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2022年から本格的に投資をスタートし、資産を2.5億円まで増やしたお笑い芸人のオモロー山下さん。個別株投資では「決算前売却」や「ファブレスメーカーへの注目」など、自分なりのスタイルを構築しています。

その背景には、自身がうどん店のプロデュースで成功した経験も生きているとのこと。山下さんに、個別株投資のスタイルを聞きました。

経営者になって感じた、利益を高めるビジネスモデル

うどん屋経営の学びをもとに「ファブレスメーカー」に投資、お笑い芸人・オモロー山下さんの個別株選び


――山下さんは個別株投資も手厚くされているとのことですが、どんなスタンスで銘柄を選んでいますか?

山下 基本的には、今勢いのあるテーマの銘柄を買うようにしていますね。「モメンタム株」と呼ばれるようなものです。特に最近は、AI関連の銘柄に注目しています。AI自体を開発している企業はもちろん、半導体メーカーやデータセンター関連企業、さらにそのデータセンターは大量の電力を消費するので、電力会社にも注目しています。AIに紐づく業界を幅広く見ながら、銘柄を探していきます。

――そのテーマの中から、どうやって「買い」の銘柄を見つけていくんですか?

山下 特別なことをしているわけではありません。YouTubeやインターネットには、「これから注目の銘柄」といった情報がよく出ていますよね。まずはああいうものを見て、気になる銘柄があったら徹底的に調べていきます。

以前から興味を持っているテーマはいくつかあって、その分野の知識は蓄えられてきたので、銘柄選びでも細かな分析ができるようになってきました。AIはそのひとつですし、他にも「全固体電池」は長く興味を持っています。今の主流であるリチウムイオン電池より性能が良く、充電速度も速くなると言われており、電気自動車普及のカギを握る技術ですよね。



国内ではマクセルという会社がすでに全固体電池を製品化しており、技術を確立しつつある。ただしサイズが小型で、自動車用としては容量が足りません。この点で今後どのような進展を見せるか、注目していますね。

海外でよく見ているのは、ソリッドパワーというアメリカの会社です。全固体電池の開発を行っており、BMWと提携して全固体電池を搭載した車両の試験走行も実施しています。こういったところも追いかけていますね。

ソリッドパワーの良いところは、電池の性能を決める“コア素材”は自社で製造するものの、それ以降の過程、つまり最終製品を作るプロセスは他社に委託する方針を取っていること。そのための製造方法をライセンスとして提供します。工場を持たない「ファブレスメーカー」に近いといえるでしょう。

自社で大規模な生産設備を構える必要がないので、リスクが少ないですよね。私はエヌビディアの株も早くから購入してきましたが、その理由のひとつも、同社がファブレスメーカーだったからです。半導体の設計は自社で行いますが、実際の製造はTSMCなどに委託しています。



――ファブレスメーカーであることが、投資のポイントになっていると。その辺りの感覚はどうやって身につけたんですか?

山下 うどん屋を経営したことが大きいと思いますね。私は「山下本気うどん」といううどん屋を開き、店舗数を拡大することができました。2021年には商標権も買い取っていただき、その資金を元手に投資を始めたんです。

実際にお店を経営して感じたのが「機械はとにかく高い」ということ(笑)。それに加えて、どこかに設備を構えるとなれば、家賃や土地代もかかります。それだけのお金を費やすなら、むしろうどんの生命線である小麦粉だけ自社で作って、それ以降の製造については、作り方をきちんと伝えて他社に委託する方が利益率は高くなります。自社は小さく構えて、うまく外部の力を使う。それにより経営的なメリットが出てきますよね。

決算に対して「予測」や「期待」はしない

うどん屋経営の学びをもとに「ファブレスメーカー」に投資、お笑い芸人・オモロー山下さんの個別株選び


――そのほかに、個別株投資を行う上でのスタイルはありますか?

山下 最近やっているのは「決算前売却」ですね。簡単にいえば決算をまたがない、「決算直前に保有している銘柄を売却する」ということです。以前は決算またぎをしていましたし、「この企業は次の決算でいい内容になるのでは」と予測して、決算前に株を仕込むこともありました。「決算ガチャ」と言われるようなこともよくやりました。



だけど、決算に対する市場の反応って本当に予測できないんですよね。増収増益だったとしても、株価が上がるとは限らない。増益の内容が投資家の期待を少しでも下回っていれば、暴落することもありますから。逆に業績が悪くても、将来性を買われて決算後に上昇したりする。そもそも、赤字企業でも未来への期待によって値上がりするのが株価ですから。

アメリカにパランティア・テクノロジーズという企業があります。ここ1年ほどで株価は大きく上昇し、PER(株価収益率)は数百倍という水準になっています。これは、業績に対して市場の期待(=株価)が膨れ上がっていることを示しています。

こういう企業の場合、決算に対する市場の評価は本当に読めません。とにかく期待が大きくなっているので、出てきた決算内容を見て、少しでもその期待を下回れば一気に株価が下がることもあり得ますから。

そのほかにも、次の決算への期待で株価が上がり続けて、実際に決算で好業績が発表された途端に、「材料出尽くし」といって株価が下がることもあります。投資を始めた頃には意味がわかりませんでした。

どういうことや……と(笑)。

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――そこで「決算はまたがない」と。

山下 はい。基本的には決算後に株を購入して、次の決算が出る直前には売却します。したがって、売買のペースは四半期決算が出る3カ月おきになりますね。出てきた決算の内容を吟味して、次の3カ月間に保有する銘柄を決めています。決算前に売却した銘柄を、決算後にふたたび買い直すこともありますね。

好決算で値上がりした銘柄も、そこから3カ月間でさらに伸びることがあります。また、決算直後に値下がりした銘柄も、業績や企業の発表をよく見てみると、買いの材料が十分あることも少なくない。なので、今はこうしたスタイルでやっていますね。

インデックス投資は「期間が長ければ長いほどいい」

うどん屋経営の学びをもとに「ファブレスメーカー」に投資、お笑い芸人・オモロー山下さんの個別株選び


――お話を聞いていると、とにかく投資を楽しんでいる様子が伝わってきます。

山下 投資を始めて、いろいろな銘柄について調べるようになると、誰かにそれを話したくなるんですよ。

でも、普段あまりそういう話はできないし、お金の話をするのは嫌がる人もいます。投資というだけで「怪しい話では?」と疑われてしまうこともある。だから今日みたいに、思う存分話せる時間は楽しいんです(笑)。

とはいえ、NISAが普及してそういう状況も変わりつつありますよね。投資は決して怪しいものではないと広まってきた気がします。プロ野球について「今年はあのチームが強い」「あの選手が伸びる」と自分の思いを話すように、投資談義を平和にできる日が来ると最高ですよね。

――これから投資を始める方に向けてメッセージはありますか。

山下 僕なんかの意見より、まずは自分で調べて投資を始めてほしいと思います。とはいえ、基本はインデックス投資から行うのがいいのではないでしょうか。私も個別株は大好きですが、あくまで資産運用のベースはインデックス投資だと思っています(前編記事参照)。

個人的には、貯金のような感覚で月々インデックスの積み立て投資を行うのがベストだと思います。それも長期の運用を大前提に、なるべくほったらかしにする。

日々の運用成績は気にしない。毎月積み立てたら、あとはインデックス投資のことを忘れるくらいでいいと思います。

今になって後悔するのは、どうしてもっと早く資産運用を始めなかったのかということ。インデックスの積み立て投資は、期間が長ければ長いほどいいですから。投資に興味を持った方には、そんな想いも伝えられたらうれしいです。

うどん屋経営の学びをもとに「ファブレスメーカー」に投資、お笑い芸人・オモロー山下さんの個別株選び


(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2025年12月現在の情報です

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