目次
  • 介護人材の構造はお風呂と同じ?
  • 実は浴槽のサイズが変化している
  • 介護保険を「育てる」という視点が大切

すでに多くの方がご存知のように、介護業界は長らく人材不足に悩まされています。

国や自治体では、介護人材不足を解消するために、介護職員の賃上げやICTの活用、労働環境の改善、業界のイメージアップを図る広報活動など、さまざまな対策を打ち出しています。

それでもなお、人材不足が解消されることはありません。このままの状態が続けば、介護を必要としている方に介護サービスが届かず、介護難民が増えてしまうかもしれません。

そこで、今回は介護業界の人材不足と対策について考えていきます。

介護人材の構造はお風呂と同じ?

介護人材の不足を整理するために、お風呂のお湯と浴槽に例えてみましょう。

浴槽が業界で、お湯が介護人材です。介護業界の人材が充足していれば、浴槽に目一杯のお湯が溜まっている状態です。

逆に、介護業界の人材が不足していれば、浴槽にはお湯が溜まっていない状態です。

日本の介護業界の現状を浴槽に例えると、お湯の量が不足しています。

当然ながら蛇口から出るお湯より、排水口に流れ出るお湯が多ければ、いつまで経っても浴槽のお湯が満ちることはありません。

現状の介護業界は、まさにそのような状態です。

新たに介護業界での就労を目指す人を掘り起こし、介護業界で働いている人をしっかりと定着させることができれば、計算上は介護人材が充足すると考えられます。

実は浴槽のサイズが変化している

しかし、そう単純に介護人材の確保はうまくいきません。

介護サービスの需要は年々高まっており、2042年までは高齢者の数が増加し続けるという試算もあります。

つまり「浴槽のサイズ」が大きくなっているのです。

いくら蛇口から出るお湯の量が多くなったとしても、浴槽の大きさがそれを上回る勢いで大きくなれば、お湯が満ちることはありません。

介護サービスの必要量をコントロールするためにも、業務の優先度を明確にしたり、仕事にメリハリをつけたりすることは非常に大切です。

政府の提言のたびに、関係者からの反対意見が出る「生産性向上」や「人員基準の緩和」は、介護サービスの必要量をコントロール(減らす)するための施策なのです。

慢性的な人材不足に苦しむ介護業界。事業者と利用者で業界を育て...の画像はこちら >>

介護保険を「育てる」という視点が大切

これまでに政府が進めてきた施策を分類してみると、次のようになります。

  • 介護人材を増やす施策(例.介護人材の教育費免除・イメージアップ戦略)
  • 介護サービスの必要量を減らす施策(例.ロボットやICTの活用・人員基準の緩和などによる生産性向上)
  • 介護人材を定着させる施策(例.賃上げ・介護職への支援・各種補助金)

これらの施策に対する反対意見は多くありますが、個人的には進む方向性は間違っていないと思います。今後はより大きな変化が必要になる可能性もあります。

特に介護サービスの必要量を減らすための、「人員基準の緩和」や「ICTなどの活用」による生産性向上の施策は既定路線だと考えられます。

介護事業者は、これまでの業界の常識に縛られすぎることなく、大きな変化に対応できる準備をしておく必要があるでしょう。

個別の介護事業者としてできること
  • 新たに事業所で就労する人(関係者)を増やす
  • 業務量が増えすぎないよう生産性を上げる
  • 今働いている職員が定着する環境をつくる

介護事業者は以上のことを目指して、多面的な取り組みが求められています。

こうした取り組みは、介護難民を出さないための対策でもあります。

一方で、利用者側も、必要以上のサービスを求めてはいけません。今後は「介護保険でのサービス」と「いわゆる自費サービス(保険外サービス)」との使い分けなども積極的に考えていくべきでしょう。

介護事業者も介護保険を利用される方たちも、両者で介護保険を育てる視点も必要な段階に来ているのではないでしょうか。

慢性的な人材不足に苦しむ介護業界。事業者と利用者で業界を育てる視点が大切
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