【科目】介護✕レク 【テーマ】音楽クイズの効果と用法
【目次】 楽しく遊びながら楽曲にまつわる知識を学ぶ 楽曲のエピソードや背景からもコミュニケーションを深める音楽療法 実際のクイズを楽しんでみよう高齢の方でも簡単に演奏ができ、音楽のチカラを引き出す楽器をお届けする、音楽療法用楽器メーカー「ソニフル」の代表“いまたつ”こと、今井竜彦です。
「コロナ禍でも!音楽をもっと楽しむ!!」をテーマに、音楽が持つ「チカラ」のご紹介を通して、介護の現場にステキな時間をお届けしています。
今回は、音楽療法士の柳川円先生と共同で作成した、音楽雑学クイズ「なるほど!ザ・音楽ワールド」をご紹介します。
この記事を通して、ただクイズを楽しむだけでなく、いつもの音楽を10倍楽しめること間違いありません。
楽しく遊びながら楽曲にまつわる知識を学ぶ
まずはこのクイズの概要についてご紹介します。
「なるほど!ザ・音楽ワールド」には、次のような特徴があります。
高齢者の方に人気な楽曲を、12ヵ月分それぞれの季節に合わせて紹介 作詞者や作曲者についての情報やエピソード その楽曲が生まれた時代背景や関連情報 クスッっと笑える?ちょっぴりおもしろネタこのように楽曲にまつわる知識を、楽しく遊びながら学べるクイズです。そのポイントを、共同作成者で音楽療法士の柳川先生にお話を伺いました。
楽曲のエピソードや背景からもコミュニケーションを深める音楽療法
今井:今回のクイズを作成するうえで先生が大切にされていたポイントと、その理由について教えてください。
柳川先生:実は、音楽療法や介護レクリエーションなどの音楽セッションを通して、コミュニケーションを深められる知識を増やしてほしいという想いから、介護職員などの専門家に向けて制作を始めたのがきっかけでした。
音楽療法活動では音楽に合わせて歌をうたったり、楽器を鳴らしたりするだけではなく、その楽曲がつくられたエピソードや時代背景などの話題からコミュニケーションを深めることを目的にしています。
例えば、『君の名は。』という歌はNHKラジオドラマで人気になり、その後同名のアニメ映画で使用されて、社会現象にもなりました。
映画のヒロインが巻いていたスカーフの巻き方は、その名から取って「真知子巻き」とも呼ばれ、彼女と同じようにストールを巻く女性がいたという話は有名です。
音楽セッションを行う際に、このような楽曲にまつわる知識を持っていれば、「皆さんは『君の名は。』の映画をご覧になりましたか?」「真知子巻きをしてオシャレをしていましたか?」という話題を提供することができます。
すると利用者さんからは「昔、初めてのデートでこの映画を見たよ」「私も真知子巻きして出かけていたんだ」など、楽曲や関連する知識を通じて、コミュニケーションを深めることにつながっていきます。
今井:音楽療法士さんは演奏に関する知識のみならず、このような周辺情報もたくさんお持ちなんですね。
柳川先生:そうなんです。音楽療法士はさまざまなジャンルの音楽を提供するので、演奏技術だけではなく、幅広い知識を身につけることで、「対象者の方とより深く関わることにつながる」のではないかと考えています。
さらに、高齢者の方を対象とした音楽療法の中では、音楽回想法を用いる場合があります。
長寿科学振興財団によれば「回想法とは、昔の懐かしい写真や音楽、昔使っていた馴染み深い家庭用品などを見たり、触れたりしながら、過去の経験や思い出を語り合う一種の心理療法」とされています。
効果としては「心が落ち着く」「対人関係の進展を促す」「認知症予防」などが挙げられます。
高齢者の方を対象とした音楽を用いる回想法では、昔懐かしい音楽などを聴くことで、当時住んでいた場所や人物などを回想することにつながります。
歌などを用いる際にその楽曲にまつわる話から、話題を提供することは、音楽回想法になります。そのため、使用する楽曲がなぜ生まれたのかなどの知識を得ることは重要なポイントです。

今井:専門的に学ばれてきた音楽療法士ならではの技術ですね。私は、このような専門的な技術は持ち合わせていませんが、普段の介護の中でも「音楽」をきっかけに、たくさんの話題を生み出すことができそうです。
実際のクイズを楽しんでみよう
ソニフルが作成した「音楽雑学クイズ」についてご紹介します。
(1)「なるほど!ザ・音楽ワールド」にアクセス
(2)気になる楽曲名をクリックし、クイズページから出題されたクイズに挑戦しましょう
(3)答えは、選択肢を選んだり入力したりするだけで自動採点されます
柳川先生:クイズというと「答えるのが面倒くさい」と感じてしまう方もいるかもしれませんが、これまで何気なくうたっていた楽曲の歴史などを知ることで、「面白いかも!」と感じていただけるかと思います。
いきなり挑戦するのが難しいという場合は、まず解説部分を読んでから、実際に楽曲を一緒に聞いたりうたったりすると良いでしょう。
また、各曲名の下にはブログ記事や音声配信で紹介しているクイズの内容に関する解説ページが用意されています。
ブログ記事では解説に加えて、以前ご紹介したデュアルタスク活動による音楽を用いた脳トレのやり方などの説明もあります。
音声配信では実際の演奏も収録していますので、ぜひご活用ください。
今井:音楽療法のセッションでは、普段会話が少なかった方が音楽に関する話題から、今まで誰も知らなかったお話をされるケースがあるとも聞いています。
音楽やこのクイズを楽しんでいただき話題を広げることで、利用者さんの新たな一面に出会えるかもしれません。
柳川先生:また、楽曲がつくられた背景を知っているか知らないかによって、奏でる音も変わってきます。
私がピアノ曲など演奏する際は、必ずその曲がどのようにしてつくられたのか、理論的なものだけではなく背景もわかる範囲で調べているので、クイズを通して学んだ知識を思い出していただくと、演奏する側も聞く側も、もっと楽しめると思います。
「音楽」と「クイズ」と「音楽ネタ」を活かして、コミュニケーションを深めていきましょう。
