こんにちは、CATs(キャッツ)の中村元気(なかむら げんき)です。ここ3回ほど、CATsっていう、原宿の裏通りにある、個性的な店舗の立ち並ぶキャットストリートのお店の人を中心とする人たちと始めた地域コミュニティ活動の話をしてきました。
CATsの新しいけど、新しくない活動
CATsに新しい活動が加わりました。その名も「CAT Street Circular Hack Project(キャットストリート サーキュラー ハック プロジェクト)」。「circular=循環」という意味で、地域で言えば、今あるものやいらなくなったものを再活用、つないでいくことを目指しています。「hack=DIY精神を持って既存の物事の解決を図る」というような意味で、地域で言えば新しく調達することなく、地域にある資源を活用することで、地域をよくする素晴らしいアイディアを考え、実行するという感じでしょうか。私たちが特にこのプロジェクトで進めているのには、観光地としての原宿で多数発生している「ゴミ」の問題が大きく関わっています。それこそ月に一回開催しているゴミ拾いの活動「CATs Cleanup」に参加するみんなと、地域を考える階段を一段上ってみる、新しいようで新しくないプロジェクトです。

my BAGmy BENTOBOXmy CUPno FOODLOSS
CAT Street Circular Hack Projectはローカルファースト&サステイナブルな循環型まちづくりプロジェクトです。働き、暮らし、訪れる私たちが気持ちよく過ごせる街を目指し地域の環境課題を遊び心とイノベーティブなアイデアで解決していきます。
具体的には協力してくれている店舗のレジ前に、上記の写真にあるような取り組みを紹介するプレートやチラシを置いて、お客さんへの接客時のコミュニケーションツールにしてもらったり、スタッフの間で少しずつ意識を高めていったりするために使ってもらっています。幾つかのアクション項目をそれらに印刷していて、例えばマイカップやマイタンブラー、マイバッグ、マイ弁当箱を携帯することなんかもあります。キャットストリートのカフェでコーヒーを持参したカップに入れて持ち帰ったり、タンブラーに水をくませてもらったり、Shibuya CAST.前のキッチンカーなんかでお弁当箱にお惣菜やご飯を入れてもらったりするとかができるんです。まずは自分たちがやってみる、やりにくいところは直す、いいことは他のみんなにも提案するスタイルで少しずつ仲間を増やそうと思っています。
KEENだけど、自分的にはCATsのなりさん
CAT Street Circular Hack Projectに参加してくれているお店には、僕が日頃から親しくしてもらっているキャットストリートの仲間が働いていることも多いんです。今回紹介したいのは、そんなうちの一人でCATs Cleanupをきっかけに出会ったKEEN GARAGE 原宿店の成尾さん、通称なりさん。鹿児島の島出身で自然に囲まれて幼少期を過ごしていましたが、24歳で福岡から上京して、アパレル店員として働いていました。30歳のとき東日本大震災が起こり、被災地の映像を見て、「仕事を辞めてでも行かなきゃ」となり、会社を辞めて無職のまま3ヶ月間ボランティアをしたことを機に自分のなかで価値観が大きく転換したそう。このままの消費や生活スタイルを続けていくことはできないと思うようになったと聞きました。その後、原宿店のオープニングスタッフとしてKEENに入社。本社は今全米でも多くのブランドがマーケティング、ブランディング部門を置くポートランドにある、DIY精神溢れるブランドです。生産における環境負荷の削減はもちろんのこと、西日本豪雨などの自然災害の被災地の支援なども行っています。


CAT Street Circular Hack Projectへの参加を機に、今までも実はあった店内の誰でも使えるウォーターサーバーの存在をみんなに知ってもらえるように発信していく予定です。水をくめることによって減るのはたかがペットボトル一つですが、それをたかがペットボトルと考えずに積極的になれるのもKEEN、そしてなりさんなんだよなーと思っています。自分が思う、なりさんのことをもう少しお話しします。CATs Cleanupにも初期から参加している一人で、何と言ってもヒゲの濃さのインパクトがすごい山男という言葉がぴったりの方です。

今回の活動を始めたことで、楽しいことから、環境問題のような話までなんでも話せる成さんのような地域の仲間がだんだんと増えていて、飲み会ではかなり深い話になることもしばしば。みんなブランドを背負っているのに、背負っていないかのような軽やかさで活動に協力してくれ、そしてこういう方法なら協力できるという提案をしてくれるところや、自分の信念を貫いて意見をくれるところなど、つまりは街のことが自分ごとになっている人たちなんだろうなと思っています。この、「自分ごと」という言葉はめちゃくちゃ気になっているワードでもあります。みんなが当たり前のように使っていて、簡単に達成できそうなことのように聞こえますが、これが何より難しい。自分以外のことも自分のことのようにするということですから簡単なわけないんです。他人を気遣う、地域を気遣う、街を愛するということをひっくるめて「自分ごと」ということだと思っています。「働く」というよりも、「傍楽」(側にいる人を楽にする)マインドが、本当の意味で地域を盛り上げることにつながる気がしています。
地域で循環って例えば?
地域の循環って言ってもどういうことなのか理解しづらい人もいると思うので少し説明します。今までの記事でも紹介していますが、地域のなかでいろいろな循環を生み出すプロジェクトといえば、例えば「CATs Urban Compost Club」のコンポストでしょうか。表参道の落ち葉と三代続くお米屋さんの小池精米店から出る米ぬかを混ぜ合わせて作っています。もちろん運搬方法も手や台車、自転車に乗っけて運んでいます。


全員参加の地域コミュニティ
「CATs Cleanup」もそうですが、この「CAT street circular hack project」もストリートの地域活動にいつも関わってくれている皆さんが参加する活動なんです。普段から通っていたり、暮らしていたりする場所だからこそ、大事にしたいという気持ちがあるんです。そういう気持ちが人をつないで、つながりの輪ができてきて、その輪が生み出すものこそ、地域の循環なのかなーと思っていたりします。なので、キャットストリートに関わるみんなにとって、ここで起こること全てが、関係ないことは一つもないと思っています。全員が当事者として街に向き合うことで、街を好きになり、リスペクトや愛が生まれると信じています。

巡り巡って
そんな場所へのリスペクトや愛が持てるということは、ゴミを捨てるという行為を未然に防ぐことになると思っています。
今回の連載で紹介した、原宿キャットストリートで出会った人KEEN GARAGE 原宿マネージャー 成尾さん

中村元気(Genki Nakamura)
1992年、埼玉県生まれ。 原宿のキャットストリートという通り沿いで地域活動 CATsを始める。地域に関わる様々なレイヤーの人達と居心地のいい街を作るために日々活動中。消費の中心地だからこそ、クリーンアップなどお金では手に入らない人間関係を作る活動や、表参道の落ち葉を使ったコンポストなど生産側になりゼロから価値を生み出すアクションを実験的に行う。それ以外の活動には都市型屋上農業や、地域のみんなで行うキャンプや山登りなどがある。また、2018年には地域のゴミ問題の根本解決を目指すために「0 waste=ゴミ・無駄のない」ライフスタイルの提案を行う530weekという活動を立ち上げ、5/30にイベントを開催した。
