、1分前の自分の歌声は古いなって思うんですよ。そのとき精一杯の一番新鮮な自分を出したつもりでも、もう1分前の歌声は古い、まだまだだな、っていうことの繰り返し。
――そうした更新の先、10月3日にはアニバーサリーコンサートが待っています。
森口 待ってますね! 『GUNDAM SONG COVERS』シリーズや懐かしいオリジナルソングそして、『蒼い生命』のアルバムをしっかりと生でお届けします! 神前さんの美しい楽曲は泣かずに歌える自信がない(笑)、それほど心が今から震えています。「ポジション」はレコーディングしていて、「コンサートの絵が見えるよね! 間奏で絶対ありがとうって言っちゃうよね!」とか、ブースでも盛り上がっていたので、ウズウズしています! 毎日エゴサするんですけど「森口博子のライブ、ヤバイ」「一度行ってハマった」とかそういう声にもニヤニヤしています。
――ファンと一緒に楽しむことができる、森口さんにとってもその瞬間は待ち遠しい!
森口 そうですね! でも、私が今回、寂しいなって思うのがファンの皆さんとのその場での会話。私はキャッチボールを大事にしたいんですね。いつもだと、これはお決まりなんですけど、靴の紐を結ぶフリをして前の方のお客さんに「あらやだ! 下着見えちゃった?」って言うんですよ。それで「見えない見えない」「うそ、見えたでしょ?」「見えない」「見なさいよ!」っていうお約束があるんですよ(笑)。そういうコミュニケーションができないのはすごい寂しいな、とか。
――それができないぶん、会って心の中で抱きしめるようなコミュニケーションになるのかなと。
森口 この状況だからこその楽しみ方もあると思うので、そこは工夫して。逆にみんなの知恵が働くこともあると。色んな想いで足を運んでくれたコンサートだからこそ、みんなも忘れないと思うので、プラスアルファとして何をお届けできるかをじっくりと考えて臨もうと思います。このアルバムも、当初は『GUNDAM SONG COVERS 2』のあとにアニバーサリーシングルとしてリリースする予定だったんですよ。それが緊急事態宣言が発令された影響で、『GUNDAM SONG COVERS 2』のリリースが後ろ倒しになって、35周年シングルがリリースできない状態になってたんです。そんなときに、ディレクターさんが「こんなにみんなをお待たせしたからアルバムにしましょう」と言ってくれて、アルバムになったんです。
――こうして事態が刻一刻と変わるなかで、シングルがアルバムに生まれ変わったと。
森口 大変な環境だったからこそアルバムにしようって。ほかにも書き溜めていた曲、恋愛の曲も色々あったけど、今回はそういうモードじゃないんですね。だから書き溜めていた曲は1曲も収録していなくて。今これを伝えたいと。
――本当にこのアルバムは、この瞬間でしか生まれなかったものであると。それを受けてのコンサート、35周年イヤーを終えた先に新たな景色が見えそうですね。
森口 いいことをおっしゃいましたね! まさにそうです! 気が抜けない状態っていうの?(笑)。
――充実した未来まで、まだまだ気が抜けないですね。
森口 そうですね! それをいつもいい形にしてくれる心強いスタッフの皆さんに支えられているので。私も自分のやりたいことや構想を、いつも熱くお伝えするんです。それをなんとか形にしたい、一人でも多くの人に届けたい、という気持ちをもったファミリーと一緒に、デビューからずっとレコードやCDを作り続けてきた。それを振り返ったときに、本当に名曲揃いなんですよ、自分でいうのもなんですけど(笑)。丁寧に作って歌ってきたんだなって。その一方でファンの皆さんも、常に「新しいリリースいつですか?」とか「次を待っています」と声をかけてくださって、ノスタルジーに浸るだけではなく、アップデートされた歌手・森口博子を求めてくれる。そして、ライブやコンサートで魂が共鳴し合うその存在意義に私も突き動かされるというか。
――35年経てなお前を見据える体勢が整っていると。
森口 そう、求められるから頑張れる。
――そうやって求められ続ける存在って稀有ですよ。
森口 すべての出逢いがあってこそ! 私は欲しがられることが生きがいなんですよ。みんなと繋がりたいし。繋がりん坊、欲しがりん坊です(笑)。
INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
●リリース情報
『蒼い生命』
8月4日発売
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:KICS-94014
価格:¥3,850(税抜価格¥3,500)
【通常盤(CD)】
品番:KICS-4014
価格:¥2,750(税抜定価¥2,500)
<CD>
01. 蒼い生命
作詞:Qoonie、森口博子 作曲・編曲:田熊知存 (Dream Monster)
02. 鳥籠の少年
作詞:ryo 作曲・編曲:Masayoshi Kawabata
03. I wish ~君がいるこの街で~
作詞:西脇 唯 作曲・編曲:伊藤心太郎 ストリングス編曲:時乗浩一郎
04. 陽だまりのある場所
作詞:森口博子 作曲・編曲:神前 暁 (MONACA)
05. ポジション
作詞:森口博子 作曲:森口博子、時乗浩一郎 編曲:時乗浩一郎
06. 星より先に見つけてあげる
作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:前山田健一
07. 生命の声
作詞:森口博子 作曲・編曲:宇佐美宏 ストリングス編曲:関根佑樹
08. 水の星へ愛をこめて ~35人の森口博子によるアカペラヴァージョン~
作詞:売野雅勇 作曲:ニール・セダカ 編曲:時乗浩一郎
<Blu-ray> ※初回限定盤のみ
01. 蒼い生命 [Music Video]
02. 鳥籠の少年 [Music Video]
03. 星より先に見つけてあげる [Music Video]
04. I wish ~君がいるこの街で~ [Music Video]
●ライブ情報
“森口博子35周年アニバーサリーコンサート~蒼い生命~”
メンバー:安部 潤(Key)、吉田次郎(Gt)、山本直哉(Ba)、則竹裕之(Dr)、宮崎隆睦(Sax)
会場:東京国際フォーラム ホールC
日時:2021年10月3日(日)
時間:開場16:45 / 開演17:30
料金:¥7,800(税込み/全席指定)
お問合せ:キャピタルヴィレッジ
TEL.03-3478-9999(平日12:00~17:00)
関連リンク
森口博子 オフィシャルサイト
https://www.mogeshan.net/
森口博子 公式Twitter
https://twitter.com/hiloko_m
森口博子 オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/