「加齢とは人間の発達である」
誰もが老いを退化であると信じて疑わなかった時代から、村田先生は「高齢期になっても人間として成長し続けられる」ことを提言してきた。
近年、要介護の原因の1位は認知症とされ、その予防や治療と、認知症になっても共生できる社会の実現が急務とされている。


加齢を成長と捉える「スマート・エイジング」という考え方で、認知症予防の研究を進める東北大学特任教授である村田裕之先生にお話を伺った。

目次

  • 「スマート・エイジング」とは
  • 産学連携のモデルに
  • 認知症予防を実現したい
  • 認知症介護の現場でも「スマート・エイジング」

「スマート・エイジング」とは

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
加齢とは人間の発達、加齢とは成長

「スマート・エイジング」という言葉をご存知だろうか。

「エイジング(加齢)による経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟すること」を意味する言葉であり、“生き方”である。東北大学・特任教授の村田裕之先生によって2006年に提唱された。

村田先生は、「スマート・エイジング」についてこう語る。

村田「人間は生物学的に見ると受精した瞬間から、“あの世”に行くまでのプロセスが加齢(エイジング)です。

ですから、加齢は何かを失うことでも、退化でもない。

齢を取ることは病気でもないし、醜いことでもない。若者の方が優れているわけでもない。

加齢により何かを得て、人間は成長し続ける。その結果、社会はより賢明かつ持続的な構造に進化できる。それが『スマート・エイジング』の考え方のベースです。

スマート・エイジングを実現するための条件は以下の4つです。

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい

いまでこそ、持続可能な社会について語られることが増えましたが、私たちは16年以上前から言い続けています」

東北大学で「スマート・エイジング」を提言した理由

国連の定義によれば、65歳以上の高齢者の割合が総人口の7%を越えると “高齢化社会(aging society)”、14%を越えると“高齢社会(aged society)”、21%を越えると“超高齢社会(super-aged society)”という。

日本は、2006年から2007年にかけて“超高齢社会”となった。 “超高齢社会”のその先は、当時は未知の領域だった。現在(2022年9月15日時点推計)、日本の高齢化率は世界で最も高い29.1%となっている。

村田先生は、2019年頃から高齢化率が28%を超えた日本の実情を独自に“超々高齢社会(ultra-aged society)”と呼んでいる。

日本は、2013年から2025年まで、平均すると毎年50万人ずつ高齢者が増え、労働人口は70万人減る。

さらに2040年まで高齢者人口は増え続ける。こうした“悲観的な見通し”に対し、2006年に東北大学で「スマート・エイジング」を提唱した理由は次のとおりだ。

村田「団塊の世代が一斉にリタイアし始める“2007年問題”が社会的な課題とされる一方で、『リタイア市場』が大きくなるという見解がありました。団塊の世代は人数が多く、“それなり”の資産を持っている方も多く、企業は彼らをターゲットとしたビジネスを始めていました。

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
アメリカ・ワシントンのAARP本部(写真提供:村田アソシエイツ)

当時、高齢社会の研究が進んでいたアメリカでは、高齢者が運転事故を起こしづらい自動車の研究開発などを産学連携で行っていました。一方、アメリカのAARP(※)の関係者からも『日本の高齢社会研究に関する情報が欲しい』と言われていました。

世界のさまざまな統計を調べていた彼らは日本が超高齢社会になったことを知り、日本の情報に大変興味を持っていたのです。

ただ、2006年頃の日本で大学が高齢者の問題を扱うのは、医学部の老年医学や福祉系の大学で介護を学ぶくらいでした。産業界に比べて世界から遅れをとっている状態だったので『世界はすでに、元気な高齢者に関する研究を始めていますよ』と私は警鐘を鳴らしていました。

そのような経緯があり、特任教授を務めていた東北大学で『スマート・エイジング』の考え方と学部横断的なプロジェクトの提言をしたのです。このタイミングであれば、国際的に低下傾向にあった日本の大学の世界的ブランドの向上にも必ず役立つとも考えていました」

※世界最大の高齢者NPO・シンクタンク・ロビー団体

産学連携のモデルに

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
国内最大級の産学共創体制

2009年、脳を活性化するためのトレーニング、通称“脳トレ(脳力トレーニング)”の生みの親であり、東北大学教授で医学博士の川島隆太先生がセンター長を務める加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センターが設立された。村田先生は同大学の特任教授に加え、センターの企画開発部門の責任者も務めている。

2010年から川島先生が考案した非薬物対認知症療法である学習療法(脳のスマート・エイジング法)の米国輸出に取り組んだ。

東日本大震災の後の2011年の夏ごろより、同センター内に「スマート・エイジング・スクエア」を立上げ、市民参加型の研究開発を始めた。

2017年に「スマート・エイジング学際重点研究センター」に改組され、2019年には、大学と産業界との融合による新たな社会価値の創造を目的として「東北大学ナレッジキャスト株式会社」も設立され、強固な産学共創体制が構築されていく。

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
東北大学ナレッジキャスト株式会社が所有するデータをもとに作成

村田先生は「スマート・エイジング」をテーマに、企業と大学が手を組む産学連携を押し進め、“超々高齢社会”を前向きに生き抜くための施策を次々と実施している。

企業への啓蒙

村田先生が携わった産学連携の成功事例には、どのようなものがあるのだろうか。

村田「まずは、東北大学・公文教育研究会・介護施設と共同研究開発した非薬物対認知症療法である学習療法の米国への導入を紹介させてください。

学習療法とは、音読と計算を中心とする教材を用いた学習を、学習者と支援者がコミュニケーションをとりながら行うことにより、学習者の認知機能やコミュニケーション機能、身辺自立機能などの前頭前野機能の維持・改善を図る、薬を使わない対認知症療法のことです。

アメリカでは認知症=アルツハイマー病というイメージが強いです。世論調査などでは中高年が恐れる病気のトップは、従来はがんだったのですが、近年はアルツハイマー病がトップに挙がっています。にもかかわらず、アルツハイマー病は、まだその原因がよくわかっておらず、認可されている治療薬も限定的な効果しかありません。

このため、いったん、アルツハイマー病(つまり認知症)と診断されたら、もう、治癒することも改善することもなく、記憶を失い、自分で自分のことがわからなくなり、周囲に迷惑をかけて、あの世にいく、という先入観がかなり強いのです。

2010年に全米初の説明会を現地のCCRC(※)で開催した時に、『これ(学習療法で認知症が改善すること)は本当か? もし、本当なら、これは天からの光だ』とアメリカ人の入居者から熱狂的に言われました。入居者とスタッフの予想外の大きな反響に驚き、熱狂する入居者を見て私たちも熱くなったことを今でも覚えています。入居者もスタッフも『希望』を求めていたのです。

ちなみに、アメリカでの導入の様子がドキュメンタリー映画「僕がジョンと呼ばれるまで(原題:Do you know what my name is? Bring back the light) 」になっており、今でも日本の介護施設などで上映されています。この映画はアメリカンドキュメンタリー映画祭で最優秀観客賞を受賞したほか、アカデミー賞にもノミネートされた初の邦画ドキュメンタリー映画になりました。

また、アメリカへの導入の物語は、川島教授と私の共著『年を重ねるのが楽しくなる![スマート・エイジング]という生き方」』(扶桑社)に詳しく記載しているほか、『実践ソーシャルイノベーション - 知を価値に変えたコミュニティ・企業・NPO  (著・野中 郁次郎 他)』(千倉書房)にも詳しいエピソードが紹介されています。

(※)Continued Care Retirement Communityの略。
日本語では「継続ケア付き退職者コミュニティ」と訳され、自立健常型住宅、介助付き住宅、介護専用施設、レストランなどの共用施設から構成される
「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
写真提供:東北大学ナレッジキャスト株式会社

別の事例は、「カーブス」という女性専用のフィットネスです。大学内に初の店舗を作り、利用者からは通常店舗と同様に料金をいただき、大学は家賃収入を得て、利用者である高齢者を対象としてダイレクトに研究できるという市民参加型の共同研究開発です。

カーブスの運動を4週間続けると、運動能力が向上するのに加えて、認知機能の改善も見られるという研究結果を得られました。このエビデンスをマーケティングに活用したこともあり、現在、日本に2000を超える店舗を構え、約83万人が利用するまでに成長しました。

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
写真提供:東北大学ナレッジキャスト株式会社

2012年4月からは、『スマート・エイジング』の啓蒙のために、一般市民の方を対象に『スマート・エイジング・カレッジ』を開講しました。5年間、大学内で開催したのち、2017年からは東京で企業人向けに開催しています。

一般市民への啓蒙も大切ですが、市民に対して商品・サービスを提供する企業にも『スマート・エイジング』の啓蒙をしたかったので、商品開発を考えている企業の参加を募りました(SACプロジェクト)。

最初の年は化粧品メーカーの方々がたくさん集まりました。理由は、当時流行っていた「アンチエイジング」に代わる名称を使いたい企業が多かったからです。日本では抗酸化のことを『アンチエイジング』と捉えている場合が多く、若返りという意味や加齢を病気のように扱う“きらい”があります。そこに大きな違和感がありますね。

冒頭に説明した本来の意味に即すと、アンチエイジングは成長を否定するだけでなく、死ぬという意味になります。そんな話を私が学会や会議でもするものだから、みなさん苦笑いしまして(笑)。改めて、『スマート・エイジング』を啓蒙する重要さを再確認しましたよ。

2017年には、大学で研究した成果を世の中に還元する社会実装のひとつとして、大学発のベンチャー企業である株式会社NeUを立ち上げました。CTOには川島教授が就任し、世界で唯一の超小型NIRSをはじめとしたハイテク機器による脳計測装置を用いた様々な脳トレプログラムを製品化しています」

産学連携で気を付けるべきこと

「脳トレ」や「カーブス」など、いまでは当たり前のように高齢者の脳や身体の健康維持に不可欠なものに村田先生は深く関わっていたのだ。

大学が企業と産学連携をする上での課題はどのようなことなのだろうか。

村田「企業はビジネスに有益となる研究結果を期待しています。でも、大学の研究では、必ずしもそういった結果になるとは限りません。そのあたりの“ギャップ”については、共同研究をする前に、よく話し合うようにしています。

日本の大学の世界ランキングが下がっている中で、大学の研究者は論文に繋がる研究をしたがります。でも“本当”の最先端の研究で論文に繋がるようなものは産学連携でやるには難易度が非常に高い。一方、企業は目先の成果を欲しがることが多いわけです。

私はコンサルティングの仕事もしているので、企業の立場も大学の立場もわかります。だからこそ『あの手この手』で両者が歩み寄れるように努めています」

認知症予防を実現したい

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
コロナ禍で認知症の症状が悪化した人が増えている

「スマート・エイジング」を提言してから16年以上が経過したいま、村田先生がもっとも関心を持ち、力を入れていることがあるという。

村田「残念ながら、現時点ではわずかな症例を除いて認知症を医学的に予防できるとは世界中で誰も言えません。薬での予防を考えている方もいますが、それだけでは不十分です。私たちのセンターは脳科学や疫学、心理学などからアプローチして、『どのようなことをすればいくつになっても脳の健康を維持・向上できるか』を研究しています」

村田先生が認知症予防に力を入れている一方で、コロナ禍で認知症の症状が悪化している方の急増が問題となっている。外出、運動、人との関わりが減ったことに加え、テレビを見る時間が増えたことが理由と考えられる。

スマート・エイジング学際重点研究センターの川島センター長によると、テレビを見ているときの脳は、額の裏側にある前頭前野が活動しない状態になるという。これは実はリラックスしている状態なのだが、この状態が毎日長時間続くと、認知機能が低下して、認知症予備軍になってしまうのだ。

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
東北大学ナレッジキャスト株式会社 が所有するデータをもとに作成

コロナ禍以前から、村田先生は人とのコミュニケーションが少ない独居などの社会的孤立を問題視し、その予防と改善を大きなテーマとして捉えていた。

ところが、コロナ禍でこの問題がさらに深刻化。スマート・エイジングの考え方に基づく産学連携の重要性が増している。

村田「『スマート・エイジング』の考え方に基づく製品やサービスの開発を支援する研究を大学が行い、その結果を企業とともに商品として世にどんどん出していく。このサイクルをもっともっと増やしていかなければならないと強く感じています。

私たちは、世界有数の脳科学研究環境を持っています。私たちの研究により、科学的な方法で脳のトレーニングを行なえば、脳機能が改善することが分かってきました。トレーニングによって脳の神経細胞同士のつながりが強化され、体積が増えるほか、脳をかたちづくる電気的な回路の働きも活発になります。うれしいことに、これは何歳になっても、きちんとやれば効果が出ます。つまり、脳はよい状態を維持できるということが、最新の脳科学研究によって見えてきたのです。

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
NeUからの提供写真をもとに作成

ただ、高齢者はパソコンやスマホを使いこなせる方が少ない。そこで例えば、仙台放送と組んで、高齢者の危険運転を防ぐために自宅のテレビとそのリモコンでできる運転技能向上トレーニング・アプリを開発。保険会社などを経由して導入を広めています。研究では6週間続けた方の多くが、自動車運転技能・認知機能・感情状態が有意に向上したことが確認されています。

高齢者でなくても、何らかのITツールを使って『脳トレだ』『訓練だ』と言えば、身構えてしまう方もいらっしゃいます。そこで、楽しみながら脳を鍛えることを目的として、手芸店のユザワヤと組んで『脳トレ手芸』を研究・開発しています。

刺繍をすると脳を活性化することはわかっていましたが、どの程度活性化するかは不明でした。そこで、手芸という行為の脳トレとしての効果検証をNeUの脳計測ツールを使って検証しました。 “虫の良い話”のようですが、刺繍好きな方であれば、好きなことをするだけで脳トレになります。この商品は通常の刺繍製品よりも4倍の売り上があったそうです」

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
脳トレ手芸シリーズ

認知症介護の現場でも「スマート・エイジング」

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
対認知症療法の学習療法(脳のスマート・エイジング法)で喜びが連鎖していく

学習療法は認知症の方の脳機能を改善するだけでなく、それに関わるスタッフや家族など全員の意識を変えていく。

村田「学習療法により改善するのは施設入居者や利用者である学習者の認知機能だけではありません。実は、支援者であるスタッフの意識も変わっていきます。

学習療法に取り組み、重度の認知症高齢者の認知機能が実際に改善することが目に見えてわかると、『認知症になった人でも、そこから戻ってくることができる』、『人間は最後の瞬間まで自分自身の可能性を追求できる存在である』ということを実感し、意識が変わってきます。

そして、「私が働きかけたことで、入居者さんの認知症がこんなに改善した。私でもこんな貢献ができるのだ」という達成感が得られ、前向きな自負心と責任感が生まれるのです。これがスタッフのやる気を生み出し、さらなる改善アクションに向かっていきます。

認知症高齢者と言っても、一人ひとりの認知レベルが違います。それに加えて、一人ひとり、それぞれに実は深い人生のドラマがあります。目の前にいる高齢者を、『単に認知症で介護しなければならない老人』と見るのではなく、一人の人間としてきちんと向き合う機会があることで、これまで知らなかったその人の人生のドラマを知ることができるのです。このような体験を通じて介護スタッフが人間として成長できる点が、学習療法の奥深く優れた点です。

こうした『入居者』と『スタッフ』の『認知機能』や『関係性』の改善のキャッチボールが施設全体の雰囲気を改善し、マネジメントの質も向上していくという現象が全国の介護施設で現実に起こっています。施設の経営者にとって、この相乗効果が学習療法導入の最大のメリットと言えましょう。

「スマート・エイジング」こそ、少子化・超々高齢社会での社会貢献

少子高齢化が進む日本において、「スマート・エイジング」がやはり重要だと再確認しているという村田先生。

村田「人口動態予測によれば2040年まで65歳以上の高齢者が増え続けることは確実です。高齢者が増えれば認知症になる人も増えます。一方、15歳から64歳の生産人口も減っていくことが確実です。残念ながら現状では急速かつ効果的な少子化対策は考えられません。

そうであるならば、これから増えていく高齢者が可能な限り元気でい続けることが求められます。この点から、高齢者ができるだけ認知症にならないようにすることが不可欠です。

認知症と診断された人の“上流過程”を見ると、認知症発症前に認知機能の低下が見られ、それ以前に脳が萎縮していることが分かっています。これを食い止めるためにどのような生活習慣が効果的なのかが、かなり明らかになってきています。例えば、好奇心旺盛で趣味活動が盛んな人は脳が萎縮しづらいということがわかっています。あとはなんといっても、人とのコミュニケーションが大事です。

認知症を発症しにくい生活習慣を支援する研究、商品化への努力をどんどんやるべきだと思っています。

『スマート・エイジング』を実践して高齢者が元気に活躍する社会は、今後社会の高齢化が進む他の国から羨望の的で見られるようになるでしょう。私たちひとり一人が高齢になっても元気であり続けることが何よりの社会貢献であり、それは国際貢献でもあるのです」

最後に『スマート・エイジング』のための10の秘訣を紹介したい。

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい

 

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい

 

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい

超々高齢社会となった日本の未来を明るく照らすのは、「スマート・エイジング」が当たり前となった、元気な高齢者が楽しく生活する社会だ。

プロフィール

東北大学特任教授
スマート・エイジング学際重点研究センター企画開発部門長
東北大学ナレッジキャスト株式会社 常務取締役
村田アソシエイツ株式会社 代表取締役
村田裕之(むらた・ひろゆき)氏

1987年東北大学大学院工学研究科修了。民間企業勤務後、仏国立ポンゼショセ工科大学院国際経営学科修了。日本総合研究所等を経て2002年3月村田アソシエイツ代表。2006年2月東北大学特任教授。多くの民間企業の新事業開発・経営に参画。2019年10月大学と産業界の融合による新たな社会価値の創造を目的として設立された東北大学ナレッジキャスト株式会社常務取締役に就任。

「スマート・エイジング」で超々高齢社会・日本の未来を明るく照らしたい
編集後記

30代で日本総合研究所に勤務していたころから、シニアビジネスに注目していたという村田先生。

1999年、介護保険導入の前年で、世の中は介護を社会的課題として捉えていたが、村田先生は要介護者よりも、圧倒的に人数が多い介護が必要でない元気な高齢者に着目。時間もお金もある彼らにこそ、大きなビジネスチャンスがあると考えた。

40代の2006年に「スマート・エイジング」を提言。60代となった今、ビジネスの力点が高齢者に元気でい続けてもらうためのものへと変化したそうだ。

理由を聞くと、「楽しそうに暮らす高齢者が増えれば、次の世代がその背中から学んで、真似をする。次世代にも、必ず、元気で明るく生きる人が出てくるはずだから」と村田先生は優しく微笑んだ。

※2022年9月22日取材時点の情報です

取材:岡崎杏里