日本人の父と中国人の母を持ち、日本語・中国語・英語の3ヵ国語を駆使した歌詞と透明感のある歌声で独自の世界観を構築するシンガーソングライター、krage。2022年にTVアニメ『後宮の烏』のEDテーマ「夏の雪」を歌い、アニメ音楽のシーンにもその名を知らしめた彼女が、2024年冬クールに話題のアニメ2作品の主題歌を担当している。
1つはTVアニメ『俺だけレベルアップな件』のEDテーマ「request」。krageが敬愛してやまないアーティスト・TK(凛として時雨)のプロデュースによる、激情と葛藤が交差する挑戦的なアップナンバーに。そしてもう1つが、中国原作のアニメ『天官賜福 貮』日本語吹替版のEDテーマ「春想(ハルオモイ)」。彼女のルーツと作品で描かれるキャラクターの想いが重なった壮大なバラードだ。対照的な2曲でそれぞれの作品にしっかりと寄り添う彼女は一体どんなアーティストなのか――その異次元の才能に迫る。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

krageのルーツにある音楽と憧れの存在
――リスアニ!初登場ということで、まずはこれまでの音楽遍歴、音楽活動を志したきっかけについてお聞かせください。


krage 母が中国出身で、家では中国の音楽が流れている環境で育ったので、J-POPはテレビでたまに流れているのを聴くくらいで子供の頃は歌にも特に興味はなかったんです。でも、母から習い事を薦められたときに私が選択したのが英語とピアノで、小学生高学年の頃から2~3年ほど習わせてもらって。その後、中学生の頃にレディー・ガガやケイティー・ペリーが流行って、YouTubeでレディー・ガガのピアノの弾き語り映像を観たんですよ。それでなんとなく真似して歌ってみたら、母や親しい友人から「上手いからやってみなよ」と言われたのが、歌を始めたきっかけでした。

――洋楽が歌を始めた入り口だったんですね。

krage はい。
その少しあとに『東京喰種トーキョーグール』のアニメとボーカロイドの楽曲に触れて、日本語の楽曲の良さに気付きました。『東京喰種トーキョーグール』のOP主題歌だった「unravel」(TK from 凛として時雨)を聴いて、「日本語の楽曲ってこんなにかっこいいんだ!」って衝撃を受けまして。なので