身内が突然病に倒れたとき、周りの家族は「あいまいな情報に翻弄される」ことがよくあります。

例えば「地域包括センターは何にもしてくれないんだから、相談しても無駄よ!」という友人の助言が、10年以上前の体験だったというようなケースはよくあります。

情報を得たとき、「それを誰が言ったのか」が重要です。しかし、医療者からの助言であると「そうに違いない」と信じてしまいがちです。

【事例】会社員Cさん 40代女性

都内在住の会社員Cさんのケースです。ある日、近距離の実家で一人暮らしをしている70代の母親が脳梗塞で入院しました。容態は落ち着いたものの、寝返りも打てない状態で、リハビリ病院へ転院する予定です。

見舞いに行ったCさんは、看護師から「リハビリ病院もいいけど、その後どうするの?都内で施設を見つけるのは大変だから、早く他府県の特養を探したほうがいいですよ。皆さんそうしていますよ」と言われて驚きました。

Cさんも仕事があり、母親を在宅で介護するのは困難です。最終的には施設入居を考えていましたが、いきなり遠方の施設から探せというアドバイスを受けて戸惑ってしまいました。

アドバイスは「個人的意見」の場合もある

家族が突然倒れ、命が助かったとほっとしたのもつかの間、転院先や入居先を決めるよう言われて困惑した方も多いでしょう。

実際、病院にはそれぞれ役割があります。倒れた直後に入院する急性期病院は手術や治療が目的なので、いずれはリハビリや長期療養を目的とした病院や施設へ移らなければなりません。

院内にリハビリ病棟がある大病院では転棟できる場合もありますが、稀なケースです。

しかし、Cさんの場合は少し状況が違います。

この助言をしたのが看護師だったことです。

転院について助言するのは、主治医、あるいはメディカルソーシャルワーカー(MSW:病院にいる相談員)です。医師の指示の下で今後の転院先について看護師から伝えられることもありますが、私は、今回のケースにはやや違和感を覚えました。

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そこで私は「念のため『看護師さんから他府県の施設を探すように助言され、みんなそうしているとも言われたのですが、実際のところどうですか?』と主治医、あるいはMSWさんに確認してみてください」とアドバイスしました。

CさんがMSWに話を聞いたところ「確かに都内で施設を探すのは難しい状況ですが、いきなり他府県から当たる必要はないかと思いますよ。誰もが遠方の施設に入居しているわけではありません。早くから施設情報を得るのは良いことですから、お住まいの地域包括支援センターにまず相談して、情報を集めてみてください」と言われたそうです。

看護師は、良かれと思ってCさんにアドバイスしてくれたのでしょうが、一般的な情報というよりは、偏った個人的意見でもあったのです。

知識が豊富な専門職に確認しよう

専門家の意見であっても、助言の良し悪しを見極めるのは難しいものです。「これしかない、他に方法はない」と、選択肢が一つしかないように決めつける情報は要注意です。

逆に「相談することで新しい情報が得られる、他にも手段が見つかる可能性がある」という、選択肢を広げる助言は有用であることが多いです。

新しい情報を得たときは、より詳しい人は誰かということに意識を広げ、その情報の真偽を専門職に確認してみてください。

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アドバイスを見極めるために専門職への確認が大切

みなさんが家族間で抱えている悩み、介護で経験されていること、対策をとられていることをぜひ教えてください。お困りのことやご相談には、こちらの「介護の教科書」の記事でお答えできればと考えています。

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