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第1便(2月12日)=64,350バイエル 接種386,100回
第2便(2月21日)=75,000バイエル 接種450,000回
合計で836,100回、418,050人分。これは1バイエル(以下は瓶と表記)あたり6回接種を前提とした数とだそうです。
その増産について日経新聞は、『(ニプロの)タイにある工場の月間生産量は約50万本。9月ごろには1か月で数百万本の供給を目指して生産体制の増強に向けた検討を進める。』 (要約)と書いています。9月までニプロ社からは雀の涙ほどしか手に入らないということです。
一方で2月18日の化学工業日報という業界紙に 『テルモ、6回接種注射器、開発着手 』という記事がありました。
『FNシリンジは薬液がほとんど残らない構造。1瓶から6回分取れることが期待されるが皮下注射用で筋肉注射を想定していない。針を長くし筋肉注射に使えるように対応する。
日本の代表的な注射器メーカー2社のうち、ニプロは月産数百万本の増産準備に入ったが出荷は9月以降。テルモはこれから改良型を開発するという話。1瓶から6回接種できる注射器は世界中で奪い合いとなっているそうで、大量輸入は期待できず、テルモの改良型の完成時期と生産量が分からない現状では、しばらくの間入手できるのはニプロの月産50万本だけとなるようです。6回採り注射器の調達について河野大臣は、
「何とかしたいと思っているが今のところ意気込みだけだ」
とコメントは絶望的です。
すでに始まっている4万人への先行接種はテストランで、ほどなく医療従事者470万人への接種が始まります。おそらく使われる1瓶6回採りの注射器はニプロの月産分50万本で、1人に2回接種ですから25万人分です。470万人から25万人を引いた残りの445万人は1瓶5回採りの注射器を使うことになります。
1瓶6回採りの注射器なら445万人に接種できる量でも5回採りの注射器では370万人にしか接種できない計算です。注射器の違いにより差し引きなんと75万人分、ワクチン輸送機3機分以上が丸々消えてなくなるのです。これは医療従事者470万人の話で、当初4月初頭から始まるとされていた(河野大臣は4月中に開始と1ヶ月遅れる発言をし始めている)高齢者3600万人への接種ではワクチン輸送機何十機分が無駄になるのか・・・怖ろしいような話です。
政府は昨年7月にファイザー社との間で基本合意を交わし、
「2021年6月中までに6000万人分のワクチンの供給を受ける」
と公表しました。これを受けて政府は1瓶5回の一般的注射器を大量に発注しています。
[参考]「与太郎総理」と「尾身のご隠居」 笑えないコロナ対策滑稽噺
特殊な注射器なら1瓶から6回分採れるとファイザー社が発表したのが12月だったという報道もあります。ならば厚労省は12月には知っていたことになります。その12月、韓国は自国注射器メーカーに大増産を依頼しています。
日本の厚労省はどうでしょうか。日本で唯一特殊な注射器を生産するニプロ社にアプローチしたのは1月の末。在庫分10数万本の入手が2月初旬。増産の依頼はさらにその後です。
ごく一般的な常識では電波行政を所掌する総務省の最高幹部が東北新社からの接待を受けるはずがありません。そのメリットはゼロ、リスクは巨大です。優秀な彼らが、タメ口で話す馴染みの菅正剛氏や木田社長が子会社の役員だと知らなかったという脇の甘い話もありえません。総務省最高幹部たちは安倍・菅政権の振る舞いに慣れ、堕し、緩んだとしか考えようがありません。
内閣が平気で虚言をくり返し、事実を隠し、無理を通せば、官僚もこれに倣います。公文書を改竄し、統計数字をねじ曲げ、保存すべきデータを廃棄しました。そんな忖度が高く評価され人事に反映されるなら真面目に仕事するのはバカげています。
必要な注射器を調達できないことで、ここひと月で輸送機3機分のワクチンが捨てられます。貴重な税金で購入した7200万人分のファイザー社製ワクチンですが、いったい輸送機何十機分を無駄に捨てることになるのでしょうか・・・。
これはほんの小さな一例です。日本は壊れつつあります。今すぐにでも声を上げて政治家と官僚の劣化を止めなければ、とんでもないツケを支払わされることになりますよ。