【こちら…実は苗字です】「四月一日」は「しがつついたち」とは読みません!何て読む?雅なお名前なの♡
月のマーク初代は右向きの男爵風キャラだった!?
「花王」というと、日本を代表する日用品メーカー。洗濯用洗剤の「アタック」や、掃除用品の「クイックル」、スキンケアの「ビオレ」などが有名ですよね。
そんな「花王」は、明治20年(1887年)、創業者の長瀬富郎氏が、洋小間物商「長瀬商店」を設立したのが始まり。その長瀬商店で扱っていた輸入品の鉛筆に、月と星のマークがありました。これをヒントに、富郎さん自身が明治23年(1890年)にロゴマークを考案したそうです。
その初代ロゴマークが、こちら。

創業者・長瀬富郎氏が考案した初代ロゴマーク 画像出典:花王公式HP
なんとも味のあるロゴマークですよね。わたしはけっこう好き。
太い眉毛と口ひげを蓄え、シルクハットが似合いそうな”男爵風”といった感じ。
その口から吹き出しが出ており、そこに、昔の字体で「芲王石鹼(花王石鹸)」と書かれています。
ちなみに、この月のマークは”美と清浄を象徴”していることのことですが、どのあたりが…なのでしょう?
そして、初代ロゴマークの誕生から約50年後。

昭和18年(1943年)のロゴマーク 画像出典:花王公式HP
右向きだった月が、左向きに変わり、太眉は継続されたものの、昔話に出てくる翁風の顔に変更されました。
ほうれい線が深めですね(笑)。
なぜ、右向きだった月が、左向きに変わったのか?
そこには「これから満月に向かって満ちていく左向きの月の方が縁起がよい」という考えがあったそうです。
補足すると、左向きの三日月は、新月から満月に”満ちていく過程”の月。一方、右向きの三日月は二十六夜月(にじゅうろくやづき)、有明の月(ありあけのつき)などと呼ばれ、満月から新月に”欠けていく過程”の月というわけです。

画像出典:イラストAC
そして、5年後の昭和23年(1948年)。

昭和23年(1948年)のロゴマーク 画像出典:花王公式HP
翁風の顔から、ぱっちり二重で唇がふっくらした、女性風の顔に。月も、上と下の部分がつながって、丸いシルエットに変化しました。
さらに、5年後の昭和28年(1953年)。

昭和28年(1953年)のロゴマーク 画像出典:花王公式HP
劇画風から一変、消費者に親しみと信頼感を与えるよう、ポップなタッチの漫画風の顔になり、色もオレンジに変更されました。正確にはこの色、バーミリオンオレンジというそうです。
そして、5年ごとのロゴマーク変更はいったん終わり、それから32年後。
昭和60年(1985年)に「花王石鹸株式会社」から「花王株式会社」に社名を変更したのに伴い、ロゴマークは「社名(花王)+月マーク」に。新鮮で躍動感のある色ということで、コーポレートカラーもグリーンに変更されました。

昭和60年(1985年)のロゴマーク 画像出典:花王公式HP
昭和世代のわたしは、このマークがしっくりきます。
そして、平成21年(2009年)には漢字の「花王」から英文字の「Kao」に変更されます。

平成21年(2009年)のロゴマーク 画像出典:花王公式HP
んっ?
「Kaō」じゃなくて「Kao」なんですね。「かおう」じゃなくて「かお」って読めるけどいいのかな?
そして、令和3年(2021年)、花王グループを表すロゴをすべて「Kao」に統一したタイミングで、月のマークは消えてしまいました。

令和3年(2021年)~現在のロゴマーク 画像出典:花王公式HP
花王の商品から月のマークが消えて、4年くらい経つんですね。知らなかった…。
花王の月のマークとともに生きてきた昭和世代のわたしには、少々さみしい気も。ただし花王によると、「長年親しまれてきた月のマークは、製品や企業ロゴには記載しないものの、花王のシンボルマークとして今後も活用していく予定」とのことです。
…と、ここまで、花王のロゴマークの変遷を見てきましたが、ついでに、社名である「花王」の名前の由来も調べてみました。
するとおもしろいことがわかりましたよっ!
社名「花王」の由来とは?
「花王」の代名詞となっている石鹸ですが、社名にもこの石鹸が関係しているようです。
140年ほど前、創業者の長瀬富郎氏が長瀬商店を設立した当時は、質の悪い国産石鹸か、高価な輸入石鹸しかなかったそう。そこで、富郎さんは、「買いやすい価格で顔が洗えるくらい品質のよい国産石鹸を作りたい」という強い想いから、国産石鹸の開発に着手しました。
そうして石鹸の開発に必要な化学知識、香料や色素の調合ノウハウなどを身につけて開発に取り組み、明治23年(1890年)に、国産の高級化粧石鹸「花王石鹸」を発売。

画像出典:花王公式HP
その開発した石鹸に名前を付ける際、”顔も洗える”高品質の国産石鹸誕生への想いを込め、当時、化粧石鹸が「顔洗い」と呼ばれていたことから、「かお(顔)石鹸」と名付けたとのこと。そこに「花王」という文字を当て、「花王石鹸」としたんですね。
これが、社名の由来となったわけです。
つまり花王の由来は、”顔”も洗える高品質の石鹸からきているのですね。
あっ!
先ほどの話に戻りますが、花王の由来が”顔”であるのなら、企業ロゴが「Kaō」ではなく、「Kao」でも問題ないってことなのかも!?
ちなみに、当時は上の画像のように、桐箱に3個入って35銭で発売していたそうです。
35銭って、今でいうといくらくらいなのかしら?
X(旧Twitter)の花王公式アカウントでは、こんな風に解説していましたよ。
お値段の質問がありましたので…
1890年に発売されたこの「花王石鹸」ですが、当時は3個入り35銭の高級品でした。そば1杯が1銭の時代なので、1杯500円換算で石けん1個(約12銭)が6000円くらいでしょうか
それでも当時1個30~50銭の舶来品よりはお買い求めいただきやすかったようです— 花王株式会社 (@KaoCorporate_jp) June 19, 2023
当時、そば1杯が1銭。
つまり、3個で18000円!!!※ただし、いろいろな算出の仕方があるようなので、参考程度に。
かなりの高級品ですね。ですが、外国産の石鹸は、当時1個30~50銭だったようなので、それに比べると、かなり良心的な価格といえます。
いつの時代も「安全・安心」を手にするには、それなりにお金がかかりますね。
そして、開発した石鹸のラベルに、あの、男爵風だった、初代の月マークが使われたそうです。
画像の角度を変えて、拡大してみるとこんな感じ。

画像出典:花王公式HP
さらに、パッケージだけでなく、石鹸自体にも月のマークがついていたみたいです。

画像出典:花王公式HP
そして、135年前に誕生したこの花王石鹸ですが、なんと品質保証書がついていたそう。

「花王石鹸」能書(分析証明書) 画像出典:花王公式HP
消費者に”安全なものを届けたい”という、富郎さんの思いはとても強いものでした。そこで薬学博士などに石鹸の分析を依頼し、その分析証明書(品質保証)と推薦文を桐箱に同封したんですって。
安全、安心、高品質の保証は今の時代なら当たり前。
桐箱に入れ、分析証明書(品質保証)を付けたことからも、富郎さんが安全・安心な国産石鹸を消費者に届けるため、心血を注いだことが伝わってきます。
…ということで、今回は、花王のロゴマークや花王の社名の由来について紹介しました。
会社や商品の”顔”になる、ロゴマークには、創業者や会社の思いがたっぷり込められているのだと、改めて知ることが出来ました。ロゴに歴史ありですね。
<参考文献>
WEB
『花王公式サイト~花王ロゴマークの変遷~』
https://www.kao.com/jp/corporate/purpose/logo-symbol/logo_mark/
『花王公式サイト~花王グループの歴史~』
https://www.kao.com/jp/corporate/history/globalhistory/
『花王公式サイト~【ロゴマーク】製品の表示にある花王のロゴマークは変わったのですか?~』https://www.kao.com/jp/qa/detail/26197