Illustratorだけで、涼やかなクリームソーダのイラストを作る方法を紹介します。「グラデーション」で透明感を出し、ノイズでザラっとした質感を加えることで全体を引き締めた印象にしています。

*本連載はIllustratorで作る定番&最新グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。

■使用する機能「長方形ツール」「ペンツール」「選択ツール」「透明パネル」「楕円形ツール」「線幅ツール」「グラデーションツール」「ぼかし(ガウス)」「クリッピングマスク」「はさみツール」「粒状」「文字ツール」

目次

1.レイヤー分けをしてベースとなるパーツを描く

クリームソーダのベースとなるパーツを描いていく。まずは新規ドキュメントを[カラーモード:RGBカラー]で作成したら(図1)、長方形ツールでアートボード全体を覆う長方形を描いて、カラーパネルで[線]を[なし]、[塗り]を好みの色に変更する。ここでは前面に描くクリームソーダが見やすくなるよう、[塗り]をグレーに変更しておいた(図2)

【Illustrator】グラデーションを使ったクリームソーダの作り方
図1。ドキュメントは作品の仕上がりサイズに合わせて設定すればOK。今回はWebなどモニタ上で鑑賞する作品を想定して、[カラーモード:RGBカラー]に設定した(赤枠部分)
【Illustrator】グラデーションを使ったクリームソーダの作り方
図2続いて、レイヤーパネル下部にある[新規レイヤーを作成]ボタンを3回クリックして3枚のレイヤーを前面に追加したら、それぞれレイヤー名の部分をダブルクリックして分かりやすい名称に変更しておく。ここでは背面から「背景」、「アイス」、「さくらんぼ」、「グラス」とした(図3)

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図3。この時点のレイヤーの状態。赤枠部分の[新規レイヤーを作成]ボタンを3回クリックして、3枚のレイヤーを追加し、レイヤー名を分かりやすく変更しておいたそのうち「グラス」レイヤーをクリックして選択したら、ペンツールでグラスの形をしたオブジェクトを描いて[線]を[なし]、[塗り]をホワイトに変更(図4)。選択ツールでグラスをクリックして選択したあと、透明パネルで[不透明度:80%]に変更しておく(図5)(図6)。なお、今回のグラスのような左右対称のモチーフは片側半分だけ描いたあとで反転コピーしても効率的に描くことができる(https://www.mdn.co.jp/reference/Illustrator/125)。


【Illustrator】グラデーションを使ったクリームソーダの作り方
図4
【Illustrator】グラデーションを使ったクリームソーダの作り方
図5。透明パネルで[不透明度:80%]に設定する
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図6次にレイヤーパネルで「アイス」レイヤーを選択したあと、楕円形ツールでshiftキーを押しながらドラッグして正円を描き、[線]を[なし]、[塗り]を淡いグレー(ここでは[R:220、G:227、B:227])にする(図7)

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図7さらにレイヤーパネルで「さくらんぼ」レイヤーを選択し、ペンツールを選んで[線]をホワイトにしてゆるやかなカーブ状のパスを描いたあと(図8)、線幅ツールでパスの右端のアンカーポイントを上向きにドラッグして幅を太くする(図9)。その少し左側のパスの上を下向きにドラッグして少し細めたあと(図10)、パスの左端を上向きにドラッグして少し太らせる(図11)。あとは選択ツールでこのパスを選択したあと、線パネルで[線端:丸型線端]に変更すればさくらんぼのヘタが描ける(図12)(図13)

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図8
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図9。線幅ツールでパスの右端を上方向にドラッグすると、その部分の線幅を太くすることができる
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図10。線幅ツールで、線を細めたい部分を下向きにドラッグする
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図11。線幅ツールでパスの左端を上方向にドラッグして線幅を少し太くする
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図12。線パネルで[線端:丸型線端]に変更する(赤枠部分)
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図13。線の両端が丸みを帯びてさくらんぼのヘタが表現できた続いて、楕円形ツールでその前面にピンク(ここでは[R:255、G:38、B:168])の正円を描いてさくらんぼの実とする(図14)

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図14あとは選択ツールでパーツの位置を調整すれば、イラストのベースが完成(図15)


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図15

2.グラデーションで立体感を出す

パーツにグラデーションをかけて立体感を出していく。まずは選択ツールでグラスのオブジェクトを選択してコピーし、編集メニュー→“前面へペースト”を実行(図16)。グラスの底に向かってカーブしている部分、左右2カ所をペンツールでクリックしてアンカーポイントを追加したあと(図17)、そこから下のアンカーポイントは削除しておく(図18)

【Illustrator】グラデーションを使ったクリームソーダの作り方
図16
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図17。ペンツールでパスの上をクリックすると、アンカーポイントを追加できる。ここでは、赤丸で囲った2カ所にアンカーポイントを追加した
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図18。ペンツールでアンカーポイントをクリックすると、そのアンカーポイントを削除できる。ここでは、グラス下部のアンカーポイントを削除したダイレクト選択ツールで先ほど追加したアンカーポイントから出ているハンドルをドラッグして(ハンドルが表示されていない場合は、アンカーポイントをクリックすると表示される)、ボウル(ソーダ水を入れる部分)の形状を作る(図19)

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図19。アンカーポイントから出ている棒状のハンドルをドラッグすると、ボウルの底の形状を整えることができる。ここでは、ボウルの底に少しガラスの厚みが残るように形を整えた次に、グラデーションツールでボウル部分のオブジェクトをクリックしたら(図20)、グラデーションパネルで[種類:線形グラデーション]、[角度:-90°]に変更し、丸い点(カラー分岐点)の左側をホワイト、右側を淡いグリーン(ここでは[R:41、G:255、B:158])に設定する(図21)(図22)

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図20。グラデーションツールでボウル部分のオブジェクトをクリックしたところ
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図21。
グラデーションパネルで[種類:線形グラデーション]、[角度:-90°]に変更し、丸い点(カラー分岐点)をクリックしてカラーパネルで色を設定する。ここでは、左のカラー分岐点をホワイト、右を淡いグリーン(ここでは[R:41、G:255、B:158])に設定した
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図22ボウル部分のオブジェクトの中心に表示されている縦線(グラデーションガイド)上の丸い点(カラー分岐点)やひし形(中間点)にマウスポインターを近づけると指先の形になるので、その状態でカラー分岐点や中間点をドラッグするとグラデーションのかかり具合を調節できる(図23)(図24)

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図23。中心の縦線がグラデーションガイド。その上の丸い点がカラー分岐点で、ひし形が中間点。カラー分岐点や中間点にマウスポインターを近づけると指先の形に変化し、その状態でドラッグするとグラデーションのかかり具合を調節できる
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図24同様の手順でアイスクリームに淡いグレー(ここでは[R:220、G:227、B:227])とグリーン(ここでは[R:41、G:255、B:158])のグラデーションをかけたあと、グラデーションパネルで淡いグリーンの方のカラー分岐点を[不透明度:0%]に設定(図25)。これでアイスとソーダが溶け合っているイメージを表現できる(図26)

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図25。グラデーションパネルで淡いグリーンの方のカラー分岐点を[不透明度:0%]に設定する
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図26さくらんぼは、グラデーションツールでピンクとホワイトのグラデーションをかけたあと、グラデーションパネルで[種類:円形グラデーション]に設定(図27)(図28)。続いてグラデーションガイドの左端の黒い点(原点)をドラッグしてハイライトが左上にくるよう調整する(図29)

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図27。グラデーションパネルで[種類:円形グラデーション]に設定する
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図28
【Illustrator】グラデーションを使ったクリームソーダの作り方
図29。
グラデーションガイドの左端の黒い点(原点)を、さくらんぼの左上にドラッグしてハイライトの位置を調節する

3.パーツを部分的にぼかしてグラスの透明感を表現する

グラスの透明感を表現していく。まず、選択ツールでソーダ水の入ったボウル部分のオブジェクトを選択したら、効果メニュー→“ぼかし”→“ぼかし(ガウス)...”を選択する。続いて「ぼかし(ガウス)」ダイアログで[半径:70pixel]に設定して適用する(図30)(図31)

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図30。ここでは[半径:70pixel]に設定したが、オブジェクトのサイズや表現したいイメージによっても適切な数値は異なるのでプレビューを確認しながら調節してみてほしい
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図31選択ツールでグラスのオブジェクトを選択してコピーしたあと、編集メニュー→“前面へペースト”を実行する。ペーストされたオブジェクトが選択された状態のまま、オブジェクトメニュー→“重ね順”→“最前面へ”を適用したら、shiftキーを押しながら先ほどぼかしたボウル部分のオブジェクトをクリックして選択(図32)。さらにオブジェクトメニュー→“クリッピングマスク”→“作成”を実行する(図33)

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図32。ボウル部分と、最前面に配置したグラスのオブジェクトを両方とも選択する。ボウル部分は、グラスの外にはみ出しているぼかした部分をクリックすると選択しやすい
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図33次に、選択ツールでさくらんぼを選択してコピーしたら、レイヤーパネルで「グラス」レイヤーを選択し、編集メニュー→“同じ位置へペースト”を実行する(図34)。続いて、効果メニュー→“ぼかし”→“ぼかし(ガウス)...”を選択。その際、警告が表示される場合は[新規効果を適用]をクリックすればOK(図35)。「ぼかし(ガウス)」ダイアログが表示されるので、[半径:40pixel]に設定して適用する(図36)(図37)
さらに先ほどと同じ要領で、グラスをコピーして前面へペーストしたあと最前面に配置し、ぼかしたさくらんぼとグラスの両方を選択した状態でオブジェクトメニュー→“クリッピングマスク”→“作成”を実行する(図38)

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図34
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図35。[新規効果を適用]をクリックする
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図36。ここでは[半径:40pixel]に設定したが、オブジェクトのサイズや表現したいイメージによっても適切な数値は異なるのでプレビューを確認しながら調節してみてほしい
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図37
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図38ここでは、さらに選択ツールでぼかしていない方のさくらんぼを選択したあと、はさみツールでさくらんぼとグラスが交差する部分をクリックしてパスをカットし(図39)、deleteキーを数回押してグラスに隠れている部分を削除しておいた(図40)

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図39。はさみツールでさくらんぼとグラスが交差する部分をクリックしてパスをカットする
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図40

4.氷を描き加え全体にざらっとした質感をつける

アクセントとなるパーツや質感をつけてクリームソーダを仕上げていく。長方形ツールでshiftキーを押しながらドラッグして正方形を描き、[線]を[なし]、[塗り]をホワイトに設定(図41)。各コーナーにある蛇の目(○の中に●のマーク)のいずれかを内側にドラッグして角を丸くする(図42)

【Illustrator】グラデーションを使ったクリームソーダの作り方
図41
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図42。各コーナーにある蛇の目(○の中に●のマーク)を内側にドラッグすると角を丸くすることができる角丸四角形のバウンディングボックスの四隅にあるハンドルにマウスポインターを近づけると、カーブした両方向の矢印に変わるので、その状態でドラッグして角丸四角形を好みの角度に傾ける(図43)

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図43。オブジェクトの周囲に表示される線(バウンディングボックス)の四隅にある小さな四角(ハンドル)をドラッグするとオブジェクトの傾きを変えられるグラデーションツールでこの角丸四角形をクリックしたら、グラデーションパネルで[種類:線形グラデーション]、[角度:90°]に変更し、グラデーションガイドの下をクリックしてカラー分岐点を追加し、淡いグレー、グリーン、グレーのグラデーションに設定(図44)(図45)


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図44。グラデーションパネルで[種類:線形グラデーション]、[角度:90°]に変更し、グラデーションガイドの下をクリックしてカラー分岐点を追加し、淡いグレー(ここでは[R:220、G:227、B:227])、グリーン(ここでは[R:41、G:255、B:158])、グレー(ここでは[R:220、G:227、B:227])のグラデーションに設定する
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図45続いて効果メニュー→“ぼかし”→“ぼかし(ガウス)...”を[半径:6pixel]程度で適用して少しぼかす(図46)(図47)

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図46。ここでは[半径:6pixel]程度に設定したが、オブジェクトのサイズや表現したいイメージによっても適切な数値は異なるのでプレビューを確認しながら調節してみてほしい
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図47同様の手順で傾きの違う角丸四角形をいくつか作り、ソーダ水の中に浮かんでいるよう配置する(図48)。選択ツールでshiftキーを押しながら配置した氷をクリックしてすべて選択し、透明パネルで[描画モード:比較(明)]、[不透明度:90%]程度に変更する(図49)(図50)

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図48
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図49。透明パネルで[描画モード:比較(明)]、[不透明度:90%]程度に変更する
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図50さらにキラキラ模様を描いて(https://www.mdn.co.jp/reference/Illustrator/100)ハイライトの輝きを表現したあと(図51)、全体のバランスを見ながら各パーツの色味や不透明度などを微調整しておく(図52)

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図51
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図52最後に、選択ツールでそれぞれのパーツを選択し、効果メニュー→“効果ギャラリー...”を選んで、[テクスチャ]の[粒状]を、[密度:55]、[コントラスト:50]、[粒子の種類:標準]で適用してざらっとした質感を加えれば、クリームソーダができあがり(図53)(図54)

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図53。[テクスチャ]の[粒状]を、[密度:55]、[コントラスト:50]、[粒子の種類:標準]に設定する
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図54ここではさらに、背景を好みの色に変えたり、クリームソーダの背面に文字要素をレイアウトして完成とした(図55)

【Illustrator】グラデーションを使ったクリームソーダの作り方
図55。完成ビジュアル「ソーダ水を別の色で作ってみてもかわいいので、ぜひいろいろ試してみてください!」と櫻井さん。以上、Illustratorだけでクリームソーダのイラストを作る方法でした。

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