株式会社モリサワが、フォントのサブスクサービス「Morisawa Fonts」にAIを活用した新機能を追加しました。画像から書体の名前を特定できる「画像でフォント検索」と、製品に関する疑問にAIが答える「Morisawa Fonts コンシェルジュ」があります。


【目次】

「画像でフォント検索」の使い方と検索のコツ

「画像でフォント検索」は、画像で使われているフォントを調べたいときに役立つ機能です。具体的なフォントの名前が分からなくても、該当するフォントや類似フォントに辿り着きやすくなります。

モリサワ、AI機能で画像から書体名を調べる「画像でフォント検索」などをリリース
具体的な使用方法は、調べたい画像をアップロードし、文字が含まれる範囲を指定して「トリミングを適用」を実行するだけです。判定結果では、その書体がどのくらい近いものであるかのマッチング精度を示すパーセント表示も確認できます。

モリサワ、AI機能で画像から書体名を調べる「画像でフォント検索」などをリリース
検索のコツとして「検索するフォントは1種類に範囲を絞ると精度が高まる」「検索する文字数が少ないほど結果は早く表示される」とも記載されています。本記事の執筆時点では、この「画像でフォント検索」はβ版として提供されており、今後のアップデートによって文字認識の精度が高められたり検索対象フォントが追加されたりする予定です。

他社のサービス・機能との併用もオススメ

同じようなAI機能は、既にフォントメーカーの他社からも提供されています。「Morisawa Fonts」のサービスでの大きな特徴は、JPEG画像とPNG画像に加えてWebP画像への対応も明記されていることです。

モリサワ、AI機能で画像から書体名を調べる「画像でフォント検索」などをリリース
また、同様の類似フォントを探す機能はAdobe Illustratorにも搭載されていますが、どの機能・サービスを利用するかには一長一短があります。複数のサービスを使って絞り込みの精度をさらに高めたり、「この画像に載っているのと似たモリサワのフォントを探して使いたい」といった場面で活用しやすかったりすることを考えると、新たにモリサワが「画像でフォント検索」の提供を始めたことには大きな意義があるでしょう。

実際にいくつかの画像で試しに使ってみたところ、精度はまだ完璧ではなく「フォントが見つかりませんでした」という結果になることも少なくありませんでした。あくまでも現在はβ版なので、今後のさらなる進化に期待したいところです。

書体選びにも強い味方となるコンシェルジュ機能

同じく「Morisawa Fonts コンシェルジュ」も、β版として機能の提供が開始されました。AIが「Morisawa Fonts」に関するさまざまなユーザーの疑問に答えてくれます。
書体に関する情報はもちろん、ライセンス情報や組版についてなども解説してもらうことが可能です。こちらも「コンシェルジュは勉強中のため、誤った回答や不適切な提案を行う場合がございます」という念のための注意書きは記載されています。

モリサワ、AI機能で画像から書体名を調べる「画像でフォント検索」などをリリース
実際に試用してみたところ、こちらの機能は個人的に「かなりすごい!」という印象を受けました。たとえば「ゴシックMB101の特徴は?」などと質問すると、書体の設計の特徴からどのような用途に適しているかまで丁寧に解説してくれます。

わざといじわるな「リュウミンは可愛いフォントですか?」といった質問をしてみても、しっかりと「リュウミンは一般的に『可愛い』フォントとは呼ばれません」といった “忖度” のない回答が返ってきます。さらに、リュウミンは可愛いというよりは伝統的でフォーマルなイメージの書体であることも追加で解説されます。フォント選びの際にかなり便利な機能で、まさに「コンシェルジュ」という印象を受けました。

モリサワ、AI機能で画像から書体名を調べる「画像でフォント検索」などをリリース
モリサワ、AI機能で画像から書体名を調べる「画像でフォント検索」などをリリース
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今回リリースされた2つの機能は「Morisawa Fonts」のサービスですが、モリサワ製品の契約ユーザーでなくても自由に利用できます。既に仕事などでモリサワのフォントを使っているデザイナーはもちろん、同社のフォントの今後の導入を検討しているユーザーにも役立ちそうな機能です。

株式会社モリサワ
URL:https://morisawafonts.com/

2025/01/20

モリサワ、AI機能で画像から書体名を調べる「画像でフォント検索」などをリリース
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