2016年10月3日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
2008年にスウェーデンで創業したSpotifyが、日本上陸を果たした。Spotify(スポティフィ)は、ストリーミング音楽配信サービスの草分けであるが、日本国内ではすでにAWA、Apple Music、Google Play Music、LINE MUSICなどの同様のサービスがしのぎを削っており、図らずも”後発”となってしまったSpotifyに勝ち目があるかどうかはわからない。


ちなみに僕はApple Musicを使っている。Macユーザー、そしてiPhoneユーザーとして、流れでApple Musicのフリートライアルに登録し、そのまま流れで有料課金に応じている始末だ。ただ、電話としては使っていない旧iPhone(iPhone 5s)をオフィスに置き(つまりWi-Fi環境に置き)、それを使ってオフィス内に音楽を流しているので、十分に使っている方なのだと思う。

“外来の”ストリーミングサービスにおける弱点と言えるのは、恐らくは邦楽の充実度が国産ストリーミングサービスに劣る、ということだろうが、僕は邦楽をほとんど聴かないし、ましてオフィスのBGMとしての使い方としては日本語の歌詞は耳障りになるので、なんの問題がないことになる。
現代では、音楽の楽しみ方は多様化している。部屋の中で聴く、車の中で聴く、外を歩きながら聴く、といった能動的な楽しみ方があり、オフィスでのBGMのように受動的に聴く楽しみ方もある(逆に言えばコンテンツとしての力が落ちているといってもいい)。この中で共通しているのは、軸となっているのがスマートフォンであるということだ。音楽というコンテンツはデジタル化され、ソフトウェアの中に収まり、スマートフォンを経由してさまざまなデバイスへと共有される。

レコードやCDのようなパッケージを購入するという考え方は、まず物理的なパッケージからソフトウェアへと変化し、ダウンロードが主流になった。そして、今ではダウンロードからストリーミングへと変化し、上述のように群雄割拠で複数のサービスがしのぎを削る時代が訪れた。舞台はスマホ、モバイルである。

だから正直に今後の見込みを書けば、Apple、Google、Spotifyが最終的にはこの市場の三強として生き残り、そしてさらに最後はAppleかGoogleにSpotifyが買収されるというシナリオが僕には容易に浮かぶ。
結局のところ体力勝負で、さらに言えば世界市場でどれだけシェアを持てるかにかかっているからだ。

もちろんFacebookやSnapchatのように、モバイルを主戦場にしながら、AppleとGoogleの支配を免れている分野は存在するが、音楽は作り手自体がメジャーであり、コンテンツの提供者は大企業だ。Facebookなどのソーシャルサービスにおいてはコンテンツの提供者と受託者の数はほぼ同一だが、音楽は提供者の数が圧倒的に少ない。こうしたマーケットにおいては、プラットフォーム側がたいていの場合勝利する。つまりAppleとGoogleが最終的に独占する、と僕は考える。
[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。

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