Illustrator初心者におすすめ。長方形ツール、グリッドに分割、文字ツールなどの機能を使って、おしゃれなカレンダーを作ります。
デザイナーのdakさんが手がけたのは、くすみピンクを使った大人かわいい配色のカレンダー。文字や数字の配列が大変そうに感じますが、実は思っているより難しくありません。フォントを変更したり、背景をお気に入りの写真にしたり、アレンジも簡単に楽しめます。
*本連載はIllustratorで作る定番&最新グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。

■使用する機能「長方形ツール」「グリッドに分割」「スレッドテキストオプション」「文字ツール」「選択ツール」「文字パネル」「段落パネル」「整列パネル」「線パネル」「シアーツール」「直線ツール」「ダイレクト選択ツール」

目次

1.カレンダーの日付や曜日を用意する

まずはカレンダーの日付や曜日を、テキスト編集アプリやExcelを使って用意していく。今回は曜日を「Sunday」=「S」のように英語の頭文字で表現することにした。

■テキスト編集アプリの場合
1文字ずつ改行しながら「S」、「M」、「T」、「W」、「T」、「F」、「S」と入力。続けて数字をひとつずつ改行しながら「1」から「31」まで入力していく(図1)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図1。曜日と日付をテキストで用意しておく■Excelの場合
まず上のセルから「S」、「M」、「T」、「W」、「T」、「F」、「S」、「1」、「2」と入力したあと、「1」と「2」のセルをドラッグして両方とも選択し(図2)、範囲選択したセルの右下に表示されている小さな■にマウスポインターを合わせて(図3)、黒い十字になった状態で下方向にドラッグすれば連続した数字を簡単に入力できる(図4)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図2。数字の「1」と「2」のセルをドラッグして両方とも選択する
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図3。範囲選択したセルの右下に表示されている小さな■をドラッグすると連続した数字を自動的に入力できる
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図4■Numbersの場合
Macに標準搭載されている表計算アプリのNumbersでは、範囲選択したセルの下辺中央に黄色いドットが表示されるので(図5)、それを下方向にドラッグすれば連続した数字が自動的に入力される(図6)


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図5。マウスポインターを近づけると範囲選択したセルの下辺中央に黄色いドットが表示される
推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図6。黄色いドットを下方向にドラッグすると連続した数字を簡単に入力できる曜日と日付の数字を入力したら、名前をつけてファイルを保存しておく。

2.Illustratorでグリッドを作成してテキストを流し込む

カレンダーのベースを作っていく。Illustratorで新規ドキュメントを[カラーモード:RGBカラー]で作成したら、長方形ツールでアートボードの下半分に任意のサイズの長方形を描画する(図7)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図7。長方形ツールでアートボードの下半分に長方形を描画する。この長方形がカレンダーの曜日や日付が入るスペースになるので、仕上がりをイメージしながら好みのサイズの長方形を描けばOK次に、この長方形が選択された状態のまま、オブジェクトメニュー→“パス”→“グリッドに分割...”を選択。ダイアログが表示されるので[行]と[列]をそれぞれ[段数:7]、[間隔:0px]に設定して適用する(図8)(図9)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図8。[行]と[列]をそれぞれ[段数:7]、[間隔:0px]に設定する。[プレビュー]にチェックを入れておくと設定値がアートボード上の長方形の見た目にすぐ反映して分かりやすい
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図9このグリッドが選択された状態のまま、書式メニュー→“スレッドテキストオプション”→“作成”を実行(図10)。先ほどテキストで用意した曜日と日付を選択してコピーしたあと、Illustratorに戻って文字ツールを選び、グリッドのいちばん左上のマス目のパス上をクリックしてから(図11)、ペーストする(図12)


推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図10
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図11。文字ツールでグリッドのいちばん左上のマス目のパス上をクリックする
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図12。グリッドの列に揃うようにテキストが流し込まれる続いて選択ツールを選ぶとグリッド全体が選択された状態に戻るので(図13)、文字パネルで[フォントサイズ]や[行送り]を調整してひとつのマスに1文字収まるようにする(図14)(図15)

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図13。グリッド全体が選択された状態になる。選択が解除されてしまった場合などは、選択ツールでグリッドを囲むようにドラッグして選択し直しておく
推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図14。文字パネルで[フォントサイズ]や[行送り]を調整してひとつのマスに1文字収まるようにする。ここでは[フォントサイズ:60pt]、[行送り:30mm]としたが、カレンダーの仕上がりサイズやグリッドのサイズなどによっても最適な数値は異なるので、画面を確認しながら調整してみてほしい
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図15さらに段落パネルで[中央揃え]をクリックして各文字をマス目の中央に揃えておく(図16)(図17)

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図16。段落パネルで[中央揃え]をクリックする
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図17この状態で、文字ツールを選び数字の「1」の左側をクリックしてカーソルを立てて(図18)enterキーを押すと、日付を1マスずつずらすことができる(図19)。2024年1月の場合は月初めの曜日が月曜日なので、ここでは「1」が「M」の列に来るようにずらしておいた。

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図18。
文字ツールを選び数字の「1」の左側をクリックしてカーソルを立てる
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図19。数字の「1」の左側にカーソルを立てた状態でenterキーを押すと、日付を1マスずらすことができる日付の配置を調整できたら、選択ツールでグリッド全体を囲むようにドラッグして選択したあと、オブジェクトメニュー→“グループ”を実行してグループ化しておく(図20)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図20。グリッドを選択してグループ化しておく

3.カレンダーの配色を変えて外観を整える

カレンダーを仕上げていく。まず、長方形ツールでアートボードサイズの長方形を作成したら、[塗り]を好みの色(ここでは[R:219、G:157、B:150]のピンク)に変更する(図21)。続いてこの長方形が選択された状態のまま、オブジェクトメニュー→“重ね順”→“最背面へ”を実行し(図22)、整列パネルで[整列:アートボードに整列]を選択したあと、[オブジェクトの整列:水平方向中央に整列]と[オブジェクトの整列:垂直方向中央に整列]をクリックする(図23)(図24)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図21
推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図22
推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図23。整列パネルで[整列:アートボードに整列]を選択したあと、[オブジェクトの整列:水平方向中央に整列]と[オブジェクトの整列:垂直方向中央に整列]をクリックする
推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図24。長方形がアートボードからずれていた場合は、アートボードに合わせて水平・垂直中央に整列させることができるこの長方形が選択された状態のまま、線パネルで[線幅:30px]、[線の位置:線を内側に揃える]に設定(図25)(図26)。さらに、アピアランスパネルでshiftキーを押しながら[線]のカラーをクリックしてカラーパネルを表示し、好みの色(ここでは[R:195、G:113、B:103]の濃いピンク)に変更しておく(図27)

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図25。線パネルで[線幅:30px]、[線の位置:線を内側に揃える]に設定する
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図26
推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図27次に、文字ツールで「2024.January」、「1」、「Happy New Year」と入力し、それぞれ[フォントサイズ]を調整して配置する(図28)


推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図28続いて選択ツールで「Happy New Year」の文字をクリックして選択したら、シアーツールでテキストの右側を上方向にドラッグして傾きをつける(図29)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図29。シアーツールでテキストの右側を上方向にドラッグして傾きをつけるさらに各文字列やグリッドをそれぞれ選択して、テキストカラーを白に変更し(図30)、好みに合わせて文字パネルで[フォントファミリ]と[フォントスタイル]を設定しておく。ここでは「Happy New Year」以外の文字を[フォントファミリ:Times New Roman]、[フォントスタイル:Regular]に、「Happy New Year」のみ[フォントファミリ:Braisetto Bold]、[フォントスタイル:Bold]に設定した(図31)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図30
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図31。ここでは「Happy New Year」以外の文字をOSに標準搭載されている[フォントファミリ:Times New Roman]、[フォントスタイル:Regular]に、「Happy New Year」のみAdobe Fontsで提供されている[フォントファミリ:Braisetto Bold]、[フォントスタイル:Bold]に設定した最後に直線ツールでshiftキーを押しながら横方向にドラッグして、曜日の上に同じくらいの幅の直線を引いたら(図32)、[塗り]を[なし]、[線]を白に設定。線パネルで[線幅:2px]程度に変更しておく(図33)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図32
推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図33。[線幅:2px]程度の白い線を引いておくあとは、ダイレクト選択ツールでshiftキーを押しながら日曜日の列をすべてクリックして選択し(図34)、テキストカラーを薄めのピンク(ここでは[R:238、G:208、B:205])に変更(図35)、同様に土曜日の列を薄紫色(ここでは[R:188、G:217、B:232])に変更すれば完成(図36)

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図34。ダイレクト選択ツールでshiftキーを押しながら日曜日の列をすべてクリックして選択する
推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図35
推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図36。完成ビジュアル好みで背景の色を変えたり(図37)、長方形の代わりに写真を配置することで手軽にバリエーションを作成できる(図38)


推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
図37。背景の色を変更した例
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図38。背景に写真を配置した例。ここでは、無料で使えるストックフォトサービス「Unsplash+」で提供されている写真素材「ピンク色の空の下で木々に囲まれた水域」を使用した「 HappyNewYearの部分の文字を変えたり、背景を推しのカラーにしたり、さまざまなアレンジができます。よりおしゃれな雰囲気を出したい場合は、日付部分を小さくするのがおすすめ。視認性とのバランスを見ながら調整してみてください」とdakさん。以上、Illustratorでカレンダーを作る方法でした。

推しカラーなどのアレンジも。基礎的な知識も身に付く「カレンダー」の作り方
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