INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
原作者からの約20年越しの想いを知る
――まずは新曲について伺いたいのですが、今回の新曲「Turn the World」は水樹さんと縁が深いTVアニメ『SHAMAN KING FLOWERS』OPテーマですね。まず『FLOWERS』の制作のお話を聞いてどう思われましたか?
水樹奈々 嬉しかったです!『SHAMAN KING』の続編で、次世代のシャーマンたちが活躍する物語がTVアニメで描かれて、しかも(水樹が演じる)玉村たまお役も続投。また、たまおを演じる機会が20年以上の時を経てやってくるなんて想像もしていなかったので、本当に嬉しかったです。
――『SHAMAN KING』シリーズ全体にはどんな想いがありましたか?
水樹 『シャーマンキング』(2000年放送版のアニメ)はデビューして間もない頃で、そうそうたる先輩方の中、本当に私がここにいていいのだろうかと、震えながらアフレコスタジオに行っていたことを今でも鮮明に思い出します。その時に見た先輩方のかっこいい背中や、何度もリテイクで苦戦したこと、アフレコ後の食事会で先輩方から色々なアドバイスをいただいたことなど、大きな学びがたくさんある作品なので、とても思い入れ深いです。
――しかも2021年から放送された完全新作アニメーション『SHAMAN KING』では、たまおを物語の完結まで演じ切れたんですよね。
水樹 それもすごく嬉しかったです。たまおも彼女なりの戦いを重ねて成長していて。しかも、(その後の物語を描いた『SHAMAN KING FLOWERS』では)修業はもちろん、闇落ちなど色んな経験を経て(笑)、強力なシャーマンに!(麻倉)葉様と(恐山)アンナ様のいないふんばり温泉を守り、その2人の子供である(麻倉)花の育ての親となっている彼女の姿を見たときは衝撃的でしたし、いつかアニメ化されたらいいなと思っていたので、本当に嬉しかったです!
――実際、『SHAMAN KING FLOWERS』のアフレコでは、たまおの成長をどのように受け止めながら演じられましたか?
水樹 キャラクターを再構築する必要がありました。
――グレてしまった学生時代を経て(笑)。
水樹 そうです、それを経て(笑)。本来の力に目覚め、自分の使命を全うするためにそこにいるという肝の据わった彼女を演じられたらと。
――『FLOWERS』ではたまおが演歌歌手としてデビューもしていますものね。
水樹 楽しかったです!武井(宏之)先生に「なぜ演歌なんですか?」と聞いたところ、「23年前にみんなで食事をした時に水樹さんが昔、演歌を歌っていたというのを聞いて、いつかキャラソンとかで演歌を歌ったら面白いんじゃないかと思ったんです」とおっしゃっていて!そのお気持ちが、とても嬉しかったです!!
ブロックごとに様々な色を持つ楽曲
――アニメのOPテーマ「Turn the World」は作品のどんな要素を落とし込んで作られた楽曲なんでしょうか?
水樹 次世代のシャーマンたちのお話ということで、前作「Get up! Shout!」(TVアニメ『SHAMAN KING』第2弾OPテーマ)とは切り口の違う曲にしたいなと思いました。前作のようなロックテイストでというリクエストはあったのですが、監督から「水樹さんチームにお任せします」というありがたいお言葉をいただき、直感で「これだ!」というものにしようと。今回も楽曲はコンペだったんです。たくさんの作家さんから曲をいただいて、その中から決めたのですが、このサカノウエヨースケさんの曲にひと聴き惚れしました。まさに求めていた、少し斜に構えて素直になれず、目の前で起こることに一喜一憂してもがいているような様子が音から感じ取れる作品だったので、主人公の麻倉 花の心情をしっかり表現できるのではないかと。
――花の斜に構えた感じ、よくわかります。
水樹 ひねくれてるんですよね(笑)。素直じゃないというのがポイントで、反骨精神が出ていて、ひと癖ある曲がいいなと思っていたんです。歌詞も“青さ”がほしいなと思い、青い男心を書かせたらピカイチのヨシダタクミさん(saji)に、ぜひ思春期の割り切れない気持ちを表現してもらいたいとお願いしました。私もヨシダさんが書かれたところにエッセンスを足して、共同制作をさせていただいた形です。
――まず、サカノウエさんの曲について伺いたいんですけど、直近でサカノウエさんが書かれた「Sugar Doughnuts」もわりと素直じゃない曲調でしたよね。サカノウエさんのそういう作風に惹かれるところがありますか?
水樹 そうですね。ギャップに萌えてしまうタイプなので(笑)。かわいく見せて、歌ってみたら息継ぎが少ないっ!めっちゃスパルタ!みたいな。サカノウエさんはそういう曲が多いです