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デザインの作字と発想が似ている「創作漢字コンテスト」
「創作漢字コンテスト」は、各時代の日本の世相や生活などを表現した漢字1文字を創作して応募できる企画です。新たに生み出した漢字の形(デザイン)に加え、その漢字の読み方や意味、解説、例文などが総合的に審査されています。基本的に応募作品は、既存の漢字に変形を加えるなどの加工が行われたものが多いです。第14回では、最高賞である「白川創作漢字最優秀賞」に、94歳の森本喜代治さんが考案した「かんがえすぎ」という漢字が選ばれました。森本さんは、デイサービスの合間時間に創作漢字を楽しんでいるそうです。

「考」の6画目の終筆が4画目の「左はらい」を突き抜けているデザインまた、入賞作品のうち最年少の7歳の応募者が創作した漢字も必見です。「とびばこ」という文字で、そちらも工夫が凝らされた楽しいデザインに仕上げられています。

「箱」の「つくり」の部分で、人が跳び箱を跳ぶ様子が表現されている
文字の変形加工にはアウトライン化が必要
このような文字の加工は、デザインの表現でもインパクトのある大きな効果を発揮します。特にロゴやタイトルなど、大きなサイズで目立つ箇所での処理が有効です。各種のアプリで操作する場合、ゼロから描画したり図形を組み合わせたりして作字もできます。さらに手軽な方法は、ベースとなる文字のフォントを選び、「文字のアウトライン化」を行ってから調整する方法でしょう。


最高賞の作品「かんがえすぎ」の形を作ってみる
それでは実際に、「14回創作漢字コンテスト」の最高賞に選ばれた「かんがえすぎ」のような文字の形をAdobe Illustratorで作ってみましょう。まずはベースとなる「考」の文字を入力してフォントを決め、書式メニュー→ “アウトラインを作成” を実行します。



複数の文字の組み合わせで「とびばこ」の形を作る
次に、最年少受賞作の「とびばこ」の形をIllustratorで作る方法について考えていきます。まず「かんがえすぎ」の例と同じく、ベースとなる「箱」の文字をアウトライン化し、右側下方の「目」の部分を台形へと変形させて跳び箱のイメージに近付けます。



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2つの受賞作品の例をもとに作字の処理の基本を紹介しましたが、このほかにも「文字の一部を記号に置き換える」「文字の一部を消す」「文字をパーツごとに色分けする」など、作字にはさまざまなアイデアのネタがあります。「創作漢字コンテスト」は、デザインのインスピレーションが広がるきっかけにもなるので、特設Webサイトで公開されている受賞作品の一覧をチェックしてみるのもオススメです。
株式会社産業経済新聞社
URL:https://sousaku-kanji.com/
2024/01/10
