欧文フォント「Yo One」の書体見本帖の販売がスタート！ フォントワークスが制作した “本気” の1冊

先日「フォントワークス Yo One」の書体見本帖が完成し、販売が開始されました。「Yo One」は、フォントワークスのデザイナーが手掛けた初のオリジナル欧文書体です。同見本帖は、デザインや文書など、幅広く文字を扱う人にぜひ手に取ってもらいたい一冊です。複数のフォントを紙面上で見比べながら、作りたいクリエイティブにふさわしい書体を選定しやすいため、ここで簡単に紹介していきたいと思います。なお、見本帖の価格は2,500円（税込／送料込）で、フォントワークスBASEショップから購入できます。

【目次】

フォントワークス初のオリジナル欧文書体

「フォントワークス Yo One」は、同社のデザインディレクターのヨアヒム・ミュラー・ランセイ氏によって制作されました。“スーパーファミリー” を掲げ、156ものフォントを有しています。欧文書体のさまざまなバリエーションが複数の軸で体系化されたフォントシステムです。

156フォントを大きく分けると、まずセリフ体／サンセリフ体の2スタイルで構成されています。それぞれにリニア／セミ／コントラストという3種の “フレーバー” があり、ローマン体とイタリック体の2種アングルも用意されました。さらに13段階のウエイトがあり、2スタイル×3フレーバー×2アングル×13ウエイトで計156フォントです。

全ての骨格の基礎となったのは「ネオヒューマニスト書体」です。「ネオヒューマニスト書体」は「ヒューマニスト・サンセリフ」から派生しています。「ヒューマニスト・サンセリフ」は1950年代に急増した「ネオグロテスク・サンセリフ」に対して、自然なストロークで読みやすさを向上させた書体として台頭しました。「Yo One」にも温もりを感じさせる親しみやすさがあり、同時に現代的で汎用性も高いフォントです。

リリース記念で制作された書体見本帖

「Yo One」は、年間定額制フォントサービスの「フォントワークスLETS」や「学生向けフォントワークスLETS」の契約者であれば、追加料金を必要とせずに利用できます。リリースを記念して制作されたのが、今回の「Yo One 書体見本帖」です。

書体見本帖は、そのフォントの導入を検討している人にとって参考になることはもちろん、既にフォントを導入済みのユーザーにとっても大いに役立ちます。デザインの仕事で最適なフォントを決める際に、紙の上で複数の書体を見比べながら選べるからです。

また、今回の「Yo One 書体見本帖」では、書体の特徴についても深く掘り下げて説明されています。欧文書体を扱うときには和文書体とのマッチングを検討するような場面も多いですが、今回の書体見本帖にはフォントワークスの和文書体との混植提案も掲載されました。さらにリソグラフ印刷のビジュアルページも含まれているなど、B5判・本文42P＋ビジュアルページ8Pの充実の内容です。

内容はもちろんデザイン性にも注目の1冊

「リソグラフ」は、長らく「プリントゴッコ」で知られていた理想科学工業株式会社によるデジタル孔版印刷の技術・登録商標です。スクリーン状の版に小さな穴を開けてインクを紙へと押し出す孔版印刷の原理が元になっています。書体見本帖でこのような印刷方式が採用されているところに、「Yo One 書体見本帖」でのフォントワークスの “本気度” がうかがえます。

同社の書体見本帖はこれまでにも好評を博してきましたが、今回も単なる書体の羅列にとどまらず、表紙やビジュアルページにまでこだわって制作されました。フォント選びの際に役立つ実用的な資料としてはもちろん、デザインへの感度を高める意味でも手元に置いておきたくなるような仕上がりです。

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フォント選びも含めて「なんとなく」決められたデザインが濫立する中で、しっかりと「意味」のあるデザインを進めたい人にとっては、フォントの誕生した背景や開発者の意図を読み込むことはとても重要です。「Yo One 書体見本帖」は、ビジュアル的にも内容的にも非常に意義のある1冊と言えるでしょう。

フォントワークス株式会社
URL：https://fontworks.co.jp/

2024/03/08