TEXT BY 阿部美香
2003年、若干14歳でTVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』第3クールOPテーマ「Believe」で鮮烈なデビューを飾った玉置成実。そこから20年。堂々とシーンに降り立った少女はいつしか大人になり、透き通った歌声とキレのあるダンスパフォーマンスを武器にしてJ-POPシーンで、そしてミュージカル界で、マルチな才能を開花させてきた。
そんな彼女が20周年イヤーをスタートした記念すべきデビュー日に行われた「Nami Tamaki 20th Anniversary LIVE」は、彼女の歌声を知る人すべてが待ち望んだ久々のワンマンライブだ。とくに昼公演の「-Ultimate-」ステージは、彼女の長いキャリアのルーツを形作ってきた“アニソン”にフォーカス。自身のアニメや特撮ドラマのタイアップ曲からファンにもおなじみのカバー曲まで、全12曲を熱量高く披露した。
満員の観客が待ち構える中、BGMが流れ出すと、玉置のイメージカラーであるピンクのペンライトを灯しながら、前方の椅子席のオーディエンスが一斉に立ち上がり、後方の立ち見席からは大きな歓声が沸く。ステージに現れたのは、ブラックのトップスとカラフルなミニスカート、黒いロングブーツに身を包み、ダンサー陣を女王のように従えた玉置成実。スタイリッシュで激しい曲調に合わせ、クールでエネルギッシュなダンスパフォーマンスで、会場のテンションを一気に上げる。そんなビビッドなオープニングをブレイクし、1曲目に放ったのは、メロディックな「Sanctuary」(『牙-KIBA-』OP主題歌)。オープニングのダンスパートではクールな表情を崩さなかった玉置だが、この曲が始まって客席を見た途端、一気に笑顔をあふれさせながら、リズミカルに声を出す客席に向かって手を振って応え、パワフルにこぶしを挙げる。
そして「盛り上がって行くよーー!!」と大きく叫んで、ロックな「Brightdown」(『D.Gray-man』OP 主題歌)、爽やかなダンスチューン「BREAK THE CHAIN」(『バトルスピリッツ赫盟のガレット』主題歌)を連発。
3曲を連続で歌い上げて、最初のMC。「みなさんこんにちは! 元気? なんかめちゃくちゃ嬉しいね!」と呼びかけ、客席から飛ぶ「かわいい~!」の声に「かわいいやろ~?(笑)」と応える玉置。MCとなると一変。彼女の明るい性格が目一杯にじみ出た、温かい関西弁の超フレンドリーなトークで観客と掛け合う。
「今日のライブは、ゴリゴリ玉置成実のままで、ありのままで行きたいと思います。初めて玉置成実を見る方は、ちょっとギャップがあるかもしれないですけれども(笑)、そういうところもひっくるめて愛していただけると嬉しいです」
久々のワンマンライブを迎え、「久しぶりの方もいらっしゃると思いますけど、相変わらず現役でやってるなぁ!と皆様に感じていただきたく」て、歌とダンスをフルで見せるハイカロリーのセットリストに「本気で取り組んできました」と語り、次の曲を予告。そこで披露されたのは、パチスロ「ガンダムクロスオーバー」プレイ中にしか聴けない「Resolve」だった! MCで玉置が「楽曲的にもサウンド的にもめちゃくちゃ玉置成実」で「シャアの立場で歌詞を書いた」と語ったこの曲は、キャッチーで伸びやかなメロディで聴かせるスタイリッシュな1曲。ダンサーが玉置を照らすライトの演出もドラマティック。ライブでは初披露となる未音源化曲のプレゼントに、オーディエンスも熱狂する。
「テンション高いなと思ってる? そりゃいいでしょ、だって今日、20周年ですー!」と、またもハイテンションなトークを畳みかける玉置。オーディエンスも彼女の一言一言に歓声を挙げる。そして「今回自分の楽曲プラス、カバーしてきた楽曲たちも披露させていただこうかなと思ってます」「夜公演も来てくれる人いると思うんですけど、もう声を潰しちゃっていいよ!」とにこやかに告げて、自身が選曲したカバーアルバム『NT GUNDAM COVER』にも収録されていたTWO-MIXの「JUST COMMUNICATION」(『新機動戦記ガンダムW』)、そして小室哲哉がアレンジとプロデュースを担当し、彼女の9thシングルとしても大ヒットした「Get Wild」(『シティーハンター』)を熱唱。イントロから大歓声が湧き上がる。
カバー曲に込めた当時の想いを語るショートMCを挟んで、さらに「もう1曲、意外な曲を」と言って歌われたのは、こちらもアルバム『NT GUNDAM COVER』に収録されたドラマティックなロックバラード「暁の車」(『機動戦士ガンダムSEED』挿入歌)だった。これは、あの梶浦由記が手がけたFictionJunction YUUKAのデビュー曲としてファンの心に残り続ける名曲。張り出したサブステージにゆっくりと歩みを進めた玉置は、情熱的なパフォーマンスを繰り広げつつ、美しいハイトーンファルセットを響かながら、時に優しく、時にパワフルな歌声で、観客を圧倒する。そのエモーションは、エキゾチックな浮遊感と疾走感を融合した「Result」(『機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディ ション ~砕かれた世界~』ED主題歌)へと引き継がれていった。
改めて「今日は20周年を迎えることができました。ありがとうございます」と感謝の言葉を綴る玉置。「最近よく、小学校の頃聴いてましたとか、父親とか母親が好きなんですとか言われるけど……嬉しいよね!」と顔をほころばす。
会場を包む込む温かい拍手。そして彼女が、いたずらっ子のような笑顔を浮かべて「まだ3曲、聴いてないのがあるよね?」と問いかけると、またも大きな拍手と歓声。「この3曲で絶対満足させるから! HPゼロにしてって!」と声を挙げて最後に畳みかけられたのは、玉置成実の名をアニソンファンに刻みつけた名曲群「Reason」(『機動戦士ガンダムSEED』OP)~「Realize」(『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』ED主題歌)~「Believe」(『機動戦士ガンダムSEED』OP主題歌)だ! 軽快でリズミカルなビートとデジタルロックなサウンドにのせて、ダンサーとの見事なコラボレーションで躍動する玉置のメロディックな歌声に、オーディエンスも激しくコール。花劇場の興奮は、最高潮に達した。
ヒット曲を連発したエキサイティングなセットリストを歌い終わってからも、チャーミングなポーズを取って自由に写真を撮影していい時間を設けてファンとの触れ合いを心から楽しんでいた玉置。「20周年、まだここから始まったばっかりなので、いろいろ計画しております! これからも玉置成実の応援をよろしくお願いします!」
深々と頭を下げた彼女に贈られた大きな拍手は、ここから始まるアニバーサリーイヤーの華やかな幕開けを告げていた。
現在始動中のデビュー20周年アニバーサリープロジェクトでは、2024年3月17日の20周年総仕上げとなるライブ開催も発表。YouTubeには新たに「Nami Tamaki Music Channel」が開設され、過去曲のMVが続々公開されている。この日のライブで披露されたパフォーマンスの一部映像も、順次公開されていく予定だという。
“Nami Tamaki 20th Anniversary LIVE -Ultimate-”
2023年4月23日(日)東京・浅草花劇場
<セットリスト>
M1 Sanctuary(アニメ『牙 -KIBA-』OP主題歌)
M2 Brightdown(アニメ『D.Gray-man』OP主題歌
M3 BREAK THE CHAIN(アニメ『バトルスピリッツ赫盟のガレット』主題歌)
M4 Resolve(パチスロガンダムクロスオーバーより)
M5 Connect the Truth(特撮ドラマ『ウルトラマンZ』ED)
M6 JUST COMMUNICATION(⦅カバー⦆アニメ『新機動戦記ガンダムW』)
M7 Get Wild(⦅カバー⦆アニメ『シティー・ハンター』)
M8 暁の車(⦅カバー⦆アニメ『機動戦士ガンダムSEED』挿入歌)
M9 Result(アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディ ション ~砕かれた世界~』)ED主題歌
M10 Reason(アニメ『機動戦士ガンダムSEED』OP主題歌)
M11 Realize(アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』ED主題歌)
M12 Believe(アニメ『機動戦士ガンダムSEED』OP主題歌)
関連リンク
玉置成実オフィシャルサイト
http://www.tamaki-nami.net/
Nami Tamaki Music Channel
https://www.youtube.com/channel/UCt_yRA4KGB6ONBBLXmlLS1w