鮮やかにのびる緑の葉と、みずみずしくなめらかな乳白色の根。大根はこの時季から、水分が増えてずしりと重くなり、甘みも増していちだんとおいしくなります。
医学博士で管理栄養士の本多京子(ほんだ・きょうこ)さんに、大根の栄養成分とおいしく摂取するコツを教えてもらいました。

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■辛い大根ほどカラダにやさしい?

大根は葉に近いほうが甘味があり、根の先端に近くなるほど辛みが強くなります。「大根おろしは辛くて」と敬遠される方もいますが、大根の辛み成分のイソチオシアネートは、抗酸化力の強い機能性成分です。有害な活性酸素を除去し、がんの抑制にも役立つのではないかと注目されています。このイソチオシアネートは、皮や根の先端に近い部分に多く含まれ、その量が多いほど辛くなります。
ほかに、生の大根にはでんぷん消化酵素のアミラーゼが多く、胃のもたれや不快感を防いでくれます。
食事にひと鉢の大根おろしを添えるだけで、すっきりとした食後を楽しめるかもしれません。
さらに塩分のナトリウムを排出させるカリウムもたっぷり。大根おろしを一品そえるだけで食事全体の栄養バランスがぐんとよくなります。
ただし、大根おろしは空気に触れる面積が大きいため、時間とともにビタミンCが減少していきます。なるべく食べる直前におろすようにしましょう。

■大根の葉は高ビタミン野菜

大根の葉にはβ ‐カロテンやビタミンC、ビタミンEといった抗酸化物質が多く含まれます。
抗酸化物質とは体じゅうの細胞の酸化を防いでくれる成分で、機能性物質とも呼ばれます。老化を防ぎ生活習慣病の予防にも役立つ頼もしい栄養素です。
さらに葉には葉酸もたっぷり。妊婦や、認知症が気になる高齢者には大切なビタミンです。これからは葉つきの大根を買い、ふりかけや菜飯などの料理で葉を残さず使い切りましょう。

■切り干し大根は干すことで栄養アップ

大根を干してつくる切り干し大根には、生とはまた違った栄養素がいっぱいです。

カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維などは干すことで成分が濃縮され含有量がアップします。切り干し大根の料理もぜひ食卓に乗せたいところです。
加工することで栄養素がアップする例としてはほかに、大根のぬか漬けもあります。ぬか床のビタミンB1が移行して10倍以上に増え、糖質の代謝を助けます。
■『NHK趣味どきっ!カラダ喜ぶベジらいふ 秋冬コレクション』より