桜の名所が消えてしまうかもしれない!?
各地で桜が見頃を迎えていますが、近い未来には桜の名所が消えるかもしれない事態となっています。その原因は近畿全域で猛威を振るう桜を蝕む“小さな破壊者”の存在です。
その存在は一体どういうものなのか、そしてどうすれば桜を守ることができるのか。
桜の名所「哲学の道」 約400本の桜が見ごろ
水路を包み込む桜のトンネル。京都市左京区にある桜の名所「哲学の道」では、約400本の桜が見ごろを迎えていました。
(観光客)
「思った以上に満開でびっくりしました」
「あっちもこっちも咲いていたな」
「桜がきれい。京都がいちばんです」
平年より3日早く開花が確認された京都はすっかり春模様。古都の風情を華やかに彩ります。しかしいま、こうした風景に危機が迫っています。
桜の木が伐採…その原因はとある「虫」
(記者リポート)「もともとあった1本の大きな桜の木が、ある虫の被害を受けて伐採され、今は切り株にカバーがかけられています」
無残にも伐採されてしまった桜の木。原因となった「虫」の正体は・・・
(京都市環環境政策局・田代孝行さん)「こちらが桜に被害を及ぼすクビアカツヤカミキリです」
"小さな破壊者" 特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」
特定外来生物に指定されているクビアカツヤカミキリ。体長は2cmから4cm。首のように見える部位が赤いのが特徴です。
中国由来といわれ、国内では2011年に愛知県で初めて確認され、今年2月までに16都府県で見つかっています。
(近隣住民)「なるべくなら駆除してほしいね。あっちこっち隣近所が全部そんなことで枯れたらかなわん」
(近隣住民)「なんで付いてきてきたんやと思いますけどね、日本に。
幼虫が木の内部を食い荒らす
成虫は桜や梅、桃などの木の幹の表面に一度に数十個の卵を産みつけます。
孵化した幼虫は2年から3年、幹の中で過ごし、皮のすぐ内側の栄養や水を運ぶ「道管」を食い荒らして木を弱らせ、倒木などを引き起こします。
被害を受けている木の根本などには幼虫が出す糞と木くずがまじった「フラス」と呼ばれるものが溜まっているのも特徴です。
「いよいよ来てしまった」桜の名所が多い京都では約200本が被害に
京都府ではおととし初めて被害が確認され、西京区や伏見区のほか、福知山市や京田辺市などで計約200本の木に被害が確認されています。
(京都市環環境政策局 田代孝行さん)「(被害が)広がってきている印象をずっと受けていましたので、対策はずっとしてきたんですが、いよいよ(京都にも)来てしまったと残念な気持ちですね」
「フラス」が確認された木の中には幼虫がいる可能性が高いため、薬などで駆除します。しかし、この木はすでに大きく食い荒らされ倒木のおそれがあったため、伐採せざるを得なかったといいます。
(京都市環環境政策局 田代孝行さん)「京都市内には桜の名所がたくさんあります。昔ながらの桜がたくさんあります。(被害が)爆発的に増えた状況を他の事例では聞いているので、そうならないようにしっかり対応する必要があるかと思っております」
最初の被害確認から10年 近畿地方全域に拡大
猛威を振るうクビアカツヤカミキリ。
近畿では、2015年に大阪府で最初の被害が確認されて以来、隣接する府県でも次々と確認。去年7月には、滋賀県内でも被害が確認され、10年で近畿のすべての府県に広がりました。
大阪・羽曳野市では被害により桜の木を伐採し景色が一変
大阪府羽曳野市では被害により景色が一変しました。
(大阪・環農水研 山本優一さん)「ここはもともと桜並木になっていたんですけれども、同じような時期に被害を受けて伐採した」
この場所にはかつて春には多くの人が訪れる桜の名所がありましたが、被害を受け5年前にやむを得ず伐採し、今では見る影もありません。
(大阪・環農水研 山本優一さん)「長い間、管理・育てていただいたので、非常に残念な気持ち。同じような状況にならないために、早期発見・対策を頑張っていければ」
市などが幼虫を見つけ次第駆除するなどの対策を進めていますが、2017年以降毎年新たな被害が出ていて、一度侵入すると根絶は難しいのが現状です。
クビアカツヤカミキリの生態に詳しい専門家「繁殖力が脅威的」
クビアカツヤカミキリの生態に詳しい専門家は、その繁殖力は脅威的だと話します。
(樹木医 宗實久義さん)「理論上、最大数産卵すれば(1匹あたり)500個~1000個になる。何らかの形で車に成虫が付いて運ばれると、離れたところでも被害が発生する。被害が近くないからと油断はできない」
また、これからは行政による対策だけではなく、住民らの協力も不可欠になってくると指摘します。
(樹木医 宗實久義さん)「(花見シーズンには)花が咲いた、きれいと1週間ほどは騒がれますが、そのあとは全く関心を持たれないというのが現状。その現状下でフラスや成虫を見つけるのはなかなか難しい。桜の花を楽しむと同時に、その桜を守っていこうという機運が高まっていくことが大事」
兵庫では「見張り隊」結成 住民を巻き込み被害拡大を防ぐ
こうしたなか、実際に住民を巻き込んで被害拡大を食い止めようと動き出したところも。
(兵庫県自然保護協会 山崎紫さん)「皆さんが実際に外で桜をどう見るかレクチャーしていきます」
兵庫県では「Hyogoクビアカツヤカミキリ見張り隊」を結成。隊員ら約30人が幼虫の被害を受けた木の見分け方や、成虫を見つけたあとの対処法などを学びます。
(兵庫県自然保護協会・山崎紫さん)「まず簡単なのは足元ですね。ここに茶色いの(フラス)がドバドバっと。殺虫剤で殺す場合、気絶で終わっている場合がある。動かなくなったと思っていたら、時間がたつと動き出したりする。できるだけなんですが、ごめんねって踏んでほしい」
桜文化を守るため 「行政」と「住民」の協力が不可欠か
さっそく実践してみますが・・・
(隊員)「(Qフラスは見つかりそう?)ぜんぜんみつからない」
(隊員)「桜文化に脅威を与えていることに非常に危機感を持っている。
(兵庫県・自然鳥獣共生課 相浦輝之課長)「これからお花見のシーズンになるんですけれども、花を見るのとあわせて、桜の木の根元も見ていただいて、幼虫が(木の)中にいる痕跡の発見に努めていただきたい。行政だけで発見しようとしても限界があるので、県民の皆さま方と一緒になって発見に努め、早期の対策につなげていきたい」
桜がある日本の春を守るため、一人ひとりが「小さな破壊者」と向き合うときが来ています。
(2026年4月1日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『憤マン!』より)

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