◆Mrs. GREEN APPLE「BABEL no TOH」
本ツアーは、10月25日に愛知県バンテリンドーム ナゴヤを皮切りにスタート。
◆ミセス、荘厳なオープニングで開幕
2019年の「EDEN no SONO」から始まったストーリーラインの集大成にして、2022年から4年にわたって展開してきたフェーズ2のクライマックス、そしてデビュー10周年のアニバーサリーイヤーの締めくくり…さまざまな意味合いと想いを乗せたMrs. GREEN APPLE初のドームツアー「Mrs. GREEN APPLE DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”」。巨大なステージセットで造られたバビロンの街を舞台に、100人を超えるキャストとともに繰り広げられたのは、ミセスというバンドがこれまで紡いできた音楽をひとつに繋ぎ、彼らが音楽を届け続ける理由を人々に伝える、人間の弱さと強さ、そして意思と愛の物語だった。
荘厳なオープニングに続いてマーチングドラムが高らかに鳴り響き、ステージ中央から大森元貴(Vo/Gt)、若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Key)が登場する。両手を耳に当てて歓声を浴びた大森が華々しいサウンドとともに歌い出したのは「Love me, Love you」。バビロンの住人を演じる多数のキャストが行き交う街の風景のなか、大森の伸びやかな歌声と東京ドームを埋め尽くしたJAM’S(ファン)の声が交差し、「BABEL no TOH」はお祭りのような賑やかなムードとともに幕を開けた。続く「CHEERS」でライトスティックがカラフルに瞬くなか5万人と〈乾杯〉すると、「もっと声を聞かせてくれるかい、バビロン?」という大森の言葉にオーディエンスが全力で応えた「アンラブレス」では若井のギターも藤澤のキーボードもファンキーに跳ね回り、大森も手振りを交えながらリズムに乗って歌を響かせる。「Feeling」ではアリーナに色とりどりのバルーンが投げ込まれ、東京ドームはますます晴れやかな雰囲気に。キャストたちもアリーナに繰り出して、オーディエンスと一緒に盛り上がっていく。会場が本当にひとつの街になったかのような一体感だ。
そんなワクワクに満ちた序盤から、ストーリーは少しずつ進み始めた。
「お帰りなさい、バビロン!Mrs. GREEN APPLEです!」。ここまで6曲を終えて改めて声を張り上げて挨拶をする大森。「我々も全身全霊で楽しみに来たので、みんなも全力で楽しんでいってほしいなと思います」と大森がさらなる盛り上がりを求めると、若井も藤澤も精一杯の大声でオーディエンスとコミュニケーションを取り、そのたびに会場中から大歓声が沸き起こる。そして「みんな、今まででいちばんの声聞かせてくれよな!」という若井の曲振りから「WanteD! WanteD!」でライブは再開。肩の力が抜けたMCで3人だけでなくJAM’Sの緊張もほぐれたのか、さらに大音量のシンガロングが広がった。
その後「ライラック」で瑞々しい青春の風景を描き出すと、ここでライブの雰囲気は一変する。
◆ミセス、フェーズ2振り返る
ここから一気に物語は加速。暗闇に包まれたステージで光るリボンやバトンによる不穏なパフォーマンスが展開し、足音とともに怪しげなマスクをつけた人々が現れる。そしてノイジーな音とともに大森の叫びが響き渡った。塔の上で王のような赤いマントを身につけた彼が歌うのは「絶世生物」。レーザーライトが迸り、重厚なサウンドが地響きのように東京ドームを揺らす。人の上に立った人が力を誇示するようなその存在感が、先ほどまでののどかな世界を一変させてしまう。そして雷鳴が轟き、気がつくと塔が客席のほうに大きく迫り出していた。
そんな荒れ果てた世界を癒すように、藤澤の弾く美しいピアノの音色が聞こえてくる。大森の表情も先ほどまでとは打って変わって感情豊かに。「ダーリン」の混沌の果てに残った愛を希求するような切実な歌声とストリングスの響き、そして会場の大合唱がストーリーの続きを描き始めるのだ。塔の壁は苔むし、長い年月が過ぎたことを物語っている。ここからライブは再び輝きを取り戻し、美しいフィナーレに向かって駆け上がっていく。そこで鳴り響いた音楽たちは、分断と孤独と混沌を耐えて生き抜いてきたひとりひとりへの祝福のようだった。その幕開けとなったのはパーカッションのリズムから始まった「コロンブス」。スクリーンには活気を取り戻したバビロンの街の景色が描かれ、開放的なサウンドが鳴り渡る。
藤澤は「フェーズ2、たくさんのみんなに出会えて、皆さんに楽曲を聴いていただいて、本当に幸せでした。フェーズ3はもっともっとミセスのこと、メンバーそれぞれのことをより深く知ってもらって、こんなところがさらに好きだなってポイントを増やしてもらえたら」、若井は「みなさんがいるから僕たちはこうしていろいろな活動ができてるし、届ける場所があるから、表現を通して次はどんな楽しいことをしようかなってワクワクできる。いつもありがとうございます!」と感謝を伝えた。
そんな2人の言葉のあと、「きっと、塔は建てられなかったんだろうね」と、大森はここまで進んできた物語を振り返って語り始めた。「でも、大事にしていたものが壊れたり、期待をしていたことが無駄になったり、生活はそんなことの繰り返しなんだろうなと思います。僕も自分のことを惨めだな、情けないなって思うこともあるんです。人というのはネガティブな生き物だと思っています。なので、どうせなら楽しいことをしたいと思って曲を書いています」。
そして「みなさんへの感謝の返し方はたくさん露出することではなく、ちゃんと我々がいいと思えるものを真摯に作って、1曲1曲届けることだと思っています。フェーズ3もよろしくお願いします!」と変わらない意思を掲げると、ライブはラストスパート。「あなたの情けないところも、弱いところも、いったん俺が愛してやる!」―大森のそんな力強い言葉とともに「ANTENNA」が鳴り響いた。「どこまでも行こうぜ!」と始まった「GOOD DAY」ではJAM’Sの大合唱が鳴り響き、メンバー3人も心底楽しそうな笑顔を浮かべる。そして塔が舞台の奥へと戻っていくなか、「Magic」へ。この曲が何度も生み出してきた最高の景色が今回もまた更新され、東京ドームは完全にひとつとなった。
そして「BABEL no TOH」もいよいよフィナーレ。藤澤の奏でるピアノの穏やかな音色とともに、大森は「天国」を歌い始めた。
だが、もちろん、これは終わりではなく始まりだ。スクリーンには「TO BE CONTINUED」の文字とともに、「ELYSIUM(エリュシオン)」という言葉が映し出された。ギリシャ神話における、神々に愛された者たちの楽園の名だ。「エデン」から始まった物語がたどり着いた新たな楽園とはどんな場所なのか。やがて示されるであろうその「続き」を心待ちにしながら、フェーズ3の開幕を心待ちにしていたい。
なお、終演後にYouTubeオフィシャルチャンネルで「BABEL no TOH Ending Movie ~ To ELYSIUM ~」が、また、公演のセットリストが公式プレイリスト「DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”」としてApple Music、Spotify、LINE MUSICで配信された。(modelpress編集部)
◆セットリスト
1. Love me, Love you
2. CHEERS
3. アンラブレス
4. Feeling
5. パブリック
6. おもちゃの兵隊
7. WanteD! WanteD!
8. ライラック
9. Soranji
10. フロリジナル
11. ゼンマイ
12. 君を知らない
13. Soup
14. 絶世⽣物
15. Ke-Mo Sah-Bee
16. ア・プリオリ
17. Loneliness
18. ダーリン
19. コロンブス
20. ANTENNA
21. GOOD DAY
22. Magic
23. 天国
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