北関東への記録的な大雨だが、いまも茨城県では鬼怒川の堤防決壊によって濁流にのまれ家屋に取り残された人びとや、土砂崩れに巻き込まれた人びとの救助活動が行われている。17時30分現在、被害は6900世帯にのぼり、550人もの人びとが孤立状態にあるという。
今後、被害はさらに拡大すると思われるが、安倍晋三首相は午前10時39分に報道各社からのインタビューで「今後も経験したことのない大雨が降り続く恐れがある。災害応急対策に万全を期していく」と述べたものの、その後、災害対策に自ら乗り出すことはなかった。
事実、インタビュー後は、長嶺安政外務審議官、江島潔自民党参院議員、山口那津男公明党代表と立て続けに会っているが、会談目的は災害対策ではなく安保法制の参議院採決に向けた準備であることは明白。さらに、午後1時36分から2時17分までは、内正太郎国家安全保障局長、北村滋内閣情報官、平松賢司外務省総合外交政策局長、防衛省の黒江哲郎防衛政策局長、河野克俊統合幕僚長と会談している。この面子を見てピンとくる人も多いと思うが、これは先日国会で明らかになった防衛省の内部資料、すなわち昨年末の河野統幕長による安保法制成立を前提とした米軍幹部との会談の件について話し合っていたのだろう。
いままさに起こっている災害の対策に尽力もせず、安保法制採決のために内部資料の言い訳を考える......。しかも、災害救助にあたる自衛隊トップの統幕長も一緒に。これだけでも国民の安全を軽視していると思わざるを得ないが、そもそも、深夜1時に開かれた会見の段階で、気象庁は「栃木県では、これまでに経験したことのないような大雨が降っています。重大な危険が差し迫った異常事態と言っていい状況です」と強い言葉で説明。さらに、「土砂崩れや浸水による重大な災害がすでに起こっていてもおかしくない」としていた。そして、最大限の警戒を呼びかける「特別警報」が、深夜0時台に栃木県、朝7時台に茨城県に発表されている。
昨晩から甚大な災害が予想され、すでに被害が出ている。
この発言、厚顔にもほどがあるが、いまはそれこそ一刻も早く、本気で対策を講じてほしい。それが総理大臣の仕事だ。
(編集部)

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