◆第108回全国高校野球選手権大会第1日 ▽1回戦 仙台育英3-1札幌日大(5日・甲子園

 長年、野球担当記者をしていると、時の流れを感じることが多々ある。夏の甲子園で開幕戦を制した仙台育英。

ベンチで奮闘する星よつはマネジャー(3年)の姿を見ながら、私の記憶は西武担当だった13年前、2013年の西武ドームへとタイムスリップしていた。

 星マネジャーの父は、巨人、西武で捕手としてプレーし、現在は仙台六大学野球リーグ・東北学院大の監督を務める星孝典さんだ。土日の西武主催のデーゲームでは、選手の家族が観戦に訪れ、帰りは駐車場からパパの車に乗って一緒に帰ることが日常だった。

 当時4歳だったよつはさんは、担当記者の中でも人気だった。試合後、コンディショニングを終えた星捕手が姿を現すと、「パパ~ッ!」と駆け寄って、抱きついた。「よつははね、パパがだいすきなの!」。なんで?と聞くと「がんばっているから」。そんな星捕手のミットには四つ葉のクローバーが刺しゅうされていた。

 2016年秋。星捕手は戦力外を通告され、同時に2軍育成コーチへの転身を打診された。その時の様子を、こう明かしてくれた。

 「もっとやりたいという欲はありましたが、球団からはっきり『戦力外』と言っていただいた。

ある程度、引退への踏ん切りはつきました。指導者への転身は『戦力外』と言われて5秒後ぐらいの話なので、『えっ!?』って思いました。ありがたいですよね。たいした成績も残せなかったのに、また野球に携われるチャンスをいただいたんですから」

 プロ入り前から、将来の夢は指導者だった。帰宅すると、小2になっていたよつはさんに聞いた。

 「来年、選手じゃなくて、もしかしてコーチになるんだけど、どう思う?」

 よつはさんはしばし思いを巡らせた上で、こう答えた。

 「コーチになっても、それでもパパが頑張るなら、応援します」

 パパは引退後も指導者として頑張り続け、今では母校の指揮官を務める。いつも真面目に奮闘してきたパパの背中を見続けてきたことが、今の星マネジャーを形成していることは、想像に難くない。

 星さんは仙台育英、プロと、甲子園のグラウンドで白球を追った。開幕戦の前、三塁側アルプスから黒土の聖地を見つめる星さんは、感無量の思いで言った。

 「また違った立場で、こうやって甲子園っていう大きな大会を見ることができて、素直に嬉しいです」

 未来を切り拓くために、とても大切なことは「がんばること」。熱き思いは時を超え、継承されていく。

(編集委員・加藤 弘士)

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