「刃物男」に警察官が発砲…その正当性は?

4日夜、大阪・河内長野市で刃物を持ち向かってきた男に警察官が発砲。男は公務執行妨害などの疑いで逮捕され、搬送先の病院で死亡しました。

拳銃の使用について大阪府警は「発砲の要件は満たしているが詳細は調査中」としています。

厳しいルールが定められた警察官による「発砲」のルール。今回の判断は適切だったのか?警察官の4つの“拳銃ルール”とは?

元千葉県警警部補・森雅人氏の見解をもとに解説します。

【時系列で見る】通報~男死亡まで…警察官と“刃物男”の動き

「正当な判断だった」大阪で“刃物男”に警察官が発砲…その正当...の画像はこちら >>

まずは4日夜の動きを時系列で見ていきます。

▼午後6時59分ごろ
 110番通報「包丁を持った血だらけの男が暴れている」

▼午後7時13分ごろ
・警察官が拳銃を抜き「刃物を捨てろ」と警告
・男が刃物を向けてきた→上空に威嚇射撃
・刃物を持って向かってきた→発砲・左胸に命中
 ※左胸を狙ったのかどうかは不明

▼午後7時15分ごろ
 公務執行妨害の疑いで男を逮捕

▼午後8時48分ごろ
 男の死亡を確認

警察官の4段階の「拳銃ルール」とは?

「正当な判断だった」大阪で“刃物男”に警察官が発砲…その正当性は?4つの“拳銃ルール”もとに解説 テーザー銃など「殺傷しないが威力ある武器」の導入提言も【元千葉県警幹部の見解】
MBS

元千葉県警警部補・森雅人氏によると、警察官の“拳銃ルール”は次の4段階で決められているということです。

(1)取り出し:拳銃を使用する事態が予想される
(2)構え:犯人の逃走防止・自身や市民の防護のため必要
(3)威嚇射撃:拳銃を構えても相手が行為をやめない
(4)相手を撃つ:正当防衛や逮捕・制圧のため他に手段がない

大阪府警によると「警察官の報告を聞いた限りは発砲の要件を満たしているが詳細については調査中」だということです。

拳銃の「取り出し」が可能な条件は?

「正当な判断だった」大阪で“刃物男”に警察官が発砲…その正当性は?4つの“拳銃ルール”もとに解説 テーザー銃など「殺傷しないが威力ある武器」の導入提言も【元千葉県警幹部の見解】
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第一段階の「取り出し」について、「拳銃を使用する事態が予想される」事態とは?

(元千葉県警警部補・森雅人氏)
「例えば刃物を持った犯人がいる現場に行く時です。あらかじめホルスターから拳銃を取り出して使用に備えるという行動を取れる。この『取り出し』という行為は拳銃の使用にはあたりません」

上空への「威嚇射撃」は適切だった?

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第三段階の「威嚇射撃」について、今回は上空に向けて発射されましたが、これは適切な判断だったのでしょうか?

(元千葉県警警部補・森雅人氏)
適切な威嚇射撃だと思います。室内で威嚇射撃をすると天井に当たり球がはねて他の人がケガをする恐れがありますが、今回の場合は路上です。上空の安全な方向に向かって撃っています」
「威嚇射撃の前には、『撃つぞ』と予告をするというルールになっています」

「警察官が殺害を目的に撃つことは絶対にありません」

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威嚇射撃を実施したにもかかわらず、男が刃物を持って向かってきたため再び発砲。弾は男の左胸に命中しました。発砲の判断については…?

(元千葉県警警部補・森雅人氏)
警察官が殺害を目的に撃つことは絶対にありません。左胸を狙って撃ったのではないと思います」
「日本の警察官で例えば10mぐらい離れた相手に対して、狙った場所にピンポイントで撃てる警察官はほとんどいません。拳銃訓練では人型の標的に向かって15mぐらいの距離から撃ちますが、『確実に当てる』という目的で撃っています。

特定の部位を狙うということはありません
「ただ、必要最小限度の武器使用が望まれるので、必要最小限度の部位が望ましいと教わっています」

「標的の先に一般人がいる状況では絶対に発砲しません」

「正当な判断だった」大阪で“刃物男”に警察官が発砲…その正当性は?4つの“拳銃ルール”もとに解説 テーザー銃など「殺傷しないが威力ある武器」の導入提言も【元千葉県警幹部の見解】
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発砲に際して、万が一外した時のことは考えるのでしょうか?

(元千葉県警警部補・森雅人氏)
「標的の先に一般人がいる状況では、警察官は絶対に発砲しません。標的の向こう側に誰もいないことを確認した上で発砲します」

今回の現場では、発砲という判断は適切だったのでしょうか?

(元千葉県警警部補・森雅人氏)
正当な判断だったと思います。映像を見ると、容疑者の向こう側に人がいる状況ではないので、射撃の余地がある場所であったことは間違いないと思います」

威嚇射撃~発砲まで“2秒”「特段問題になる時間ではない」

威嚇射撃から相手を撃つまでの時間は「2秒間」だったということですが、この時間については?

(元千葉県警警部補・森雅人氏)
「刃物を持って警察官に向かってきたところを射撃したと報道されています。おそらく威嚇射撃の直後、容疑者が刃物を向けて警察官に向かってきたので、あまり時間を空けずに容疑者に向かって撃っている」
「この2秒というのは、特段問題になる時間ではなく、早すぎるとか遅すぎるということはないと思います」

弁護士「ポイントは正当防衛か否か」 現場の判断を見るのが基本

「正当な判断だった」大阪で“刃物男”に警察官が発砲…その正当性は?4つの“拳銃ルール”もとに解説 テーザー銃など「殺傷しないが威力ある武器」の導入提言も【元千葉県警幹部の見解】
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今回の発砲について、弁護士の見解は?

(川﨑拓也弁護士)
「警察官職務執行法7条に武器使用が許される場面が規定されていて、『必要な限度』であるときに武器使用が認められています」
「ただし、相手に危害を加えることは例外を除いては許されない。その例外の1つが正当防衛です」
「したがって、ポイントは正当防衛だったかどうか。刃物を持って男が向かってきたという警察官の報告通りであれば、発砲の要件を満たしているので、そこを今調べていると思います」

緊迫した状況で発砲するか否かを判断するのは非常に難しいと思いますが…

(川﨑拓也弁護士)
「非常に難しい判断だと思います。後で裁判になったりする例もありますが、現場の警察官のリアルタイムの判断が客観的に見て正しいかどうかを見るのが基本です」

現場の判断を客観的に見ることは可能なのでしょうか?

(川﨑拓也弁護士)
「そこが日本では難しいところがあって、徐々にボディーカメラの装備が進んでいますが、今の段階では周りで見ていた人の証言がベースになります」

本格的に検討すべき「殺傷しないが威力のある武器」

今後、拳銃以外の武器の使用は考えられているのでしょうか?

(元千葉県警警部補・森雅人氏)
テーザー銃は本格的に検討すべきだと思います。警察官が持っている武器は警棒・拳銃のみです。警棒は攻撃力が弱く、拳銃は殺傷の恐れもあるので、その中間にあたるもの、相手を殺傷しないけれど、それなりに威力のある武器の携行を本格的に検討する必要があると思います」

警察官が装着するボディーカメラの導入は?

(元千葉県警警部補・森雅人氏)
ボディーカメラもどんどん導入が進んでいます。まもなく日本の警察官のほとんどがボディーカメラを持つようになります」
「導入された場合、警察官の職務執行が適正だったかどうか、適正であればそれを担保する証拠になりますし、不適正であれば再発防止に資する証拠になると思いますので、早急に導入すべきだと思います」

(2026年8月5日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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