今年6月にデビュー4周年を迎えたシンガー・宮川愛李が今、変化の時を迎えようとしている。昨年からスタートしていた新たな宮川愛莉を模索するプロジェクト、そのなかで生まれたのが、この度リリースされた新曲「タンバリンの鳴る丘」だ。
TVアニメ『レベル1だけどユニークスキルで最強です』EDテーマとなった本作は、新たなフェーズへと向かう彼女が踏み出したチャレンジに溢れた意欲作となった。シンガーとして成長過程の中で、5年目という節目を視界に捉え始めた彼女は今何を思うのか――次のフェーズを迎える期待と不安を赤裸々に語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一

宮川愛李としての“歌”の可能性を探るために
――先日デビュー4周年を迎えた宮川さんですが、ここ最近はリリースのほかにもイベント出演などが多くありましたね。

宮川愛李 昨年から色々なイベントに呼んでいただけて、すごく貴重な、自分のアーティストとしての感性も高められる、素敵な機会をたくさんいただいているなと思います。昨年だとお客さんの声出しも難しかったけれど、今は徐々に声出しが解禁されているなかで、みんなもどういうテンションでライブを楽しんでいたかというのを思い出しながら楽しんでくれている雰囲気も肌で感じていて……。なので、私たちからも楽しさをどんどん伝えて、明るいライブを作っていければなと思っています。


――宮川さんが、そうした新たなフェーズに入ったなかで、新曲「タンバリンの鳴る丘」がリリースされました。

宮川 はい!でも、レコーディング自体は結構前で、 去年の7月くらいに終わっていたんですよ。元々今回の楽曲は、宮川愛李としての歌の可能性を探るためにTikTokやSNSにも積極的に露出していき、今まで歌ってきたものとはイメージの違うものを展開していこうというプロジェクトをきっかけにして生まれた曲なんです。

――たしかに、サウンドやボーカルのアプローチはこれまでと違う印象がありますよね。

宮川 はい。ちょっと遊び心を入れたりとか、 今までやったことがなかったテンション感で歌ってみる、というのをかなり意識して作っています。


――サウンドも歌詞もトリッキーな作りですよね。最初に楽曲を聴いた印象はいかがでしたか?

宮川 最初に楽曲をいただいたときって、「自分に合っているな」と思うか、「これは難しいな」というどちらかのパターンがほとんどなんですけど、今回はどちらかというと世界観やテンションが入り込みやすい印象で。元々の私の声の特徴とも関係しているかもしれないのですが、今回はかなり楽しく歌える、一番良いラインのメロディをつけてくださったのかなぁと感じました。

――それこそ、宮川さんとしても遊びを入れたくなるような曲調といいますか。

宮川 そうですね。歌っている最中にも、スタッフの方から「もっと自分の思っている以上にテンションを上げてやってごらん」とアドバイスをいただき、試行錯誤しながら制作を進めていき、スタッフさんや作曲してくださったサカイダ(ユーキ)さんにも色々アイデアをいただきました。
今回は「遊びを入れる」というテーマだったので、様々なアイデアをたくさん詰め込んだ曲に仕上がっているんじゃないかと思います。

――そうした遊び心という点では、宮川さんのボーカルも様々な表情が見える仕上がりになっていますね。Aメロ、Bメロ、サビと徐々に変化していくような聴こえ方といいますか。

宮川 それこそ、今世に出ているアーティストさんの楽曲を聴いて分析していき、“心で動いている”ものを感じることが増えてきて……最近はそこを意識するようにしています。「タンバリン」を歌うときも、ただ一遍倒に突き抜けるように高い声で明るく歌うのではなく、そこに抑揚をつけていったほうが、アニメの世界観に寄り添った楽曲になるんじゃないかな?というところも意識していたので、そう言っていただけると嬉しいですね。

5年目に向けて、新しい魅力をまた1つ掴む必要がある
――また一方で歌詞についてですが、ポップに感じられる一方で、例えば“怖い”というワードがよく登場するなど、赤裸々な感情を吐露されている印象があります。


宮川 今回は特にアニメの作品の世界観も大切にしたいという想いが強くて。ジャンル的にいえば異世界転生やファンタジー、バトルなども含まれていたりしますけど、そこにはネガティブな感情もあるじゃないですか。例えば、ダンジョンの中でも出会いや別れがあるし、傷つくこともある。でも、そのなかで得た成功や仲間との大切な絆とか、その温かい部分と暗い部分をこの曲で表現したかったんですよね。なので、時折厳しいというか強めな強気な言葉を入れて、異世界の厳しさみたいなものを表現できたらなという試みをしています。

――ポップだけどシリアスという点では、終盤の“声に出ないその心”と始まるパートが秀逸ですし、そこでの宮川さんのボーカルもすごくエモーショナルで。


宮川 実は、このフレーズと歌詞は最初に作ったときにはなかった部分で。『レベル1だけどユニークスキルで最強です』のEDテーマに決まったときに、アニメの世界観を通して感じたことや、「もっとこうできるな」と改善したいところを繋ぎ合わせて出てきたんです。制作の中で、自分の成長とともに生まれた部分なので、そこに注目していただけるのはとても嬉しいです。

――こうしたアニメへの想いがフルサイズに込められていることで、アニメを観るときとはまた違った受け止め方もできそうですね。ちなみにこの曲はまだライブで披露はされていない?

宮川 まだですね。まだライブで歌う想像があまりできてないんですけど、個人的な気持ちで言うと……「大変そうだな」と思っています(笑)。
でも、自分の新たなイメージを突き抜けて出来た曲なので、歌うのが本当に楽しみですね。

――また、そうした新たなボーカルアプローチに挑戦できた楽曲の一方で、MVはどんな仕上がりになりましたか?

宮川 MVも今までの作品と比べると印象が違うものになっています。いつもMVでも表現の幅を広げていきたい、というところが常にあったので、これまでも色んな挑戦をしてきているんですよね。デビューの頃はまだあどけなさが残っているときにしか出せない表現を活かしてもらったりしましたし、そこからだんだん大人っぽい表現も挑戦させていただいたんですけど、今回はまた……ちょっと良い感じです(笑)。ちょっぴりかわいい映像になっていますね。

――そして5年目という新たなフェーズで、様々な場所で自身を更新している現在ですが、この先のキャリアに向けての想いを教えてください。

宮川 音楽活動では大いに自分のやりたいことや楽しいと思えることを突き詰めてやらせてもらっているので、感謝の気持ちがすごく強いです。そういった面ではかなり恵まれた環境ではありつつ、一方でその環境を活かしきれているのかな……?という不安はありますね。もっと技術面で成長できる部分も、この先もっと突き詰めていけばいくほど見つかっていくものですし、私自身、今の歌と過去の歌と比べて変わってきているなと感じるところもあるので。例えば、この4年間の中でも、「この年はちょっと迷っているな」と思うときや、「この年は伸びて伸びて、逆に成長しすぎて落とし所がわからなくなっちゃっているな」みたいなときも少しあって。やっぱり5年という節目を迎える手前で、年齢的にもどんどん大人になっていくし、この1年はフィジカルな面も精神的な面も大いに成長する必要があるなと思っています。

――なるほど。そうした自己分析というのは、ご自身の中では客観的に行えている?

宮川 客観的に見えているかどうかは、実際自分ではわからないものなので、普段から周りに「どうですか?」ってよく聞くようにしていますね。逆に、自分を深く見過ぎるとわからなくなっちゃうことが多いんですよ。宇宙が広がっているみたいな、自分のことを自分だけの心の中で考えても、結局どこか鍵がかかっている部分があって、自分で自分に嘘をついちゃうような気がしていて……。それで詰まったり歌えなくなってしまうこともあるので、 あまり自分を俯瞰して見れている、という気持ちに入りすぎないようにはしています。

――そこもまた試行錯誤なわけですね。こうして新たな試みも増えていくなかで、8月には今夜、あの街からの「1st LIVE “承認闘想”」に出演されますし、この先の宮川さんの姿も楽しみになります。それこそワンマンとか……。

宮川 やりたいですよ、ワンマンやりたいです!イベントに出演させていただくなかで、お客さんの盛り上がりも徐々に戻ってきているのを感じますし、ライブやりたい欲がどんどん出てきています。私自身、やっぱりコロナ禍で失ったものは大きかったし、もちろんそれはファンの方々も同じで。でも、いつまでもそこに引きずられて捕まっているわけにはいかない。4周年を迎えて5年目になったというタイミングで、私の新しい魅力をまた1つ掴む必要や、もしくは大きく変化する必要があると感じています。今まで応援してくれていた方はもちろんですし、これから応援してくださる方にも、そういった変化を見せながらこの先に向かっていきたい。一つずつ目標を達成していき、昨年から始めた活動を経て開花する瞬間を見ていただけたらと思います。

●配信情報
TVアニメ『レベル1だけどユニークスキルで最強です』エンディングテーマ
Digital Single
「タンバリンの鳴る丘」
配信中

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通常/配信リンクはこちら

●作品情報
TV アニメ『レベル 1 だけどユニークスキルで最強です』
放送&配信中

【STAFF】
原作:三木なずな(講談社 K ラノベブックス 刊)
監督:柳瀬雄之
シリーズ構成:山田由香
メインキャラクターデザイン:西田美弥子、小島えり、出口花穂、大場優子
美術監督:深谷知穂
色彩設計:渡辺亜紀
撮影監督:野村雪菜
音響監督:土屋雅紀
音楽:エンドウ.
アニメーション制作:MAHO FILM
製作:「レベル1」製作委員会

【CAST】
佐藤亮太:石川界人
エミリー・ブラウン:久住 琳
イヴ・カルスリーダー:高野麻里佳
セレスト:大西沙織
アリス・ワンダーランド:高尾奏音
エルザ・モンスーン:渕上 舞

●OPENING & ENDING THEME
オープニングテーマ:ノラ from 今夜、あの街から「Chase Me」(B ZONE)
エンディングテーマ:宮川愛李「タンバリンの鳴る丘」(NiM RECORDS/B ZONE)

関連リンク
宮川愛李
公式サイト
https://mykwai.net/

公式Twitter
https://twitter.com/imoko_____

公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCIxubJVRy8RvIzRYMhiiqZA

TV アニメ『レベル 1 だけどユニークスキルで最強です』公式サイト
https://level1-anime.com/