2023年10月18日(水)から10月30日(月)まで、AFRODE CLINICにて、デザインファブリケーションスタジオとして活動する“積彩”の個展「気色」が開催されている。株式会社音美衣杜のバイリンガル美術情報誌「ONBEAT」がキュレーションを担当した展覧会。
デザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2023」の展覧会企画の1つとしても参加している。

“積彩”は、3Dプリントなどのデジタル造形手法の開発によって、新たな色彩表現を探求している。具体的な手法は「Coloring as a code(デジタルコードによって着彩する)」というもの。デジタルデータで立体着彩を施す技術を培ってきた。

3Dプリントならではの造形や色彩表現にこだわるうちに「見る角度によって色が変化する」という視覚効果も実現。代表的な例としては、立体の表面に繊細なプリーツ状の凹凸を配置することで色の変化が表現されている。
その印刷技法は「Pleat」と名付けられた。凹凸の両面にそれぞれ異なる配色を施すことで、色が変化するように見える。

3Dプリントによって見る角度で色が変わる表現を探求している“積彩”の個展「気色」
3Dプリントによって見る角度で色が変わる表現を探求している“積彩”の個展「気色」
3Dプリントによって見る角度で色が変わる表現を探求している“積彩”の個展「気色」
同スタジオの代表的な技法「Pleat」を用いた作品“積彩”の代表的な技法である「Pleat」のほかに、本展では新たに開発された2種類の3Dプリント技法による新作も初公開された。そのうちの1つは「Lenticular」で、デザインの分野でもこの「レンチキュラー」という言葉は見る角度によって絵柄が変化する特殊加工として広く知られている。“積彩”による技法では、3Dプリント独特の積層痕をレンチキュラーレンズに仕立て上げることで、ツヤ感のある色の変化が生み出されている。

3Dプリントによって見る角度で色が変わる表現を探求している“積彩”の個展「気色」
新開発の技法「Lenticular」による作品
3Dプリントによって見る角度で色が変わる表現を探求している“積彩”の個展「気色」
 もう1つの新開発の技法は「Transparent」。
“透明”と訳される言葉で、こちらもデザインの分野でもお馴染みの単語だ。この技法では、半透明の異なる3色を混ぜ合わせながら3Dプリントを実施。それぞれの色をバックライトで透過させることで、発光色の変化を作り出している。

3Dプリントによって見る角度で色が変わる表現を探求している“積彩”の個展「気色」
新開発の技法「Transparent」による作品
3Dプリントによって見る角度で色が変わる表現を探求している“積彩”の個展「気色」
 このように“積彩”では、最先端のテクノロジーを用いた表現で、新しい“モノづくり”の在り方を思索してきた。「この時代にふさわしい新たな“モノがたり”を紡いでいくこと」を目指している。

今回の展覧会での作品でも、デジタルデータとマテリアルの相乗効果で、“形状と色彩が融け合うような不思議な視覚現象”が実現された。
来場者は、実物を見ているにも関わらず、まるでCGを見ているかのような新しい視覚体験を楽しむことができる。

■期間:
2023年10月18日(水)~10月30日(月)

■開催場所:
AFRODE CLINIC
東京都渋谷区神宮前3-5-7 BASE神宮前 B1F

■問い合わせ先:
株式会社音美衣杜
url. https://studio.onbeat.co.jp/

3Dプリントによって見る角度で色が変わる表現を探求している“積彩”の個展「気色」