先日、本サイト・リテラは「中山美穂に捨てられた辻仁成が息子のためにつくる愛情料理がスゴい!」という記事を紹介した。辻が連載中のエッセイで描かれる、辻がパリで息子の子育てに励む様子が微笑ましいとお伝えしたものだ。
だが、じつは先週号のエッセイでは、微笑ましいとは言いがたい事件が起こっていた。というのも、中山美穂の恋人・渋谷慶一郎が公開した2人のツーショット写真について、辻が言及しているのだ。
その写真がインスタグラムにアップされたのは、10月21日のこと。それはパリと思しき街の大通りで、渋谷が背後から中山に身を寄せ、身体を密着させた写真だった。渋谷は中山の髪にキスするようなしぐさを見せ、いかにもロマンティックな恋人同士といった風情だ。この写真には「お似合いです」といったコメントと同時に、「素敵な写真かもしれない。でも息子さんが観たら傷つくね」という声も寄せられていた。
で、気になる辻の反応だが、それが綴られているのは、「女性自身」(光文社)11月25日号。辻の連載である「子連れロッカー『希望回復大作戦』ムスコ飯」でのことだ。「母のツーショット写真の、衝撃」と題されたその回は、こんな一文から始まる。
「離婚後、いちばん大きな心配は息子の精神状態でした。今まで一緒に暮らしていた母親と暮らせなくなったという現実を彼がどう認識しているのか、まだ10歳ですからね、この点に神経を使ってきました。
この連載ではこれまでも、母が恋しくなり息子が学校で涙したことや、普段、息子が「ママには会いたくない」と洩らしていること、離婚騒動をきっかけに辻が胃潰瘍を患ったことを綴るなど、ところどころで中山に対して軽いジャブを加えていた。だが、ここまであからさまに中山について触れたのは、はじめてのこと。それだけあのツーショット写真は、辻の腹に据えかねたのだろうか。
さらに、辻は離婚後はじめてパリのオペラ地区にある日本人街へ買い物に出かけるという冒険を行っている。なにもこのタイミングにわざわざ行くこともないだろうと思うが、やはり街の人々の反応は冷ややか。顔見知りの食材店の店長には「ギョッという顔をされました」といい、「パリの知人たちにもある種の激震が走っていたようです。引き攣るような、幽霊を見るような顔を見て、悲しくなりました」と、街で"話題の人"となっていることを印象づけている。
しかも、食材店の店長に辻が日本人街にあまりこられなくなってしまったことを言い訳すると、店長はこう言うのだ。
「分かりますよ、たまに見かけますし」
中山にしてみれば、もしかすると息子を一目見たくて、日本人街に出向いているのかもしれない。だが、万が一、恋人と一緒のところを息子に見せるわけにはいかない、というのが辻の思いなのだろう。
それでも、辻は中山と渋谷を糾弾せず、逆にこう書くのだ。
「彼の生きる場所を守ることがきっと今の自分の役目でしょう。人目につかない場所で、しばらくの間、息を潜めて、つつましく生きればいいのだと思います」
......まるで古い歌謡曲のなかの愛人と見紛う、このM度の高さ。辻にはあのツーショット写真のショックが大きすぎたのか、それとも中山を許せないからか、中山にとっては直接責められるよりもつらい戦法で辻は打って出ているようにも見える。たしかに、世間の同情を集めるには、格好の手ではあるだろう。
でも、たとえ辻が心の底から息子を大事に思い、息子と自分のふたりの生活を大切にしているのであれば、そこまでせせこましい考えに陥らなくてもいいではないか。第一、父が「息を潜めて」生きているなんて、悲しむのはほかでもない息子さんではないかと老婆心ながら心配になってしまう。
ちなみに、今回紹介されている"ムスコ飯"は、「豚肉のエシャロットソース」。これは息子の好物だそう。......前回も書いたが、辻はシングルファザーとしてほんとうによくやっているように見える。筆者自身、辻が「やっと会えたね」などとほざいていたころはこんなエールを送る日がくるとは思わなかったが、言わせてほしい。「卑屈な辻仁成なんて、辻仁成じゃないよ!」と。
(水井多賀子)