【目次】
“安全性” がアピールされている「Adobe Firefly」
「Adobe Firefly」は提供スタートから1年を迎え、現在はWeb版のほか各種のAdobeアプリにも組み込まれはじめています。新たな「構成参照」の機能が発表された時点で、「Adobe Firefly」を用いて生成された画像は65億枚以上にものぼるそうです。
現在の画像生成AIは本当に「誰でも簡単に」使える?
「Adobe Firefly」は、例えばテキストを入力するだけで瞬時に画像を生成できたりと、AIならではの便利な機能を備えています。とはいえ、従来の「Adobe Firefly」は出力結果にばらつきも多く、イメージ通りの画像を生成したい場合にはプロンプト(AIへの指示)の試行錯誤が必要で、個人的には「偶発性の高いサービス」といった印象でした。つまり、「このような画像を生成したい」と考えても、かなり使いこなさないと望むような結果は得られず、「簡単」と言って良いのか難しいという感想です。そのような使い方よりも、何度も試してみて「偶然にできた何となく良さそうな画像」を採用するという、ある意味でAIに振り回されるワークフローのほうが多かったのではないでしょうか。
これは、コンピューターによるグラフィックデザインが登場したばかりの頃の状況、さらには「パソコンを使うこと」が批判されがちだった内容にも似ているように感じます。決してネガティブなとらえ方ばかりでなく、見方を変えれば新たな1つのスタイルであり、新たな “制作・創作” の定義とも考えられます。
一方で「Adobe Firefly」で利用できるようになった「構成参照」は、より正しく使用者のイメージをAIに伝え、望み通りの結果を得られやすくする機能です。「追加学習」のようなものと言い換えると分かりやすいでしょう。
偶然に頼らず狙い通りの構図の画像を生成
具体的には、既存の画像を参照テンプレートとして使うことで、同じレイアウトでの複数の画像バリエーションを生成できます。例として、部屋の写真やスケッチをアップロードして「生成」ボタンを押すと、基本的な構成は参照画像と一致させたまま、部屋を丸ごと再デザインできることが挙げられています。
「Adobe Firefly」には「構成参照」のほかに、「スタイル参照」の機能もあります。そちらは参照画像を取り込んでプロンプトに適用し、スタイル(視覚的な特徴)を似せる機能です。「構成参照」と「スタイル参照」を組み合わせることで、さらにイメージ通りの生成結果に近づきやすくなります。


「構成参照」を使うと、かなり強力に “同じ構図の画像” が生成されます。ざっくりとしたラフを用意して、生成AIで仕上げるといった使い方もこれまで以上に実現しやすそうです。
ただし、生成AIに関しては「自分の作品が勝手に学習に使われる」という心配がつきまとい、抵抗を持つクリエイターが多いことでしょう。参照テンプレートには「自前の画像」をアップロードして使えますが、それが本当に「自前」なのかは分からず、議論の余地がある機能とも言えそうです。
アドビ株式会社
URL:https://www.adobe.com/jp/creativecloud.html
2024/04/19
